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読書感想:父が娘に語る経済の話。

1.概要

1-1.本の情報

  • 題名:父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

  • 著者:ヤニス・バルファキス(訳:関美和)

  • 発行:ダイヤモンド社

1-2.内容

物理学や工学といった自然科学の世界では、理論が科学的に洗練されればされるほど、自然の働きがよりわかりやすく目の前にさらされていくものだ。しかし、経済学はどうも反対らしい。
そこでこの本は、経済学の解説書とは正反対のものにしたいと思った。もし上手く書けたら。読者の皆さんが経済を身近なものとして感じる助けになるだろう。それに、専門家であるはずの「経済学者」がなぜいつも間違ってしまうのかもわかるようになるはずだ。(中略)
私は長いあいだ娘のクセニアと離れて暮らしてきた。娘はずっとオーストラリアで育ち、私はギリシャに住んでいるので、一緒に過ごす時間が少なく、たまに会えてもまたすぐ離れ離れになってしまう。これまで時間がなくて話せなかったことを娘に話すようなつもりで、この本を書いた。(本書より)

目次
プロローグ 経済学の解説書とは正反対の経済の本
第1章 なぜ、こんなに「格差」があるのか?
     ―――答えは1万年以上前にさかのぼる
第2章 市場社会の誕生
     ―――いくらで売れるか、それがすべて
第3章 「利益」と「借金」のウエディングマーチ
     ―――すべての富が借金から生まれる世界
第4章 「金融」の黒魔術
     ―――こうしてお金は生まれては消える
第5章 世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界
     ―――悪魔が潜むふたつの市場
第6章 恐るべき「機械」の呪い
     ―――自動化するほど苦しくなる矛盾
第7章 誰にも管理されない「新しいお金」
     ―――収容所のタバコとビットコインのファンタジー
第8章 人は地球の「ウイルス」か?
     ―――宿主を破壊する市場のシステム
エピローグ 進む方向を見つける「思考実験」

1-3.著者について

ヤニス・バルファキス(Yanis Varoufakis)
1961年アテネ生まれ。2015年、ギリシャの経済危機時に財務大臣を務め、EUから財政緊縮策を迫られる中大幅な債務帳消しを主張し、世界的な話題となった。長年イギリス、オーストラリア、アメリカで経済学を教え、現在はアテネ大学で経済学教授を務めている。著書には本書の他に、EU経済の問題を指摘した『そして弱者は困窮する』(未翻訳)や「史上最良の政治的回想録の1つ」(ガーディアン紙)と評された『アダルツ・イン・ザ・ルーム』(未翻訳)など、数々の世界的ベストセラーを持つ。2016年にはDiEM25(民主的ヨーロッパ運動2015)を共同で設立し、その理念を世界中に訴えている。(表紙より)

訳者 関美和
翻訳家。杏林大学准教授。慶應義塾大学卒業後、電通、スミス・バーニー勤務を経て、ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。モルガン・スタンレー投資銀行を経て、クレイ・フィンレイ投資顧問東京支店長を務める。主な訳書に『誰が音楽をタダにした?』(ハヤカワ文庫NF)、『MAKERS21世紀の産業革命が始まる』『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』(NHK出版)、『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(共訳、日経BP社)、『明日を生きるための教養が身につくハーバードのファイナンスの授業』(ダイヤモンド社)など。(表紙より)

2.感想 ※微ネタバレ注意

  • 経済について初歩を学びたいと思い、おすすめの本を購入した。

  • 「なぜ格差があるのか」を人類の歴史から説明していた。土地が豊かではない国が技術を発明し、発明によって「言語」と「余剰」(=経済)が生まれ、経済によって制度や組織が生まれた。大陸の形と場所によって、格差ができた、とあった。面白い視点だった。今まで、大陸の形と経済について結びついていなかった。環境というのは、思っている以上に影響が大きい。

  • 仮想通貨や、民主主義についても記載があり、幅広い「経済」の初歩について書いてあった。正直、経済初心者の私にとって、後半は難しいと感じる部分もあったが、理解できない部分はなかった。お金や、社会の仕組みについて、初歩から知りたい場合は、この本を読むといい。経済ニュースを見る時の視点が増えると思う。

トップ画像:男は青いクルーネックのTシャツを着て幼児を抱きしめ、昼間は青い空の下で海の近くに黒いフード付きのジャケットを着ているの写真 – Unsplashの無料お父さん写真

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