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刀鬼、両断仕る

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剣豪・魔剣・バトル小説。 超常異常の力を持つ刀を握る、人の道を外れた存在、刀鬼。 その刀鬼を憎み討たんとする青年、無粋。 彼はある時、刀鬼から逃げる一人の少年と出会い、『天刃』… もっと読む
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記事一覧

刀鬼、両断仕る 目次

この記事は魔剣アクション小説『刀鬼、両断仕る』の総合目次です。 完結済み、文字数はおよそ9…

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刀鬼、両断仕る 第一話【無粋】

 夜明けから間もなくの、曇天。  山と山の狭間に開けた草原に、つんとした血の匂いが漂う。 …

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刀鬼、両断仕る 第二話【真波】上

◇【前回】◇ 「はぁ、はぁ、はぁっ……!」  薄暗い山道を、少年は走る。  齢は十。柔ら…

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刀鬼、両断仕る 第二話【真波】下

◇【前回】◇ 「決めたわ。テメェは刻んで犬に喰わせる」  荒刈は大きく前にのめり、腰を落…

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刀鬼、両断仕る 第三話【和葉】上

◇【前回】◇ 「あの」  馬上から声を掛けられ、村人は顔を上げた。 「聞きたい事があるの…

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刀鬼、両断仕る 第四話【彼岸花】

◇【前回】◇ 「『刻角』は、お前に似合いの刀だった」  厚畳からの声に、荒刈は答えない。…

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刀鬼、両断仕る 第五話【鏡鳴】上

◇【前回】◇ 「ご報告します! 刀鬼たちの勢いは止められず……」 「……ここに来る、か」  伝令を聞いた城主、皆守真雨は、目を閉じゆっくりと呟いた。 『天刃』を名乗る五人の刀鬼。彼らの目的は、皆守家が代々守り伝えてきた神刀『龍鱗丸』であるという。 「どうなさいますか?」 「兵を下げよ」  部下に問われ、真雨は短く答える。  その選択に、真雨の部下たちはざわめく。 「負けを認めるのですかっ!?」 「このまま戦っても、徒に兵を失うだけだ」  刀鬼を前にいくら兵を集めたとしても

刀鬼、両断仕る 第五話【鏡鳴】下

◇【前回】◇  黒い鉄塊が空を切る。  ぶぉん、ぶぉん、ぶぉんっ!  重たい風切り音は次第…

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刀鬼、両断仕る 第六話【鎧袖】上

◇【前回】◇  城下町は静かだった。  混乱など、とうに過ぎた後なのだろう。  ぽつり、ぽ…

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刀鬼、両断仕る 第六話【鎧袖】下

◇【前回】◇ (どう、する)  己が信念に殉ずるか。  それを捨て、力を得て戦い続けるか…

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刀鬼、両断仕る 第七話【荒刈】上

◇【前回】◇ 「刀鬼になるつもりはない、か」 「無論だ。私はお前たちとは違う」  天宿の…

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刀鬼、両断仕る 第七話【荒刈】下

◇【前回】◇ 「ヴルルァァッッ!!」  荒刈の攻めは、苛烈を極めていた。  床や壁のみな…

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刀鬼、両断仕る 第八話【龍鱗丸】上

◇【前回】◇  情けない、と思った。  己の意志を曲げ、血に塗れ、それでも自分を助けよう…

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刀鬼、両断仕る 第八話【龍鱗丸】下

◇【前回】◇ 「『……おま、えは……』」 「分からない筈がないだろう……オレは、無粋だッ!」  激流を耐え切った無粋は、滑る床を蹴り、渦に包まれた刃へと『無粋』を向ける。 「……ほぅ、『龍鱗丸』を狙うか」  感心したように呟くのは、距離を取り激流を避けていた天宿である。  けれど、刃へ鉄塊を振り下ろす直前、無粋の立っていた床は音を立てて崩れ落ちた。 「っ……」  ぐらり、足元の揺らいだ無粋は、攻撃を中止し階下へと跳ぶ。  着地して見上げると、未だ真波の姿は中空に留まったま