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洗髪をめぐる冒険

早朝覚醒でも今日は比較的調子がいい。

いつもの安定剤を飲んでからシャワーを浴びようとして、ふと思い出した。

シャンプーが切れていたことを

母にそのことを伝え、「今日出かけたついでに買ってきて」と。
すると母は「これ使っちゃってからでいい?」といって棚の奥からそれを取り出してきた。美容院のキャンペーンで去年当たったらしい。

安っぽい薄い透明のプラスチック容器の中にはシャンプーとおぼしき細長いボトルが隙間なく三本入っていた。

三種類。

洗髪につかうものとして、この世にはシャンプーとリンス(巷ではトリートメントとかコンディショナーとかいう小洒落た名前で呼ばれているらしい。なんかむかつく。)しかないと思っていた僕は、動揺を悟られないように、その三本目を取り出した。

これなんだ?

形からして珍妙。ほかのボトルよりちいさく先端はすぼまっている。製品名はというと

アナジン・・・プリクレンジング・・・

アナ・・・もしかしてこれ、いやらしいやつか?

形状的にもなんかそれっぽい。こういうとき語源を考えてしまうのは前職の職業病だ。

アナ・・・アナルが、ジン・・・じんj

止めよう。考えることを止めよう・・・

ケツのほうの性感開発への興味は、痔を患ったこともあり、全くない。なんか汚ないイメージもあるし。

・・・ところで、ここだけの話、前立腺て気持ちいいの?

話をもとに戻そう。どうやらそのいやらしいボトルの正体は、シャンプー前に頭に馴染ませるプリクレンジングセラムというものだった。説明書きには毛穴の皮脂を取り除き、髪をしなやかにする効果があるそうだが、たぶん嘘だ。

そう簡単に皮脂が取れたらリーブ21もバイオテックも儲からなくなるじゃないか。それもそうだし皮膚病の僕から言わせてもらえば取れるのは汚れだけでいい!皮脂まで全部とったら乾燥が

四の五の言わずに使ってみる。

すーっとするけど浸みない。肌には優しいようだ。馴染ませてから十分くらい待てと書いてある。

面倒だなぁ。

僕はお風呂を楽しめない。烏。入ったらすぐ出たくなる。じっとしているのが耐えられない。この病気になったときも、リラックスのために入浴剤をつかったが、五分も入ってないのに出てたらそれはリラックスどころの話ではない。長風呂の人って何であんなに入ってられるんだろう?

しょうがないから湯船につかりながら、説明書きを読んで時間をつぶすことにした。

どうやらこの洗髪料はみな天然ハーブの

ノコギリヤシ

という植物が使われているらしい。具体的にどう使われているかが一切書いてないのが甚だ胡散臭い。あと天然ハーブってなに?オーガニック・ビオ問題はシャンプーにまで及んでいたとは・・・

ところでノコギリヤシ。暇な僕はこの植物について考えてみることにした。

何でノコギリヤシというのか?

ノコギリに似た形のヤシの木なんじゃないの?

そう思う方も多いとおもうが、そんな単純なわけはない!名前にはそれぞれ受け継がれる深遠な言葉の意味があるのだ!大切なことはそれを探る姿勢なのだ。

後まだ1分もたっていない。

ノコギリはわかる。問題はヤシのほうだ。僕が考えたのは、

この「ヤシ」という言葉は元々の言葉の発音のし辛さなどから、「良き」が「良い」、「立ちて」が「立って」のように音が変化したものではないか?

というものだ。

するとヤシの元の語はなにか。それは「いやし」ではないだろうか。癒し、ではない。それではただのノコギリプレイ好きになってしまう。

いやしは古語で、卑しい、身分が低い、下品、粗末を表す語だ。

その昔、農民が木に登ってノコギリで枝を切っていたところを通りかかったさる貴族が、従者に問うた。

「あれなる民はなにをしておる」

従者はあの道具はノコギリというもので木の剪定をしているのですと説明した。

そのノコギリは錆びてひどく刃こぼれしていたから農民は必死にノコギリをひいた。

それを気の毒に思った貴族は

「あないやしきノコギリかな」
(ああ、なんと粗末なノコギリだろうか)

といって急いで自邸にもどると、すぐさま日本文化センターテレフォンショッピングに電話をして、農民に高枝切りバサミを送ったという。

それから高枝切りバサミで枝を切られてきれいになった木をみて、貴族は

「なほ、ノコギリいやしきことなり」
(やはり、ノコギリは下品である)

といったといわれ、それ以来その木のことは

「ノコギリいやし」

とよぶようになったとかならなかったとか。

このノコギリの「ri」と、いやしの「i」が二重母音のため、いつのまにか片方の「i」の発音が脱落したものが通俗化し、現代においてはノコギリヤシと呼ばれているのである。めでたしめでたし。

うん、ぽい!(5分経過)

えーと、後一個くらい・・・そう!方言説!これでいこう!

その昔、とある森のなかに木の一家が仲睦まじく、地中から水分と養分を吸収して暮らしておりました。

しかし、その森はエボシという女性が経営するタタラバなる(なんかイケメンがきたら急におっぱいが見えちゃうの気にする節操のない女たちが鞴を踏む)事業のために伐採がきまったのでした。

「うち嫌やし!ノコギリで切られるんなんか!」

「ヤシ子!わがまま言わないの!我慢なさい!」

「まぁまぁ怒らんと。最近はチェーンソーっていうのもあるらしいで」

「あなた(パパ)はだまってて!」

「はい・・・(しゅん)」

「絶対いややし!ノコギリいややし!斧やなかったらうち死ぬから!」

「ヤシ子!」

これが上記の要領で(ry

9分経過。

あとはびっしり書かれた天然じゃない配合成分をお経みたいに読み上げて10分経過。

いやぁ長い。長過ぎ。やっと流してシャンプーできる!

ちゃちゃっとシャンプーしてね、で、リンスか・・・えーっとこれは、なになに・・・15~20gを頭皮から髪全体に塗布し、マッサージします・・・ふむふむ・・・で、

「5~10分放置した後―」

・・・なげぇよ!

すぐ流して僕はお風呂をでましたとさ。

女性っていつもこんなことやってんの?すごい。

あと、もしかして俺、双極性障害なのかな? (・ω・)

チョコ棒を買うのに使わせてもらいます('ω')