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思い出の一曲

『おもいでのいっきょく』

頭の中でパッと
Beatles の let it be が思い浮かんだ


ミャンマーの国境警備隊と歌ったあの曲を私はきっとこの先一生忘れないだろう


当時の私はいわゆるバックパッカーだった


『リュック一つ背負って海外を旅する』


そんな自由で無鉄砲な挑戦にわたしはハマっていて、長期休暇には必ずリュック一つ背負って外国に行っていた。


当時はナオトインティライミが流行り出した頃で、楽器を持って海外を旅していたというエピソードがよく話題になっていた


そんなナオトインティライミにあやかり、『私も楽器を持って海外行ってみようかな』たぶん、そんな軽い思いつきで私は買ったばかりのウクレレを持って一人東南アジアに旅に出た

ウクレレを買ってまだ1ヶ月未満だった私は当然まともに弾けるわけもなく、ウクレレを買った時に一緒についていた教本を一緒に持って行っていた


どれぐらい弾けなかったというと、初心者コードと呼ばれるA.C.D.Am.Em.Fこれぐらいがやっと弾けるほどの腕前


ただ、海外に行くからには、海外の方と一緒に弾ける曲が一曲あった方がいいよな


ということで、Beatlesのlet it beだけは弾けるように練習していた


そんな状態でわたしは単身旅に出た

旅した期間は約2ヶ月で

タイ、ラオス、ミャンマーを私は旅したわけだけど

冒頭のミャンマーの国境警備態度と歌った経緯を話そうと思う


ミャンマーという国に行くにはVISAが必要になり、必ず申請しないといけないのに、当時の私はミャンマーに行く気は全くなかったので申請をしていなかった

なので本来であればミャンマーの国に入ることは叶わなかったはずが

たまたま難民キャンプのボランティアで訪れたタイとミャンマーの国境の街、メーソートである情報が回ってきた

それは、『ワンデーパスが発行されているらしい』という情報だった

タイとミャンマーその都度、各々の政府の情勢により国境が封鎖されたり解放されたりと緊張関係にあるものの


一時的に国境が開かれる際には 
1日だけ両国間を行き来できる

「ワンデーパス」というものが発行される

というのだ

当時その話を聞いた私は食いついた


『え。なにそれ。ラッキー!行ってみたい!行く!』


という、フッ軽さで次の日タイとミャンマーの国境に行き手続きを行った


手続きの内容は

ワンデーパス代を払うこと

パスポートを国境警備隊が預かること

必ず日付を超える前に国境の街へ戻ってくるこ

たぶんこんな感じだった

ワンデーパス

一か八かで来た私はそのまま手続きを済ませてミャンマーに一日滞在することに。


ただ、荷物を全部持ってきたままだったので

パスポートを預けるのについでに色々おいてもらうことになった


そしてなんやかんやミャンマーを一日満喫してわたしは日が暮れる前にミャンマーの国境警備隊のいる部屋へと戻ってきたのだが、


すんなりと荷物を返してもらえると思っていたのに、国境警備隊がここである無茶振りをしてきた


『お前の持ってるのなんだ?』


わたしはその時ウクレレを背負って旅をしていたのだが、そんな姿が物珍しかったのか国境警備隊が食いついてきた


This is ukulele

(これはウクレレやで)

というと、『一曲弾いてくれ』

と言い出した


こちらとしては、え!?

と。そりゃもう普通にひたすらビックリした笑
『いや、初心者だし弾けないよ?』

と、英語でそう何度伝えても、国境警備隊の無茶振りはとまらない


しまいに、

一曲弾かないとパスポート返さねえーぞ


なんていう始末。


そう、そこで弾いたのが

冒頭で紹介した

Beatlesのlet it beだったわけである


最初は私一人で弾いていたのが

段々と国境警備隊の人も歌い出し

最後はもう全員で大合唱


一人は携帯でずっとビデオ撮るは

もう一曲歌えだ

てんやわんやしてそしてなんやかんや、

何曲か日本の曲も披露し国境警備隊の人も満足したのか、無事パスポートを返してくれた 

今思い出しても本当に面白い経験だった

国境警備隊と最後に取った写真。右の人がパスポート返してくれなくて無茶振りした人笑

『音楽に国境は無い』

だなんて、耳にタコが聞いたことがあるフレーズだと思うけど


聞いたことあるのと、実際経験するのでは

こんなにも違うんだと実感した出来事だった


難民キャンプに行ったことも

国境の街でたまたま出会った旅人も

あのときたまたま国境が開かれてワンデーパスで滞在できたことも


全部が偶然で、

そんな偶然の先にミャンマーの国境警備隊と歌を歌う


だなんて面白い体験ができるなんて

誰が想像できたんだろう


そんな強烈な経験だったからこそ

Beatlesのlet it beは私の中で

一生忘れられない『思い出の曲』

となった


きっと他の人が書かれたこのタイトルの文章にも、その曲に纏わる思い出や当時のいろんな想いがつまってるんだろう

いつか機会があったら思い思いの思い出の曲を流しながら思い出話を語りあえたらなんて素敵だろう

昔の旅の備忘録


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