【創作】歯医者に行った
下の歯に黒いところがあることに気づき、歯医者に行った。
もし虫歯で痛くなったら、考えたり読んだり書いたりする仕事に支障をきたす。
それは最悪の事態だ。
だから、すさまじく億劫だったが、しかたなく行ってきた。
虫歯ではなくて、歯垢とか歯石とかの、汚れの類だった。
放っておくと歯周病とかいうのになって、やばいらしい。
診察台に案内された。
問診票をもとに、いろいろ聞かれた。
「歯医者にきたのはいついらいですか」
「わかりません。すごい前な気がする」
「だいたいでいいです」
「だいたい…20年くらいかな」
「え?ああ、結構前ですね。。。」
「(問診票によると)歯を抜いたことは、ないと?」
「いや、わからないんですよ。あるかもしれないしないかもしれなくて、覚えていないんです」
「え?あ、じゃあ、乳歯などは抜いたかもしれないけど、そういうの以外はないってことですね」
「はい。え、乳歯を抜いたとか、そういうのも含めてあるかどうかという意味の質問だったんですか」
「あ、いえ、違います。大丈夫です」
会話が不自由で、僕はしばしばこういうめんどくさいやつになる。
診察台が倒される。
思ったよりも頭の位置が低くなり、頭に血がのぼる。
ライトの橙色の光を見て、治療「される」という受け身の状態であることを再認識する。
「ひっぱりますね」と言われたが、何を引っ張るのかわからないことにストレスを感じた。
口を指でひっぱって広げますねという意味だったようだ。
その後、なんども広げますねとか、すすいでくださいとか、「何を」が抜けた案内や指示が繰り返され、それは院長の女医が出てきても、レントゲン室に行っても変わらなかった。
言葉にこだわっているわけではなく、僕には理解力がないので、変な指示をされると本当にわからなくなってしまうのだ。
歯医者、また行かなければならない。
大変だ。
・院長は、まるで提案営業のようだ
「治療していきましょう」となぜかこっち側に立って5回か6回のパックを提案するような口調だ
・レントゲンで医師のひとりがあごとおでこを言い間違え、どう考えてもあごを突き出す場面で、僕は「おでこを突き出す」という聞いたことのない作業に挑戦した。「こうですか」「あ、すいません。あごです。。」
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