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【大傑作!】はちどり

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映画を観終わった後、自分から漏れ出たため息を一つついてから、まだこの映画の余韻から抜けられないでいる。なんならいつまでもこの余韻に浸っていたい気持ちでいっぱいだ。

この映画にありきたりな「物語」は存在しない。ただ誰もが通ってきたありきたりな14才の「日常」だけが、優しく切り取られ描かれている。

こうして書くと、ただのありきたりな思春期の日常映画を想像させてしまうが、これこそが、文章では伝え切ることができない、映画だからこそ伝わってくる空気と匂いと優しさと愛おしさなのだ。

「日常映画」というのは、一見撮るには一番簡単そうに思えて、実は一番難しいジャンルだと思っている。退屈な日常を、そのまま垂れ流す行為からは、退屈な映画しか生まれない。しかし、この映画は実にその辺りを繊細に、丁寧に、14才の視点から見えたありのままの世界が描かれている。無駄なくきちんと狙いが伝わるカット割、そして台詞もそうだ。欲張れば、多少小さな笑いこそ欲しいものだが、それを除けば、完璧と言って良い程のクオリティである。

こんな映画に出会いたかった。

そう思うと、日本は山下監督の「天然コケッコー」以降、こういった良質な思春期の日常映画は存在するだろうか。

台詞外、映されたフレーム外も、きちんと視聴者に想像させる本当に素晴らしい良質な映画だ。

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