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スタートアップ創業者の段階ごとのあるべき保有株式割合について

スタートアップをエクイティファイナンスを行って圧倒的速度で成長を目指す企業と定義した場合、株式会社として設立されます。
そこで問題として出てくるのが、それぞれの段階で創業者(達)の株式保有割合をどうしていくか、という話。
僕は複数回エクイティファイナンスをやってバイアウトまでは行ったものの上場は未経験なので、それ以前の段階について書いていきます。

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創業時に気をつけること

個人創業の時は簡単で、自分が100%持つことから事業が始まります。
ただ、少し複雑になってくるのが複数人での起業の場合で、例えば3人で起業する場合、均等に持つのは悪手となる可能性が高いです。

理由としては2つあって、まず1つめは意思決定において誰が責任を持つのか明確にならないということ。
初期のスタートアップでは、何が正解か全く分からないという状態が続くわけです。
そういった中で、最終的に誰が決めきるのか明確でない組織は迷走やスローダウンをしがち。
株式を誰かに集めるというのは軋轢を生みやすいやり取りではありますが、ぶっちゃけトップダウンじゃないスタートアップは上手くいかないと思ってるので、そこで代表者が舵を取りきれてない時点で失敗する可能性は高い。

2つ目はその後の資金調達によって株式の希釈化が進んでしまうことです。
株式会社は優先株という特例はありますが基本的には保有している株式数でやれることが変わってきます。
そのため、あまりに早いタイミングで創業者達の株式保有割合が下がると、その後の資金調達において弊害が生じ、例えば株主同士が集まってのクーデターの危険性も高まります。
そしてそういうノイズがある状態での事業運営ってのも得てして上手くいかない。

あと、めちゃくちゃ重要なのは創業株主間契約を締結すべきだということ。
それに記載される内容としては、もし離脱する際に、どのようにその株式を買い取るのかということです。
これ、自分達で決めてそこに穴があると目も当てられない争いになりがちなので、弁護士さんに相談、もしくはリンク先のような雛形を使うべきです。

シード期での調達

まず一番暗中模索になってしまいがちなシード期の資金調達についてです。
2012年ごろは数千万前半の時価総額で数百万を調達するというケースが多数派でしたが、最近だとバブルだバブルだと長いこと言われつつ、1億以上のそれで調達を行うというケースが多いです。
ソフトウェアの会社ですと、基本的に15%以内で抑えておけばひとまず安心。
ただ、下手にそこで高い時価総額を付けてしまうと、その後の資金調達でとても苦労することになります。

どういうことかというと、例えばあまり知見がないエンジェル投資家と縁があって、サービスも出していない状態にも関わらず3億円の時価総額で出資してくれたとします。
そしてその資金を使ってサービスをリリースしたけれどもそれが思うようにヒットしなかったとします。
じゃあもう一回資金調達をしようとしたとしてもそもそもの時価総額が高すぎるので、自分達本来の実力での時価総額での調達ができず一気に詰む、というストーリーは存分に起こり得ます。
もちろんエンジェルをなんとか説得して低い時価総額での調達を進める、もしくは高い時価総額での調達を成功させるという道も存在しますが、基本的に時価総額や調達額は高ければいいというものではなく、自分達が適正だと考える価格で進めるのが真っ当です。

また、上記で15%以内に抑えた方がよいと書きましたが、ハードウェアやバイオなど大きな初期投資が必要な事業だと話は全く変わります。
なのでそういった事業をやりたいのであれば難易度が高いという前提で、もしくは一回バイアウトなりなんなりで資産を作ってから挑戦した方が個人的にはいいと考えています。

資金調達を繰り返す中で

基本的に赤字を垂れ流しながら走り続けるスタートアップ企業において、資金調達が1回で済むケースっていうのは稀です。
結果として、株式の希釈化を繰り返しながら創業者は資金調達を何度も行っていくわけです。

株式会社では、2/3以上、半分以上、1/3以上など、どれくらいの株式を保有しているかで何ができるか変わってきます。
ただ、資金調達を重ねた結果保有株式割合が下がっていくのはあまり気にしなくてよいと考えています。
理由としては、保有割合が下がることによって生じるリスクは他株主の暴走リスクとクーデーターリスクが生じることの2つで、それはあまり問題ないと考えるからです。

前者については、複数社が出資している状況にも関わらず暴走してしまうような株主を入れてしまっていることがそもそもの問題で、株主保有割合の問題ではありません。
また、それほど事業経験を重ねているのならば創業者よりも事業を上手く回せる人なんてまず見つけてこれないですし、それでも変えた方が良いと思われるような状況であれば創業者の自業自得かなと考えます。
上場時に2桁前半しか創業者が株式を持ってないなんてのはよくある話なので、そこを過剰に恐れる必要はないよなーと。

最後に

長々と書きましたが、スタートアップを運営する場合、事業や組織だけでなく資本政策について考えることは避けて通れません。
優先株をどのように扱うか、という話もありますが、それはまた別の機会に。

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ITベンチャーに新卒入社後2012年創業 複数回エクイティ・デッドでの資金調達を行い各種事業を行う 2015年に既存事業譲渡と訪日旅行者向けWebメディア立ち上げを並行しつつ、 2016年にフジメディアホールディングスグループに数億円でバイアウト 2019年から福岡で2度目の創業