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好きになった本

自分がはじめて書いた物語を思い出したついでに、自分が読んできた本を、備忘録代わりに書きます。

プロフィールでも書きましたが、

物心ついた時には、自宅に、童話の全集がありました。
童話だけではなく、日本の文学全集や百科事典系は二種類ありました。
幼い頃にインターネット環境はなかったけれど、その代わり、辞書や辞典で調べることはできました。
これはとてもしあわせな環境だったと思っています。

なので、童話は自宅で読み放題でしたが、はじめて学校の図書室で本を借りたのは小学校三年生頃でした。
いわゆる児童文学で、何々シリーズのようなものをかたっぱしから読みました。
小学校の頃に一番好きだったのは「チョコレート戦争」
ストーリーは、町一番の高級洋菓子店金泉堂のショーウインドーには、チョコレートやウェーハースなどで作られたお菓子のお城が飾られていて。
もうこの、ウェーハースがおいしそう(笑)
主人公の小学生はこのお城を眺めていると、事件(ガラスが割られる)が起きる。ところが、主人公がこの犯人にされたところから物語が展開していくのですが。
子ども心にワクワクしたし、大人たち、ちゃんとこどもの言葉を聞けよと思っていた気持ちにフィットして、ちょっとすっとしました。

中学生になると、低価格で手に入れられる文庫本を、少ないお小遣いで買ったり、本好きの友達と貸し合って読みました。
学校には本好きのネットワークが存在し、「〇組の△ちゃんが、アガサクリスティのシリーズをほとんど持っている」と、わざわざ紹介してもらって借りたりしていました。
そんな本好きの友人たちと情報交換をしながら、ゆるやかに読む本の範囲はひろがっていきました。

中学時代になると、物語ベースではなく、作家ベースで本を読むようになりました。
あの頃好きだった作家は、星新一さんはじめ、筒井康隆さんなどのいわゆるSF系と、アガサ・クリスティーをはじめとする、推理小説系。
特に星新一さんの本が大好きで、あの当時出ていた本は、お小遣いで足りない分は、市の図書館に通って全部読みました。
ショートショートが大好きなのですが、星新一さんの作品の中で一番好きなのは、こちらです。
今でもたまに読み返します。

アガサ・クリスティーは、はじめて読んだのが「アクロイド殺し」、次が「オリエンタル急行殺人事件」ですから、はまるのは当然。
ちなみにアガサ・クリスティーの著書の中で、好きなのは、こちらの本。

アガサ・クリスティーがメアリ・ウェストマコット名義で1944年に発表した長編小説。
推理小説ではないのですが、人の心について深く考えさせられます。
夫とこどものことを考え尽くしてきた主婦が主人公で、彼女が人生を振り返る物語なのですが。
別の視点で見た時、果たしてそれはとなり、ぞっとします。
あああ、私だってこうなる可能性ある!と怖くなりました。
さすがアガサ・クリスティー。尊敬が止まらない作家さんの一人です。

高校時代は星新一やアガサ・クリスティーのほか、「人間失格」「斜陽」、三島由紀夫などの文学を読む傍ら、大きな出会いがありました。
高校二年生の夏に三ヶ月、病気で手術をして入院しました。
友人たちが持って来てくれる本が、ベッドの横にある棚の上に山積してあったのですが。
そのタイトルを見た看護師さんのひとりが、
「きっとこの作家さん、好きになると思うよ」と渡してくれたのが、
デビューしたての村上春樹の処女作「風の歌を聴け」

「完璧な文章などといったものは存在しない。
完璧な絶望が存在しないようにね」

はじめての作品の書き出しがこれ。
ていうか、鼠ってどういうこと?
ジャズとかなんか全体的に大人でおしゃれなんですけど。
いや、もう、村上春樹の本、全部持ってきて~ですよ。
1985年7月のことで、そこまでたくさんの本が出ていなくて。
「ノルウェイの森」が出たのはこの2年半後ですから。
たとえ、
「小樽のような田舎の街角で、村上春樹さんですかと声をかけられ、売れたと思った」的なことをどこかで言っており、はあ?田舎ですみませんね、と思いはしましたが(おっしゃる通り、確かにわが故郷小樽は田舎ですが)、それでも作品は作品、発言は発言ですから(笑)
あの独特の世界観が私の文体の一部になってしまったことは否めない。

あとはもうサガンです。
三ヶ月入院後に退院した後も、運動ができなくて体育を見学することになりました。体育館のはじっこでひとりで体育の座り方をしながら、クラスメイト達がバスケットなどをしているのを見ている私のところに体育の教師がやって来て言いました。
「体育の授業なんて見ていなくていい。その間、おまえが本を読むのを俺が許可する。いいか、同じ本を読んだとしても、10代で読んだ時に感じることと、大人になって、30代、40代と年を取って読んで感じることは全然違うんだ。今はわからないだろうが、騙されたと思って時間の許す限り本を読め」

私の高校は(スッキリする朝の情報番組で長い間MCしていた芸人さんは私の二つ下の後輩)校則も制服もなく、すべて生徒の自主性に任せる自由主義でして。先生も生徒もとても自由なアメリカンスクールみたいでした。

その言葉もあって、自由に動き回れない間もひたすら本を読みました。
そこでたまたま手に取ったのが「悲しみよこんにちは」です。
サガンが自分と同じくらいの年齢の時に書いた本と知って驚きまして。
サガンの本はたぶん全部読んでいます。
でもね、悲しみよこんにちはの衝撃は超えられなかったかな。
アンニュイとか退廃的とか、そんな言葉が似合うフランスに憧れました。

この頃一番好きだった本は、「マノン・レスコー」
国内外の名作系を読み漁っている中でたまたま読んで、なぜかすごく揺さぶられたんです。10代でしたから(笑)
ちなみに「狭き門」を読んで、なぞの道徳観を身につけてしまった過去を持ちます(うむ)

騎士デ・グリューは美少女マノンと出会い駆け落ちするが、彼女を愛した男たちは嫉妬や彼女の欲望から破滅していき、デ・グリューも巻き込まれて数々の罪を犯す。(Wikipediaより)
心正しい騎士が、欲望のまま生きるような美少女に翻弄され堕ちていくのを、まじか!!なんでや!!ってなりながら読みました。

短大の頃は、バイトや友人や彼氏とのドライブなど、外に向かって動き始めたため、本を読む時間が減っていくのですが。
それでも本は読み続けており、特に長編や海外作品が好きでした。
国内は村上春樹をベースに乱読。海外だと、ジャン・コクトーとか、カミュとか、ヘミングウェイとか、あと、春樹さまの影響で、ジョン・アーヴィングとフィッツジェラルドとか。
アン・タイラーにも若干はまりました。
ディストピア系の海外物が好きだったかな。

21歳で結婚出産しまして。そのあとすぐに、フルタイムで働いていたこともあり、かなり読む時間が減りました。
というか、家で本を読んでいると、若干でーぶい(あえてひらがな)気味の元夫に、家事をしろ、怠けるなと叱られましたのでね。元夫は、「本」に関して、一度しか読まないのに高いから勿体ない、買うな。という認識で。
なので、土日で、元夫が釣りなどにでかけて家を空けている隙に、月に1、2度は子どもを連れて図書館に行き、本を借りてきまして。家ではあまり読めないので、出社のための地下鉄の中で読みました。
職場の休み時間も読んでいたので、本好きの同僚から本を借りたりもしましたし、なんだかんだと、本を読まなかった時期はないですね。
あの頃はどの本が好きと感じる余裕はなかったですが、同僚から借りた「ハリーポッターと賢者の石」は、どはまりしました。
出版後すぐ映画化されることになり、雑誌で主演の少年の写真を見て、挿絵のまんま!とびっくりしました(笑)
まさかあんなすごい大人気になるとは思いわず。
オンタイムで何かの作品が歴史に刻まれるのを見ていきましたね。
皆様もそうでしょうが。すごいですよね。
長男も本が好きで、それを喜んだ元夫の両親(父親は高校の校長でした)が、毎年クリスマスになると、出版されたばかりの「ハリーポッター」新刊を送ってくれたので、長男に借りて全部読みました。

↓これ、長男の一人暮らししている家に全部あります(*^_^*)

今はもう、どの作品が大好きとかないのですが。
話題作より、図書館で見て、ピピっときた本を常に10冊(札幌市は10冊まで借りられる)ずつ自宅にストックし、常に3~4冊ずつ同時に読んでいます。
長編をずっと読んでいて疲れたら、ひとやすみがてらエッセイを読むみたいな(笑)
あ、又吉さんも好きですね。
特にこれ↓

去年読んだ中で一番よかったのはこれ↓かな。

もはや、どれが好きとか印象に残っていないのが怖い。
やっぱり若い頃のほうが感性が柔らかいのですね。
あの頃、まあまあ読んでおいてよかった。


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