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【今でしょ!note#9】 コーチングよりも、まずはティーチングを

おはようございます。林でございます。

特にここ数年で多様性や持続可能性という言葉が当たり前に使われて、マネジメントにおける「コーチング」の重要性が同じように頻繁に叫ばれるようになってきたのを感じます。
一方で、相対的に「ティーチング」の重要性や、「ティーチ」する内容そのものを伝える機会が減っているように思います。今日は、「コーチングよりも、まずはティーチングが先ではないか?」という私の考えを述べていきます。


コーチング色が強いマネジメント研修

会社のマネジメント研修や、一般のセミナー等を目にしても、「メンバーの話を傾聴しよう」など、コーチングスキルの向上を目指すテーマのものが多いです。
私が学生の時に専攻していた人的資源管理の分野でも、10年以上前からサーバントリーダーシップなどの概念は存在しており、いわゆるグイグイ引っ張っていく型のリーダーシップのアンチテーゼとして使われていました。

サーバントリーダーシップでは、リーダーはメンバーの成功を支援するために支えるもの、と当時理解していましたが、「支え方」に関する言及として「一人立ちできるよう基本をしっかり叩き込む」「何かの物事を自分でできるようになるまで手取り足取り教える」みたいなところが何となく削ぎ落ちているように感じていました。
最近のマネジメント研修の場でも、あまりティーチング自体の重要性や「メンバーが独り立ちできるために、何を教えるのか」という点に言及されることがほとんどなくなっているように感じます。

ティーチングなきコーチングは迷わせる

メンバー自身が自分で気付くきっかけを与えるコーチング自体は、とても素晴らしいものではあります。一方で、ティーチングなきコーチングは、ただメンバーを迷わせてしまうだけではないか?と考えます。

茶道や武道などでその道を極めるための修行の段階を示す「守破離」という言葉でも、まずは師や流派の型を忠実に守った上で、次の段階で、他の師や流派について考えて良いものを取り入れ、最後に自分なりの独自で新しいものを確立させる順番です。
型を破って独自のものを作っていくには、まずは型がなぜそうなっているのかをよく理解する必要がある。そして、それを考えているうちに「型が型である理由の良さ」に気付き、同時に「型を破る難しさ」を知る。それでも考え抜いて、試行錯誤した先に、ようやく自分なりの考えであったり、やり方を確立することができるんだと思います。

山本五十六の有名な言葉でも「やってみせ 言って聞かせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ」と、まずは「やってみせ」が来る。
誰かに物事を教える初期段階においては、まずは自分が一緒にやって、そこで師のやり方をよく見せて同じようにやってみるところが出発点です。

このプロセスを抜きにして「1 on 1だ、対話だ、傾聴だ」と言っても、自分の型にあたるものを作ってあげないと、軸がないから効果が薄いと考えます。軸を身につけて、自分で物事が進められるようになってきた時に、「軸に対して自分はこう考える、教えられたやり方ではなく、このようにしたい」という潜在的な意識が芽生え、それに気付くきっかけとして、コーチングのような自分で気付くためのアプローチがあるのではないでしょうか。

ティーチされてよかったものを2つだけご紹介

私も、過去にとても厳しい先輩にティーチされ、今では本当に感謝しかないことが幾つもあります。
特に人生の早い段階から、自分の師にあたる人に出会えているのであれば、それはとても幸せなことでしょう。

私は、「色んな人のいいところを真似して、それぞれからいいとこ取りで」みたいなパッと聞いた感じ良さそうだけど、同時に何となく虚しく響くフレーズよりも「一人でいいから師にあたる人を決めて、カバン持ちしながら、その人のいいところも悪いところも熟知する」というアプローチの方が深く学べると考えます。

今日は、自分の愛する後輩たちに向けて、私自身が教えてもらってよかったことを3つに絞ってご紹介します。

1. 仕事は常に相手目線で

仕事を進める際に、ほとんどのケースで誰かとのコミュニケーションが発生します。同僚、先輩、後輩、マネージャー、お客さん、協力会社の方など、誰かに手伝ってもらって、あるいは誰かを支援しながら進めることばかりでしょう。

そこで、関係者とのコミュニケーションをいかに負担なくできるか、というのが、とても重要な鍵になってきます。では、どうすれば相手に負担を与えないコミュニケーションができるのか。キーワードは「とことん相手目線で」です。

相手目線とは、「相手がその情報をどう受け取るのか」と言い換えられます。
相手目線で作られたメールや資料と、そうでない資料はすぐに分かります。
例えば、単語1つとっても、「Give」なのか「Receive」なのか。情報の作り手側が主語になっている単語は、自分が伝えたいことを詰め込んで、相手がどう感じてどう動いて欲しいのか、という目線が欠けていることが多いです。
noteのような文章では気にする必要はありませんが、少なくとも何らかの協力をお願いする仕事の場面では、意識できた方が良いでしょう。

他の例としては、1 : Nでの関係性で情報を伝えるとき。情報の作り手は、Nに向けた説明を試みますが、情報の受け手は、あくまで自分の世界(Nではなく1)として聞きます。
例えば、情報の作り手としては、「10時〜18時までの時間で、1時間おきにショーをやってます」と伝えますが、受け手は「自分が参加できるショーは14〜15時の会で、それに参加するには何時までに会場にこれば良いのかが知りたい」みたいな場面です。
相手目線に立つと、相手の立場になったときに知りたいのは、自分が参加するショーの集合時間や集合場所だろうな、というところを想像して、受け手が気になる情報を自ら出すことができるので、情報の受け手に対して負担を与えずにスムースなコミュニケーションができるでしょう。
相手目線でない人は、「自分たちは10時〜18時までショーをやっている。でも12〜13時は昼休憩で抜けるので、その時間はやっていません」のような14時のショーに参加する人にとって、どうでも良い情報を一生懸命訴えます。

2.誰でも分かりやすい価値はスピード

成果物の品質とスピードでは、スピードの方が分かりやすく相手に価値と伝わる場面が多いと考えます。
例えば、何か仕事を依頼されて、40点だけど1時間後に形にして見せる人と、1週間後に60点の形で見せる人は、前者の方が「おお、早いね」とポジティブに受け取ってもらえる可能性が高く、最終的な仕事の質としても高くなるのではないでしょうか。

そもそも、仕事の品質は自分で決めるものではなく、他人が決めるものです。
私は「独りよがりと同調圧力」が嫌いですが、一人で1週間も2週間も抱え込んで精巧に作られた成果物が期待に沿うものだった試しはほとんどなく、大抵はスピード感を持ってフィードバックを受けながら作られたものの方が、短い時間で合格点を達成できると思っています。

1にも関連しますが、メールやチャットコミュニケーションも同じで、スピード感のあるコミュニケーションは、相手目線です。メールを送る側は、送った瞬間からこの仕事依頼を相手は認識してくれているだろうか?という気持ちが無意識に芽生え、脳内メモリを占有します。

この脳内メモリの占有時間が長ければ長いほど、その人の負担感が上がっていくわけですが、スピード感を持って何らかリアクションができる人は、相手の脳内メモリを解放し、この負担感を軽減するのです。結果として、それが安心感に繋がるので、「この人は仕事ができる人だ」との印象を与えやすくなります。
私の周囲の仕事ができると感じる人は、みんなレスポンスや行動が早いです。もちろん優先順位はありますから、全てに対して即レスは要らないですが、この話は早く返してあげたほうが相手の脳内メモリを解放できるだろうな、と感じた案件については、スピーディでテンポあるコミュニケーションをしています。

他にも、「メールの宛先を見れば、送り手の仕事のセンスが分かる」「周囲からの見られ方を意識する」「打ち合わせの展開を想像した事前準備」など、多くをティーチしてもらったのですが、また別の機会でご紹介いたします。

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
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