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【週末投稿】つれづれ有用植物#231(キク科ハハコグサ属:ハハコグサ)

春になると、細いへら型の葉で全体が白い綿毛に包まれて白っぽく見える草を見かける事がある。越冬性の2年草の草だ。
中国からインドシナ、マレーシア、インドにまで分布し、日本では北海道から九州にかけて全国に見られます。

【ロゼット状で越冬し終えた ハハコグサ】

春になると、茎を伸ばして4月~6月頃に茎の先端に小さな頭状花序を散房状につけ、黄色い花が密に集まって多数咲かせます。
ここまでくると、ハハコグサを知っている人なら「あ~、あそこに生えている」と気づくようになる。

花が終わると、タンポポの様に綿毛を付けて種が風で飛ばされて次の世代に生命をバトンタッチします。

今では雑草の一種として見向きもされない事が多いのですが、ハーブティーや草餅、生薬として利用されてきました。
日本では、春の七草として御形(ごぎょう、おぎょう)と呼ばれ、七草がゆとして毎年の行事としてお目にかかっているかもしれません。

【七草がゆ】

草餅の原料はハハコグサを使って作っていました。
香りづけや色づけを目的として、ヨモギを使った現在の草餅と違い、全体に細かな毛が生えていたハハコグサを餅のつなぎとして利用し、餅に絡まって粘りを出すために役立てられていたそうです。

清明粑———舌尖上的春天,烏江之洲,樂樂的味道。

Posted by 在美国的糖西瓜 on Sunday, March 10, 2024

花がつき始めるころの草体は、葉の裏側の毛を除いて軽く茹でた後に水にさらし、おひたしや和え物にして食べることもできます。ただし灰汁も繊維質も強いので、生のものを天ぷらにして特有の香りを楽しむほうが向くとも言われています。

開花初期に、花がついた全草を採取し細かく裁断して日干ししたものには鼠麹草(そきくそう)と呼ばれ、民間療法として、風邪や咳止め、扁桃炎、のどの腫れなどの症状改善に利用されてきました。
肺を温める薬草でもあるため、肺に熱があり、痰が黄色で、のどが渇く人には使用禁忌とされています。

同じハハコグサ属で、似た植物として「チチコグサ」というものがあります。母に対して父と命名されるものは、大きい・立派・荒々しいなどの意味が込められている様ですね。

【チチコグサ】

チチコグサは草餅などの食用としては利用されていない様ですが、同じように民間療法とし同じ効果があるとして用いられます。

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