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【週末投稿】つれづれ有用植物#219(バラ科ナナカマド属:ナナカマド)

秋になると紅葉と赤い実が美しい日本原産の落葉小高木です。
北海道、本州、四国、九州の冷温帯の山地帯の上部および亜高山帯の林地に自生します。

春の芽出し、新緑、秋の紅葉、雪中に残る赤い果実と四季を通じて見所があるため、公園、街路、庭園にも植栽される。東北や北海道では街路樹としてよく見かける樹です。

近縁種はアジアやヨーロッパの各地に自生しており、中国では「花楸樹」といわれているそうです。

「ナナカマド」という名前の由来には、材が堅くて7回カマドに入れても燃え尽きないという説と、良質の炭を作るには7回(あるいは7日間)カマドに入れる必要があることによるとする説があるそうです。

ナナカマドの開花は5~7月です。直径6~8ミリほどの小さな花が集まって、直径10~20センチの傘状になります。花には5枚の花弁と20本の雄しべ、そして3~4個の花柱(雌しべ)があり純白で美しい花でハナアブやハナバチがよく群がるそうです。花材としても利用されます。

【ナナカマドの花】

秋にできる果実は直径5~6ミリの球形で、枝先にまとまって垂れ下がります。赤く熟すのは9~11月ですが、落葉後もしばらく枝に残り、熟しきった頃にツキノワグマやツグミ、ムクドリ、ウソ、アトリ、キレンジャクなどの野鳥が好んで食べるようになるそうです。
フランスではセイヨウナナカマドを「ツグミの木」と呼ぶそうです。

秋になると紅葉し、全体が色むらのない濃い赤色で寒い地方ほど色鮮やかに染まる様です。橙色や赤色に紅葉するものが多いですが、黄色くなる個体もあり、それぞれに美しく色づきます。

■ナナカマドの紅葉が美しい渋峠と山田峠・4K(4分16秒)
haruyuki onoue 様


果実は苦みがあるので生食には向きませんが、ジャムなどに加工して食用に利用できます。また砂糖と一緒に焼酎に漬け込み、3か月以上寝かせれば果実酒になります。ナナカマド酒は淡い琥珀色で、個性的な風味で軽い苦みがあるそうです。

成長が遅いため、幹の直径は最大30センチほどにとどまる様です。
樹皮は暗い褐色で独特の臭気があり、若いうちは滑らかですが、樹齢を重ねると細長い皮目と呼ばれる凹凸ができて浅く裂けます。
材は褐色で緻密かつ重厚で硬く細工物に適しており、ろくろ細工の材、彫刻材としても優良です。道具の台などにも使われています。
また、よく燃えて備長炭の代用として優れ良質の灰ができるそうです。

樹皮は染料、茎・茎皮・果実は薬用となります。
アイヌはナナカマドをかゆや茶に入れて解熱剤にしたそうです。
下痢やせき止め、止血など用途は幅広いですが、採る時期や場所で効き目は全く異なるそうです。

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