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ツポーツ新聞に捧げる掌編

 スポーツのニュースを報じているつもりが、どういうわけか芸能ネタばかり取り扱うようになってしまった。

 「新聞」を名乗るにも関わらず、どういうわけか嘘をつくことも厭わなくなってしまった。

 嘘をついていたはずなのに、どういうわけか誰に注目されることもなくなってしまった。

 僕は願っている。スポーツ新聞の編纂に携わる人々が哺乳瓶を加えながら、豚にキリスト教風の子守唄を歌うのを。

 僕は願っている。スポーツ新聞が栄光の歴史を誇るアナキズムの王国に、一輪の花の代わりにカメムシを進呈することを。 

 僕は願っている。スポーツ新聞が強烈な快感のあまり腹を下し、その勢いで文字まで吐き出し、ついには真っ白な一枚の紙になることを。

 僕は願っている。スポーツ新聞がなくなる世界を。

 

 

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