MMS158奥村さん

「AI時代に必要とされる税理士業を目指す」むさしの税理士法人 代表社員 奥村 太久実さん

●ご挨拶と出演者紹介

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宇都宮:本日は第158回MMS、収録日は(2017年)12月28日という年末の慌ただしい時期を収録に来ております。本日のMCはいつもの三木さんではなくてenmonoの宇都宮が行います。三木さんは今回カメラ担当ですので声だけの出演ということで。

三木:はい。

宇都宮:本日のゲストは、私の高校の先輩でもあるむさしの税理士法人の奥村さんです。

奥村:奥村です。よろしくお願い致します。


●奥村さんの自己紹介とむさしの税理士法人の紹介

宇都宮:むさしの税理士法人や奥村さん自身の自己紹介をお願いしたいと思います。

奥村:むさしの税理士法人の代表をしております奥村と申します。

宇都宮:こちらは吉祥寺ですよね。

奥村:ここは吉祥寺の本店で今収録をしていただいております。

宇都宮:すごく良い天気で後ろに富士山が眺めるようなロケーションの良い場所で働いておられます。

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奥村:ここは富士山がとてもキレイに見えまして、今午前中ですから青空の下で真っ白な雪をかぶった富士山ですが、夕方は富士山が黒いシルエットでとってもキレイなんです。

宇都宮:税理士の相談があればぜひ来ていただければ。

奥村:ぜひお越しください。私は昭和37年生まれで55歳なんですが、大学を卒業して銀行員を10年ほどやっておりました。銀行を退職致しましていくつか考えることがございまして、税理士になろうと思い立ちまして、そこから勉強を…

宇都宮:銀行を出てからなんですか?

奥村:そうなんです。税理士というのは国家試験に合格しないと、資格が取れないものなんです。当然結婚もして子供もおりましたので、仕事をしながら家庭を持って、勉強して合格するという道のりを経て今日に至ります。

三木:退職された時は何歳ですか?

奥村:退職した時が34歳ですね。まだ子供も小さくて、しかも3人も子供がおりますので普通で考えると無謀な…資格を持っていればまだ転身するということはあったと思うんですが。

宇都宮:20年ぐらい前ですかね?

奥村:今から約20年になりますね。96年に銀行を辞めたということになります。そこから勉強を始めてこの道に入ったんですけども、結構簡単に考えておりまして、私は試験が得意だったので2年ぐらい、長くても3年ぐらいで合格するかなと。

宇都宮:奥村さんもっと計算高いきっちりした人のように思ってたんですが、結構ポンと行っちゃうタイプなんですか?

奥村:行き当たりばったりなんです。

宇都宮:詳しく知ってる人はご存じなんですか?そういう性格は。やっちゃったかみたいな。

奥村:どっちなんでしょうかね?人間って両面性があると思うので、その時の環境等により色んな決断をすると思うんですが、実は私が勤めてた銀行というのは最終的に経営破綻をして、非常にその頃から業務環境が厳しくなって、そういった環境もあったんじゃないかなと思います。今からだとなかなかそういう思い切った決断は、難しいだろうなと思うんですが。

宇都宮:資格を取って税理士、最初は個人事業主か何か?

奥村:はい。個人で税理士の開業をしました。ただ2、3年で合格すると思ってたのが結果的には8年かかったんです。最終的に合格したのが2004年。それで事務所を開いたのが2005年だったと思います。

宇都宮:むさしの税理士法人ですか?

奥村:最初は個人でその事務所を開業致しました。私の家が東京の国立にありますので、家の近くで事務所を開きまして、たまたまこちらのむさしの税理士法人の共同代表の静間という税理士から声がかかりまして、「一緒に税理士法人を作らないか?」と。

宇都宮:共同創業の方からお声がけいただいた?

奥村:そうですね。それでちょうど10年前、2007年に税理士法人を作りました。

宇都宮:個人とまた違うものですか?

奥村:法人組織になりますので、例えば個人の場合ですと個人に何かあって、極端に言えば亡くなった場合、その仕事というのは誰か別の人を個人的に見つけて引き継いでいかなきゃいけないんですけど、法人になりますとそれが法人内での引き継ぎになるので、永続性という観点から法人のほうが色んな意味でお客さんとの関係は安定すると思います。従業員からしましても個人に雇われているというよりは、法人の職員であるというほうが何となく身分もあるし安定するし安心感もあるんじゃないかなと思います。

宇都宮:最初声をかけられた時はどういう感想を持たれたんですか?

奥村:やはりある程度は規模を拡大しないとビジネスとしてやっておりますので…

宇都宮:奥村さん自身は拡大しようというのは最初から思ってたんですか?

奥村:はい。1人でやってるとやはり限界もありますので、当時私と従業員2人の3人でやっておりましたので、大きくなってはきてたんですけどスピードも遅いですし、さらにお客さんもたくさんほしいなと思ってたところでしたので、一緒に2人の力でやっていけば、それぞれの異なった経験やバックグラウンド、能力も生かせますので。

宇都宮:割とマッチしたんですね。そのタイミングというのも。

奥村:2人ともバックグラウンドがかなり違うところがありまして、私は銀行員をやってましたし、パートナーのほうは地元密着の個人の税理士事務所をもう30年近くやっていて非常に地域に密着した人脈のある人で、私はどちらかと言うとテクニック的なファイナンス系の色んな題材とかを料理するのが割と得意でしたので、そういう意味では非常にうまいペアリングでやってこれたかなと思っています。

宇都宮:その時はもう吉祥寺で?

奥村:吉祥寺で開業致しました。

宇都宮:それから10年?

奥村:そうですね。今年で気がつけばもう10年ですね。丸9年経過して10年目に入ったところです。

三木:我々もちょうど9年目なので1年違いですね。

宇都宮:僕ら2009年に創業してるんですよ。その頃にお会いしてるんですもんね。

奥村:そうですね。

宇都宮:僕の東京のOBのテニスの会で川端さんの会に行って奥村さんがいらっしゃって。その後僕ら起業したということを奥村さんに一度か二度お話しさせてもらったりしてましたね。

奥村:同じ頃ですね。そういう意味では。


●M&Aされたご経験について

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宇都宮:その後10年間税理士事務所というのは色んな変化はあったんですか?

奥村:基本的には少しずつ大きくなってきました。

宇都宮:大きくというのは社員さんが増えてお客さんも増えてという感じ?

奥村:社員の数もお客さんの数も増えてますし、売上規模も大きくなってきて毎年ちょっとずつです。こういう業界ですからあまり急拡大しても意味はないと思ってますので、少しずつ大きくしていきたいなと。実はパートナーと一緒にこれを立ち上げたわけなんですが、元々お互いが個人事務所を持っていましたので、ある種の合併、M&Aをやったというのがこの法人設立のきっかけになって、実は去年2人の税理士さん、1人が2016年でもう1人が2017年、これも大きさで言えばM&Aなんですけども、私どもの事務所にジョインしていただいて、1人の方は実はその後すぐに亡くなってしまったんですが、そちらの事務所を引き継いで、それからもう1名の方の事務所も今年引き継ぎまして、実は今新宿事務所というのを作りまして、その方にそちらをお任せしているという次第ですので、設立10年を経て拠点がこちらと新宿と2拠点、従業員としては今約20名という体制でやっております。

宇都宮:M&Aというかジョインすると良いこともあるし大変なこともあると思うんですけどどうですか?

奥村:あちらのほうからすればもう歳も取られて、意外とこれは体力がいる仕事でもありますので、もう辞めたいなということをお考えだったようなんです。

宇都宮:事業の承継もあって?

奥村:全部任せたいと。お客さんもいらっしゃるし従業員もいますので…

宇都宮:畳むんではなくて何か承継できる方法はないかみたいな。

奥村:そうですね。誰かに任せたいということだったと思うんです。人づてで少し相談があって、「じゃあ私どもでやりましょうか」と。お金の問題というよりかはそれぞれが会ってお話をしてお互いにこの人ならいいかなというのを確認し合って「やりましょう」というお話をさせていただきました。

宇都宮:そこの話し合いの結果が決断に至るんですか?

奥村:そうですね。

宇都宮:合わないという時も中にはあったりするわけですか?

奥村:そういうケースも中にはあると思います。

宇都宮:実際に一緒になって場所も2拠点になるとどうですか?やっぱり広がりますか?

奥村:我々の仕事は例えば人がいれば仕事が増えるわけでもなく、何か広告宣伝を一生懸命やれば仕事が取れるわけでも決してないので、お客さんと職員の動きを見ながらちょっとずつ増やしていくことになると思うので、M&Aをすると単純に合算で1+1=2ということは成立しますが、それを2以上に持っていくというのはまだまだこれからの仕事かなと思っています。

宇都宮:何か今考えておられますか?

奥村:例えば吉祥寺で今対応しているクライアントを、場所がここ(新宿)のほうが近いので新宿のほうに少し移して、向こうのほうでもう少し近い関係で見てもらおうかということをやってみたりしています。

宇都宮:エリアを少し合わせるという?

奥村:そうですね。逆にあちらのクライアントで少し難しい案件とか、難しいテーマのクライアントに関してはこちらのほうで対応することもやってますので、ぼちぼちそういった色んな意味でのシナジー効果が出てきてるかなという感じはしています。

宇都宮:来年(2018年)はそれをもう少し加速させるという?

奥村:そうですね、はい。


●税理士というお仕事について

宇都宮:税理士のお仕事というのは基本お客さんの顧問になってという?僕らも詳しく知らないんですけど。

奥村:税理士というのは国家資格で法律がありまして、法律で専門的に税理士しか認められていない業務というのがあります。それは簡単に言いますと税金の計算を代行するということです。お客さんのために税金の計算をしてあげてそれで対価をいただくのは税理士にしか認められていない仕事なんです。突き詰めればそれが税理士の仕事だろうということになります。

宇都宮:それだけではないと?

奥村:お客さんの数字を全て預かるということですので、すごくお客様の中に、色んな法人の方でも個人の方でも深く知ってしまうわけなんです。必然的に色んな相談事が私どものほうに来るようになって、こちらも数字を見てると気になることが出てきたりして、例えば「これはどうなんですか?」という話をする。そうすると税金計算の分野に留まらず、広く言えば経営全般まで話が広がっていくことが頻繁に起こりますので、そういう意味では経営全般に関しての相談役という役目なのかなと思っています。

宇都宮:最初税金の相談だけだったのが徐々に範囲が広がるというか…

奥村:そうですね。最近は税金のところだけじゃなくもっといろんな相談をしたいので、例えば今の税理士さんだと物足りなくて色んな人を探してて、たまたま私どもに辿り着いて紹介で来られたというケースも結構あります。

宇都宮:そうするとむさしの税理士法人さんは結構受け止められる範囲が広がっている?

奥村:広いと思います。

宇都宮:税金だけじゃなくて経営相談に近いことも場合によっては?

奥村:ありますね。たまたま私が元銀行にいたということもあるので、一般の企業の方とか銀行というとものすごく敷居が高くて、どういう風に対応したらいいのか分からないという方が多いようなんですけども、それは私どもほうで「○○にすればいいですよ」というアドバイスはできるので、そういった仕事は結構あります。資金繰りをサポートするようなところですね。銀行との折衝を私どもがお客さんと一緒にやらせていただくケースは意外とあります。

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宇都宮:最近こういう相談があったけどちょっと難しいなというのもあったりするんですか?

奥村:難しいのは色々あります。今世の中で非常に問題になっているのは事業承継です。これはたぶんenmonoさんは製造業によく接触されているのでお分かりだと思います。これはもう製造業に関わらず日本全国で、ちょうど戦後創業されたような会社が今代替わりの時期になっていて…

宇都宮:新聞とかでもよく言ってますね。どんどん事業が黒字だけど(会社が)なくなると。

奥村:黒字だけど継ぐ人がいないとか、後継者がいないわけなんです。例えば子供がいるんだけど別の仕事をやっているケース、それから従業員はいるんだけども「今の社長を見てたらとても大変そうだからそんなの俺はやりたくない」という人もいるでしょうし、そういうケースも含めて事業承継というのは非常に今難しくなっていて、その相談というのは意外に多いですね。

宇都宮:でも回答しづらいじゃないですか?選択肢も限られる…

奥村:色んな問題があって、大きく分けて2つ問題があるんです。非常に良い会社というのは事業承継が難しい面があって、なぜ難しいかというと株式を承継する時に税金がいっぱいかかるというのが問題になっているケースがあります。例えば先代の財産がほとんど会社の株しかない。だけどその株の評価がものすごい高くなっている。業績が良い会社で何十年も長くやってくるとものすごく高くなっている。だけど上場会社じゃないから株を売ってお金にするということができない。そうすると例えば後継者のお子さんが引き継いだ時に多額の相続税がかかってしまうけれども実は財産の大部分が会社の株なんです。キャッシュにするのが非常に難しいケースですとか、テクニックは色々実はあるんですけども…

三木:一回減資をするとかですか?

奥村:会社で買い取ってもらって相続した後でそのお金を作って納めるとか色んな方法があるんですけども…

宇都宮:単に業績が良くて黒字だからって良いことばかりじゃないっていうことですね。

奥村:それが1つと、あとは誰が承継するかということになってきます。後継者が決まっている場合はむしろ稀なケースで、後継者が決まっていないあるいは子供が何人か会社に入っているが、どれが後継者かまだ決めてないというケース、そういう場合は誰に株を持たせればいいのかというのも決まらないわけなんです。後者の事例の応用編が後継者が決まっていない、そもそもいないとか、誰が後継者か決められないケースというのはあります。財産の問題と人の問題が常にセットになっています。

宇都宮:どっちも厄介ですよね。そういう相談をされることが?

奥村:あります。税理士というと財産の税金の問題がクローズアップされるんですけども、問題としては両方になってくるので、そうするとあるケースでは後継者がいないというので「探すのをお手伝いしましょう」と。もちろん我々は探す能力がないので我々のネットワークを使って、例えば人材紹介会社の人を頼って「良い人いませんか?」という仲介的なことをやってみたり、事業承継というのが一番我々として難易度が高い仕事にはなってきます。

宇都宮:これからどんどん増えますよね?奥村さんたちの今お客さんたちも当然年齢が上がってきますし。

奥村:そうなんです。潜在的にはものすごい数のお客さんがそこがテーマになってくるだろうなと思います。事業承継というのは一面の問題ではなくて総合力が我々としても問われて、銀行との関係、人の問題、税金の問題が入ってきます。たぶん我々の一番難易度が高いテーマが事業承継で、逆に我々が一番そこをやらなきゃいけないところかなと思っています。当然M&Aという話がそこに入ってくるわけで、本当に後継者がいなくてどうしようもないということになると「会社を誰かに売りましょう。会社の株を買ってもらおう」というのが必要になってくる。そうすると相手探しを専門にやっている会社を紹介して間に入って、またその相手との交渉の仲介をやってあげるとか色んなアドバイスを差し上げたりします。

宇都宮:奥村さん自身もいわゆるM&Aみたいなことを経験されてるので、そういう経験上お話できたりしますか?

奥村:多少なりとも根拠のある説明ができるかなと思っています。

宇都宮:新宿の方も事業承継してほしくて相談されてっていうのがあって、たぶん業界が違っても同じですもんね。

奥村:その時は従業員の面倒を見てほしいというのがまず要望だったんです。よくM&Aというのはお客さんだけもらって従業員はもういらないと、その後でも従業員はリストラしてとかいうこともどうやら世の中にはあるようですけども、中小企業というのは比較的そういうドライな経営というよりは…

宇都宮:雇用を守って、地域密着で余計そうなる…

奥村:要望としてとにかく従業員を何とか引き継いでくれないかという話は結構あるんじゃないかなという気がします。

宇都宮:その要望も聞き入れて実際一緒になったということですよね?そこは気を遣った感じですか?

奥村:そこは結構気を遣いました。

宇都宮:でも場所が離れてるとなかなか意思の疎通も…

奥村:そうですね。私は行き来を結構しますけど、従業員同士のコミュニケーションというのが必要だなと思ったので、前回enmonoさんにお願いした研修も一緒に合同研修という形で新宿の人もちゃんと来てたんです。それから忘年会も一緒にやろうとか研修も一緒にやろうということで、できるだけ一緒に従業員が集まる機会を作るようにしています。

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●zenschoolワークショップを体験したことについて

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 宇都宮:奥村さんの税理士法人さんは結構社員研修をされていますか?

奥村:そうですね。いわゆる業務的な研修、税法関係の知識を得る研修というのもやってますし、それから1年に1回は税法以外の、例えば一昨年はコミュニケーション研修ということで…

宇都宮:ちょっと税理士のスキルと違うようなことも?

奥村:税務とまた違うところを1年に1回はやっています。去年はマネジメントゲームというボードゲームをやって、みんなが自分で商売をやって誰が儲けた誰が損したというのをずっと順位をつけてやることとか、できるだけ普段は経験しないことをやる機会を1年に1回設けようというのでやっています。

宇都宮:それで今年(2017年)は僕たちにも声がかかって、その前に一度奥村さん個人でzenschoolのワークショップを体験いただいたんですが、zenschoolのワークショップを体験してどうでしたか?

奥村:元々は宇都宮さんと中学高校の同窓ということで、昔から知り合いでFacebookでもつながりがありまして、そこでzenschoolというのはよく見てたので、ちょうど「今年の研修は何にしようか?」というのを考えてた頃にzenschoolを見つけたものですから、取りあえず自分が試さないと分からないので行ってみようかなというので参加させていただきました。

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宇都宮:どんな感じでした?

奥村:とてもおもしろかったですね。

宇都宮:瞑想ワークをしたりとか自分自身のワクワクすることを取り出したりとか…

奥村:瞑想もおもしろかったし、10歳の頃の自分を思い出すというワクワクトレジャーハンティングも両方とてもおもしろかったです。ちょうど瞑想は世の中に流行っているみたいで色んな人から勧められたりもして。

三木:続けていますか?

奥村:やっています。

三木:すばらしい。1日どれぐらい?

奥村:1日5分、週2、3回しかやらないですけども。

宇都宮:何か違いますか?

奥村:結構違います。夜は酔っ払っててダメなので、だいたい僕早く来るので朝ここに来て少し薄明りの中でだいたい5分ぐらいやるようにしています。そうすると何となく集中力が日中違うような気がします。習ったようにはなかなかできなくてかなり手を抜いてやってますけど、それがとても良かった。それから10歳の頃って僕はとてもおもしろくて、その頃に自分がこんな感じでこういうことにおもしろくてやってたなというのと、実は今と結構合ってるというか変わってないなというのがすごく発見できたんです。それがものすごく私にはおもしろかったです。

宇都宮:今やっていることの原動力の情熱の根っこは子供の頃に?

奥村:同じ。根っこは変わってないのかなというのがすごく分かったんです。それが自分では驚きでした。

宇都宮:意識はしてなかったんですか?

奥村:そういうことは全然分からないですよね。考えたこともなかったので。

宇都宮:結構色んな気づきが得られて?

奥村:それは「あ、そうか」と。だから今自分はそんなストレスも溜まってないし、割と楽しく毎日やってるのはそういうことがあるのかなという気がしました。

三木:僕らのイメージの税理士さんはまずこういう話は理解していただけないんですが、そういう意味だとかなり変わってらっしゃるというか…

奥村:そうですか(笑)。それは自分では意識したことがないんですけど。

宇都宮:僕らも税理士さん大勢知ってるわけではないんですけど、税理士像というのと違う気がします。新規事業とか新しいアイデアとかブレストとかって苦手そうなイメージもあるし、ワクワクという言葉に対する反応も「ワクワクって何だ」みたいなイメージはあります。本当は違うかもしれませんけど世間一般のイメージですよね。

奥村:そういうところも含めて、たぶん僕そういう風に言われるのはすごく好きなんです。10歳の頃からそういう風に言われるのが好きで、今もそうだというそういうことだと思います。

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宇都宮:ご自身が体験された後、社員さんに11月に展開されて、その時に実際来られた方は突然やらされて、何の前情報もなくやったというか…(笑)。

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奥村:そうなんですよ。中には突然のことでドギマギしてどう対応していいのか分からなかったとアンケートに書いてた人もいたので(笑)。

宇都宮:逆にすごくはっちゃけたというかすごく自分を出せた…

奥村:おもしろかったという人もいましたし、皆さん自分のことを話す時間があって同僚のことが今までよく知らなかったのがすごくよく分かって、できればみんな聞きたかったという意見が多かったんです。でも意外とそんな風に知る機会がないから、そういう観点で本筋から離れるかもしれないけど良かったかもしれないです。

宇都宮:僕ら元々新規事業を生み出すための情熱のありかとか、アイデアの種を探して事業にしようという目的でzenschoolをやってたんですけど、結構チームビルディングとか人の内面を掘り起こして、もっと深くつながれる効果だけでも実は価値があるのかなということに気づかせていただいたというか、そこは僕たちも新しい見え方でした。

奥村:ちょっと話は離れますけど、我々自身が中小企業で常に人は数も足りないという問題があるわけです。能力をとにかく発揮してもらわないといけない。当然能力開発も色々一生懸命研修などもやって高めてもらうんだけど、潜在能力を出してもらうということもとても大事じゃないかと。どういう能力があるのかは、どういう人で過去どうだったかというのが分からないとなかなか掴めないと思っていて、そういうのでこの人ってこういうところがあったんだなとか、こういう風に考えてたんだって分かれば、ひょっとしたら活かし方という面でまた別のことが…

宇都宮:ワークショップの見え方というか…

奥村:経営者の観点からですけども、そういう捉え方もできるんじゃないかなと後から思いました。やった時はそこまで考えてなかったので「ああっ、しまった!もうちょっとみんなの話を真面目に聞いておけば良かった」と思ったんですけども(笑)。

宇都宮:ワークショップはいつでも提供しておりますので(笑)。

奥村:何年かに1回やってもいいかもしれないです。

宇都宮:奥村さんが一度zenschoolを受講してzenschoolのやり方を持ち帰って、奥村さんが展開するというやり方もあるかもしれませんし。実際僕らzenschoolを提供してるんですけども、僕らがやったzenschool自体を広めたいという人も中にはいらっしゃるんです。

奥村:そうなんですね。お二人だと広めるのも限界がありますよね。

宇都宮:限界がありますので。zenschoolを受講すると発想がどんどん自分の中にあるものから出てくるので、色々突拍子もないことも出てきて世間と徐々に話が合わなくなってくるんですよ。そうすると自分の中で取り出して突拍子もないことも言える関係の人が増えてほしいという想いもあって、地方でも広めたいという動きがあるというか…

三木:あとネットワークが広がります。今回も慶応大学の医学部さんと一緒にやったんですけど、そういう専門的な医学的な知識を持ってる人たち、これから事業を起こそうという人たちとつながれたりとか。

宇都宮:卒業生も120人ぐらいいて、回を重ねると卒業生が増えていってFacebook上にコミュニティとして存在してて、それが日本中にいらっしゃったりとか。以前ちょっと(奥村さんに)紹介した梶川さんも卒業生なんですけど…

奥村:結構あの方はFacebookで拝見するとすごく積極的に色々発信されてますよね。

宇都宮:そうですね。地方で元気になると銀行とか周囲からM&Aの相談が来て、「自分では全然分からないから専門家いませんか?」という相談が来て、たまたま奥村さんと知り合いだったのでおつなぎして、それはうまくいきませんでしたけど。

奥村:あの時の話も確か地元にはあまり相談できる場所がないということで、一度新宿でお会いして話をして、その後Facebook上で色々メッセンジャーでやり取りをして、結局止められたその方の提案には乗らなかったですけど賢明なご判断じゃないかなと思います。

三木:色々相談に乗っていただいてありがとうございました。

奥村:いえ、それぐらいなら経験もありますし、たぶんどこをどう考えればいいのかというのが分からないんですね。

宇都宮:経験がそもそもないですからね。ぜひこちらの吉祥寺もしくは新宿に来ていただくと相談には乗っていただけると思います。

奥村:はい。


●AI時代に必要とされる税理士業とは

宇都宮:お客さんは中小企業が多いんですか?100人規模とか20人、30人…

奥村:そうですね。一番大きくても数百名ぐらいのところです。売上で数十億ぐらいですから、中堅企業だとおそらく言えるんじゃないですかね。

宇都宮:それで顧問で入ったりとか税務相談とか経営相談とか…

奥村:多いのは顧問という契約をさせていただいて、あとはいわゆる税務をベースにして決算をやるという形と、その他諸々の相談事を随時受けるというような形が多いです。

宇都宮:奥村さんたちの会社のお客さん層というのは年齢層は高いほう?若返ってきている感じですか?

奥村:色々です。新しいお客さんもどんどん増えてますので…

宇都宮:若い層の経営者の方とかも?

奥村:若いほうもかなり増えてます。学生起業家も何人もあります。学生ベンチャーを立ち上げて「学生の時から社長やってます」みたいなクライアントも何人かはいます。

宇都宮:学生さんだと色んな経営相談が今度多くなるんじゃないですか?

奥村:結構多いです。学生ですから割と新しいビジネス、インターネット系が結構多いので、それこそ「M&Aしませんか?」とか業務提携とか色々あるみたいで、分からないのでとりあえずまずうちに来ると。ここで割り振って、「これはちょっと我々分からないので弁護士を紹介しましょう」とかそんな流れでいくケースはあります。

宇都宮:結構急成長していると色んな声がかかるじゃないですか。

奥村:色々動きが早いですよね。彼らの世界というのは。

宇都宮:そうすると奥村さんも少しはそういう業界のことも勉強したりとか?

奥村:細かい技術のことは分かりませんけど、今のトレンド、AIだとかIoTだとかというのは私もあちこち出かけて行って勉強は一生懸命やっています。

宇都宮:言葉ぐらいは知っておこうという?

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奥村:言葉は知ってるのと、AIで10年後になくなる業種というのがありまして、我々は噂によると上位ベスト(ワースト)3ぐらいに入ってるらしいです。

2ヵ月ぐらい前に近隣の大学の大学生から突然電話がありまして、「大学のゼミでAIが社会に与える影響を研究していて、どうやら10年後になくなる業種の2位か3位に会計事務所があります。そういう上位の業種にはヒアリングに回っているのでどう対応するのか聞きたいです」と。僕もある程度は研究してたので「いいです。どうぞ」と言ったら学生さんが2人で見えられまして、色々話しするんですけど、若い人ってそういうネタにすごく影響されるでしょ。彼らは信じ込んじゃってるわけです。AIによって10年後に世の中が激変していると思い込んじゃってるわけです。だから一生懸命僕が「いや、でもこういうところはまだまだ時間がかかるし」と言っても「いや、でもそういうところも全部変わるんですよ。だからどうされますか?」と言うから、「そうなったら俺別にいいや。もう仕事辞めて生活保護でも受けてやってるわ」とか言って(笑)。

宇都宮:学生のほうが逆に信じ込んじゃってる。

奥村:そういうニュースで割とビビットに反応しちゃう。僕らも若い頃はたぶんそういう激しい扇動のような奴に結構弱かったところがあると思うんです。なので何とも思わなかったけれども、ゼミでどういう報告をするのかなと。

宇都宮:実際僕らも最近AIの研究者とかの話を聞きますけど、なくなって困る仕事というよりかは、嫌々やってる仕事がむしろなくなっていく方向になったほうがいいんじゃないかなと。

奥村:業務の効率化だと思うんです。それは昔からずっと継続的にあった話ですから…

宇都宮:自動化とかも、コンピュータですらそうじゃないですか。

奥村:そう。結局AIって言ったらそれだと思ってるので、それはおっしゃる通り必然ですからね。

宇都宮:そこを切り分けてということで、職業という概念が徐々に変わっていく、働くことが何なのかという…

奥村:たぶんなくなるものもあれば生まれるものもあるだろうし、そこは色んな変化が同時に出てくると思うので、そんなに悲観してもしょうがないだろうなと思っています。

宇都宮:昔ながらの同じ仕事はたぶんないだろうし、仕事のやり方が変わってきたりとか。

奥村:我々の世界でも例えばクラウド会計、freeeとかMFクラウドとかあってかなりのレベルで経理処理の自動化というのがうまくやればできるので、そういう意味では効率化がかなり進んだということだしもう完全にAIだと思うんです。それに対して我々はどう対応していくかということを当然考えて業務をやっています。

宇都宮:別にあれが流行るから税理士がなくなるかというと、むしろツールとして使いこなすとかすれば逆に他の仕事を…たぶん税理士さんの仕事はよく知られてないからなくなることばかりフォーカスされてて、本当はもっと会話が重要じゃないですか。

奥村:そうなんですよ。実は我々のお客さんの中に上場企業が1つありまして、規模はそこそこなんですよ。一番しょっちゅう社長から電話がかかってくるのがこの会社で、上場会社は組織もちゃんとあるし業務も社内で分担してるし、でも結局その社長からしょっちゅう電話かかってきて、「ちょっと今月奥村さん空いてません?」とか言って色んな相談事が来る。どうやっても機能的に分担できない部分とか社内ではできない部分っていうのが絶対あるじゃないですか。だから結局そこがまだまだ残るんだろうなという気はしているので、それで我々は対応できる力をつけていかなくちゃいけないなという感じです。

宇都宮:そうすると会話力とか対話力とかですか?

奥村:コミュニケーションですね。コミュニケーション能力だと思いますね。

宇都宮:そこがどんどん増えていくんじゃないですか?

奥村:そうです。

宇都宮:そこってでも元々持って生まれた部分と訓練して身につく部分とあるかもしれません。それは何か意識されてます?

奥村:採用の時にその辺は少しは…どういう感じの人かなというのは当然見るので。

宇都宮:コミュニケーションできそうな人かとか?

奥村:分かりませんけども、まず感じが良ければたぶん僕はその辺はうまく教育とか訓練で改善していくと思うので、いかにも感じが悪いとか第一印象で決めてはいけないんですけども大事だと思っています。

宇都宮:直感って正しいじゃないですか。

奥村:私もそう思っています。それから訓練、場慣れだと思います。数をこなせばある程度はできてくると思うので、そういう意味でできるだけお客さんと我々の話をする時間を取るようにしているので、最近本当にメールとかで済ませてしまうケースがすごく多いので、逆にコミュニケーション部分がどんどん退化していってる可能性がありますから、そこは気をつけて極力face to faceで「年に1回くらいは絶対会いましょうよ」という話はしていますけどね。

宇都宮:無駄がむしろ今後価値に変わっていくだろうなと思ってるんです。効率化という言葉が出るほどどんどんAIに置き換わる仕事になっちゃって、無駄なことだけど食えてる人のほうが今後どんどん価値を高めるのかなと。

奥村:それはあると思いますね。


●奥村さんの考える「日本の○○の未来」に対する想いについて

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宇都宮:奥村さんの考える「日本の○○の未来」について最後…

奥村:ちょうど我々のクライアントの中小企業ですけど、enmonoさんのお考えに非常に賛同できるところって自社のオリジナル製品を生み出すということなんですが、私が税理士を始めた時のお客さんというのが個人でシステム開発をやっていた人なんです。完全受託開発で下請けをやっていて、私の一番最初のお客さんですから今でも非常に仲良く付き合ってるんですけども、「あるところからうちの専属になってくれと言われました」と。それで彼は考えまして、「色々リスクがあることだし非常にビジネス的には安定するんだけれどもどうかなと思って悩んだ挙句その話を断りました。そしたらそこからは何年間かで切っていくので減らしていくからという話になりました」と。彼はそこから自社のサービスを考え始めて、その後あるWebサービスを立ち上げて、今売上規模的にもその当時の7、8倍くらいの規模になっていて、従業員も30人ぐらい採ってる、そういうビジネスを立ち上げた人がいるんです。私は中小企業の生きる道はそれだろうなと思ってるので、おそらく製造業じゃない世界だし全然違う世界だけれども、たぶん発想的にenmonoさんの発想とすごく合致するだろうなと思っています。一方でそれができない会社というのがたくさんあって、受託開発ばっかりやっているところもあります。一生懸命私もそういうことをアドバイスしたりして、自分でやろうとしているところもあるんだけどうまくいかない。一生懸命開発して作っても売れない。やっぱり受託開発でずっと苦労して苦労してやっていくというところがあるので、そこだろうなと。全業種で私はこれが言えるんじゃないかなと。我々もたぶんそうだろうなと思っています。税理士というのも基本的なサービスパッケージというのは、もうどこへ行っても変わらないものがあるんだけれども、それだけだと本当に必要なものかと問われた時に、どこにでもあるじゃないかということになってくるから、というのが私の考えです。enmonoさんをヨイショしているわけじゃないので。本当にそう思っているということです。

宇都宮:実際僕たちも創業した頃は町工場さんの知り合いが多くて、製造業の新製品開発ということでやってきてますけど、最近zenschoolという名称になって、 特に最近は三木さんの座禅の瞑想ワークを通じて、新たな自分自身を掘り下げるということからいうと、全ての人間には心があってそこから出てきたものを具現化するということを、もしかしたら事業になるかもしれないと考えた場合、サービス業でもあるし、お医者さん、大学の先生もそうだし、皆さんそれぞれ自分の中にあるものを形にして、もしお客さんがいれば事業になり得るということで、最初は(お客さんは)1人か2人かもしれませんけどもそこから始まることなので…

奥村:だから税理士事務所のお客さんでそんなところがいっぱいあるわけですから、そういう人たちに受けてほしいですね。

宇都宮:僕たちもそう思っています(笑)。いつでも営業に行きますので。ワークショップを奥村さんの事務所で企画してもらって、そういう人を招いてzenschoolってどういうものかを体験してもらうだけでも、もしかしたら雰囲気が伝わるかもしれませんし、逆にお客さんの意外な側面が見えるかもしれませんので、そういうのももしかしたらありかもしれないですね。

奥村:そうですね。

宇都宮:ありがとうございました。

奥村:どうもありがとうございました。


対談動画


奥村太久実さん


むさしの税理士法人WEBSITE


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