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ミルクはどこに消えた?

 昨夜は眠たかったので八時に床に就いた。

 そのおかげで今朝は三時前には目が覚めた。

 寝ぼけた頭でそういえば牛乳切らしていたなと思って出かけることにした。

 外は真っ暗だが運動不足解消に歩いて近所のコンビニまで行こうと思った。

 簡単に身支度をして卸したての靴を履いて家を出た。

 気温はそうでもないが湿気が多くて肌にまとわりついてベタベタした。

 それでも明け方の街には新聞配達のバイク以外にすれ違う人もおらずその点は気分が良かった。

 十五分くらい歩いてコンビニに到着。

 入店して牛乳と朝ごはんにピーナツクリーム入りのコッペパンを買った。

 店員さんは外国の人だったのだが元気が良くておはようございます!とハツラツとした声をかけてくれた。

 こちらも負けじと大きな声で挨拶を返してほんの少し世間話をしてレジで精算をしてお店を出ようとした。

 すると背中越しにありがとうございましたー!気持ちのいい声が聞こえてきた。
 
 うんうん、なかなかいい朝だなと思って足取りも軽く家路についた。

 帰宅してエコバッグを台所に置いて手を洗いに洗面所に行った。

 手洗いとうがいを済ませて、買ってきたものを冷蔵庫に入れようとした時に異変に気が付いた。

 買ってきたばかりの牛乳がどこにもないのである。

 あれぇ、おかしいなぁ冷蔵庫に入れたっけ?と思って覗いてみたが無かった。

 エコバッグの中にはコッペパンは入っていたので牛乳だけどこかに行方不明になったことになる。

 ううん、解せんと思いつつ玄関から台所までの導線を注意深く歩いてみたが当然見つからない。

 ありゃーこれは困ったなぁとその時に事態の深刻さに気が付いた。

 行方不明になったことで朝ごはんに困るのはもちろん、家のどこかで静かに痛んでいく牛乳の事を考えたら気持ちがゾワゾワした。

 実は私にはそこにあったものが消えてなくなると言う現象がたびたび起きる。

 ポケットに入れていたはずの家の鍵がどこを探しても見つからないとか買ったばかりのゲームソフトをカバンから取り出そうとしたら見当たらないというちょっとした実害を伴う困った現象である。

 昔この話を友達にしたらあるあると言う人とそんなバカげた話は聞いたこともないと言う意見で二分したことがある。

 結局お前の不注意が原因だと結論付けられてはなはだ不本意だった。

 この現象が起きると頭の中で井上陽水の夢の中へがリフレインされる。

 そんな事を考えながら昨日の晩御飯のお話を少しだけ。

 昨日は実家から分けてもらった地元産のシラスを使った。

 まずはお米を洗って浸水させて炊飯する。
 
 炊けるまでの間におかずを作る。

 キュウリを斜め切りにして小さじ一杯の塩をまぶす。

 それを電子レンジで一。

 後はそのまま五分放置。
 
 これで簡単浅漬けの出来上がり。

 トマトが沢山あったのでざく切りにして塩を振ってオリーブオイルをたっぷりかけて冷蔵庫で冷やしておいた。

 汁物はプチトマトのみそ汁。

 お米が炊けたらどんぶりに軽く盛る。

 そこにシラスをたっぷり載せて卵黄を真ん中にポトリ。

 仕上げにゴマを振りかけてシラス丼の完成。

 味付けは生醤油をチラチラッと。

 ようし、今日も出来たぞぉと思いながら妻を呼ぶ。

 昨日のお酒は焼酎の水割り。

 カチンとグラスを合わせて乾杯。

 ククーィッと飲むと芋焼酎の甘みがほんのり伝わって良い。

 水割りなので飲みやすくてクイクイいってしまう。

 つまみに浅漬けを食べる。

 ポリポリした歯ごたえで塩気もちょうど良くてものの五分で作ったとは思えない味。

 レンジの力をありがたく思いながらつまむ。

 それからトマトサラダも。

 油と塩だけのシンプルな味付けだがこれがまた鮮度のいいトマトにはよく合っている。

 噛むとプチュッというトマトの酸味が嬉しい。

 これもお酒に合うなぁと思いつつキビュッ。

 みそ汁で口直しをしてからどんぶりに箸を伸ばす。

 卵を潰してよく混ぜてからハムッ。

 シラスが大ぶりで小魚特有の味が濃くてかなりイケている。

 卵のコクがあっさりになりがちなシラス丼にパンチを加えている。
 
 ゴマのプチプチも時折口の中で弾けて楽しい。

 いやはや、シラス丼良いなぁと思いながらお酒のアテにちまちまと食べた。

 妻は無類のシラス好きなのでうっとりしながら食べていた。

 ゆっくり食べてご馳走様。
 
 お酒は水割り三杯と控えめな量。

 ほろ酔いで片づけをしてシラスのお礼の連絡を母にした。

 ううん、それにしても今朝買った牛乳の行方はいずこ。

 妻も当然知らないと言っていた。

 物が急に消える謎の現象。

 皆さんも同じような経験をしたことはありませんか?

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