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大切な存在がストレスになるという矛盾と共に生きる

ストレスという言葉は悪のイメージが強いと思う。しかしストレスがあることで、生活にハリが出たり、逆に幸せをちゃんと感じられたりするという良い効果も実はある。また、ストレスをゼロにするということは人間生活の中でほぼ不可能だ。

ただ、今日は自分にとって大切な存在がストレッサーになるという矛盾に着目して書きたい。ちなみにストレッサーをググると、下記のように出てくる。

ストレッサー(stressor)とは、ストレスを生物に与える何らかの刺激のことを言う。また、その範囲は広い。主に物質的な刺激のことをいうが心理的な意味も含まれる(暑さ、寒さ、痛み、生理的物質への反応、怒り、苦しみ、など)。

Wikipediaより

「ストレス=刺激」と考えて良いだろう。刺激単体は必ずしも悪いものではない。ただ、刺激が広範囲に渡ったり強度が上がったりすると、心身に負荷がかかるという構図。なので、心理学の勉強ではよく風船に刺激が与えられるイラストを用いて説明される。


モノも、モノ以外も両方ストレッサーになり得る。ライトな方だとモノだが、例えば私にとって、大切なアクセサリーはストレッサーになる。無くしたらどうしようと思いながら、こまめに落としていないか触って確認してしまう。

何も着けて出かけないほうがよっぽどストレスレスだが、それでも着けて外出するのは、それを身につけている多幸感がそのストレスを上回るからだ。また、なくしても最悪また買えば良いという気持ちもある。(唯一無二のものは結局着けて出かけられないし、大人になっても1000円前後のアクセサリーが好きだ。)

モノ以外の方がもっともっと大変である。なぜなら、命は明確に代わりが効かないし、反省して次から気をつけようと思っても遅いなんてこともあるから。

例えば、私は愛猫が心の底から大切であり、宝物のような存在である。可愛くて仕方ないし、毎日「うちの子になってくれてありがとう」と声をかけている。しかし語弊を恐れずに言うと、生活において常に「ストレスを感じている」という状態にもなった。

それは、ずっと猫のことが心の中にあるからだ。元気に生きているかな。餌が出る機械は壊れてないかな。暴れて怪我をしてないかな。誤飲するものって部屋になかったかな。1人で寂しくないかな。気にしても仕方ないことが、割とずっと頭の中でグルグルしている。もし困ってることがあったら、一目散に助けてあげたい。

この思考が強まると、少し強迫性障害みたいな症状になる。例えば夜少しの物音で目が覚めるし、リビングで猫の姿を確認しないまま外出した日はリビングの外に出ていないかずっと気になっていた。少しの時間でも1匹にする時は、机の上に飲み物がないか(特にお酒とコーヒー)、飲み込んでしまうと危険な紐や羽根のついたおもちゃや小さいものがないか、必ず指差し確認する。

これは、「ついうっかり」の怖さを社会人になり仕事で学んだことも大きい。仕事で猫よりもずっと物事の判別がつかない乳幼児(まじで、なんでも口に入れるしすぐ転ぶ)と一緒に時間を過ごして、誤飲や転倒のリスクがどれだけ大きいか知った。給料をもらい、45分間というとても限られた時間、完璧な環境設定をして一瞬たりとも目を離さなかったから遂行し切れていたのだと思う。

プライベートが仕事と違ってより難しいなと思うのは、時間が無限にあることだ。そして、全てが自己責任であるということ。区切りがないからどれだけでも心配出来てしまうし、何かあったら自分のせいだと思うと怖い。

ただ、どれだけストレスがかかっても、「猫と一緒にいられて死ぬほど幸せ」という気持ちが必ず上回る。私が飼いたくて飼ったので納得感もあるし、「それだけ私にとって大切な存在だなんて、ほんと猫様ったら罪な奴め!」と笑える。物理的にも常に一緒にいることは不可能なので、それもいい線引きになっている。

※ちなみに、夫はとても大切な存在だが、ほぼストレッサーにならない。彼のことを心の底から信頼してるし、お互いに自立した存在だからだと思う。これはとても心地のいい関係だ。


そんなこんなで人間って案外大切な存在がストレスになるという矛盾と共に生きていると気付く。だから、私は大切な存在(モノも、モノ以外も)はあまり増やしたくないと大人になればなるほど思うようになった。

近い将来、大地震が都心で起きると言われている。この前夫と「もし家から逃げないといけない時が来たら、どうしても持っていきたいものはあるか」という話をした。結局2人とも、猫以外は何もなかった。会社のパソコンも、婚約指輪も、お気に入りの服も、鍵も携帯も、別に絶対必要なモノじゃないんだなぁと再確認した。

全てなくなっても夫と猫がいたら、また絶対にやり直せる。幸せに生きられると確信がある。両手で抱きしめられる存在だけを大切に。これからもそんな身軽さで生きていたいものだ。


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