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私を形作ったもの 第四弾 四月は君の嘘 完結編


前回までのあらすじ

 四月は君の嘘について、アツく語ったつもり僕。Twitterでは、全然語り切れなくて、どんどん減っていくフォロワー獲得の為、ブログを書こうと決意した。
 しかし、10000字書いて、これ以上書くと読んで貰え無さそうと判断し、このblogを以て、完結しようと決意したと今に至る。
 果たして、このblogを書き切ることが出来るのか?
 今回で、完結編のはず・・・・。
 詳しく知りたい方は、前回の記事を読んで貰えると嬉しいです。
 それでは、どうぞ。

第五節 個人的推し話数

第22話 「春風」

 バラード第1番 ト短調 作品23を演奏する場面から始まり、それまでの振り返りをする公生。

 これまで空っぽと思っていた公生の中にあるものを全て掃き出し、演奏を始める彼の姿には、心打たれるものがありました。
 最初はかをりちゃんに元気になると信じていましたが、演奏中、彼女の幻影が現れ、彼女の死期が近いことを暗示するように。
 それでも、引き続ける公生の覚悟は、尋常では無かったと思います。
 これまでの彼は演奏を止めてしまう程、脆く弱い存在でしたが、だからこそ、鍵盤から指を止めない姿には、思う物がありました
 ここで演奏を止めたら、それこそ、かをりちゃんに悪いとも思ったんでしょうね。
 また、一緒に演奏できるというのに、これが最期になるなんて。

 原作にはなかった公生とかをりちゃんが、何処か知らない世界で、演奏を始める場面。其処に至るまで、どんだけの原画を使ったんや?
 原作では、2人で演奏している場面を確認出来るのは、椿のみなんですけど、そういう茶々が無いのが、とても好印象でした。
 ここまでの話数は審査員や観客の言葉がうざいと思うことが多かっただけに、マジで演奏しているだけという演出には好感しかないですね。

 幻想的な世界で、やっと2人だけになって、演奏できたもの、いよいよ、訪れる別れの時。
 苦しい中でも、演奏を止めず、一心不乱にピアノに向き合う公生の姿はもう、悲しくてしんどかったですね。
 奇跡は起きなかったかをりちゃんは死んでしまいました。
 それについては、後で言いますが、彼女が死ぬ際の超新星爆発のように消えるのは、この作品はやたらめったら、星の演出が多いので、それにあやかってのもの。
 花という案もありましたが、それでは絵にそぐわないと言われ、却下されたとか。
 一応、どれも原作者の新川先生のアイディアらしいですよ。

 アニメスタッフも、公生もかをりちゃんだけの世界を築き上げる為、アニメならではの展開を製作したとか。
 「アニメって、こんな表現が出来るすごいものなんだよと」と見せつける形となったAパート。
 Aパートは演奏パートのみという正気の沙汰とは言えない位の作画数と美しい音に心が包み込まれるような感覚になりました。
 全スタッフがやりきったという位の出来なので、どうか、皆にも見て欲しい限りです。

 Bパートは、かをりちゃんの遺書で明かされる彼女の過去。彼女が抱えていたものについての思いが語られるパートとなっております。
 公生のピアノを聴いて、ヴァイオリニストになった過去、公生たちの輪に入れなかった過去、自分の命が短いこと、その全てが暗くも、入退院ばかりを繰り返して来た陰気なかをりちゃんを変えました。

 四月は君の嘘というタイトルの意味。それは、好きな人に会う為についた嘘のこと。大好きな彼にもう一度、ピアノを弾いてもらう為に憑いた嘘。
 その嘘が公生と同じように、空っぽだった彼女の心を埋めていく四月
のあの日の物語。
 このタイトル回収の秀逸さは見事としか言えませんでしたね。言われて気付いて、鳥肌が立ちました。言葉に出来ない位、素敵なタイトルでした。

 渡に嘘を憑き、公生と出会い、その結果、何も変わらなかった三人の関係性を大きく乱すこととなり、皆に対しての懺悔の気持ちも綴られていました。
 個人的に渡は彼女と別れ、かをりちゃんの中で、好きじゃなかったという酷な演出には、自業自得と泣いてもええんやでという複雑な感情が入り混じった気持ちが僕の感想です。
 しかし、渡の中でも、それがニセコイだったとしても、彼の中にも、かをりちゃんが生きていたと分かった場面は、辛いねぇとしか・・・。

 知りたくなかったのは、柏木のBLの知識・・・・新川先生の闇が見えたというか・・・・。

 かをりちゃんの思う公生との思いを語る場面は、しんどかったですね
 それまでの傍若無人な態度は好きの裏返し。公生のことが好きだったからこそ、ありのままを書くのが、余計にメンタル抉られました
 そもそも、公生がこれを読むまでに時間が掛かっていたところを見ると簡単には割り切れないよなぁ。

 色んな思い出の中で空っぽだった公生の心は、かをりちゃんの思い出で満たされていて、もう彼女は居ないんだと実感出来て、余計に苦しいです。
 その過程で流れる「キラメキ-公生とかをりの演奏Ver.-」で明らかとなる二番の歌詞。ここでかをりちゃんはいないと明らかになるよう、制作されていて、最初からこうなることはこの時点で明らかになっていたのです。
 こういうネタバレありきでないとこの作品は成り立たないという制作陣の熱量と素晴らしい楽曲を作ったwacciの皆さんには感謝しかないですね。

 それまでのかをりちゃんの手紙は一方通行でしたが、ピアノを通して、2人の思いは再び繋がり、言葉を交わす姿は、気持ちがいっぱいになりましたね。
 手紙を読む場所が、ちゃんとこれまで行った場所という演出も古典的ではありますが、にくいですねぇ。

 そして、好きですの告白には涙が止まりませんでした。
 この22話を通して、描かれることの無かった思いの全てが、この場面に凝縮され、尊い気持ちでいっぱいになりました。
 これをどれだけ、伝えたかったのか?この数文字を生きている時に伝えられなかった後悔は如何ばかりだったものかと

 宮園かをりを演じた種田梨沙さんにとって、かをりは人生の一部であり、代表作と仰る程、感情を込めて、演じていたとのこと。
 14歳から15歳という短い期間。短い生涯の中、どうやって死んだのか?ではなく、どうやって、生きたかをこの短い時間で美しくも儚く演じた種田梨沙さんを僕は大好きな声優さんとして、生涯推そうと決めた切っ掛けもこの作品でした。

 本当に生きていて欲しかった。生きて、色んな笑顔や思いを届けて欲しかった。
 これの所為で、僕はマジで立ち直れなくなって、2015年3月に放送が終わりましたが、僕の2015年は終わったなと真面目に考える程、深みに嵌っていました。
 本当に君嘘より、面白いアニメねぇなァとか、つまんねぇとか、作画が酷いとか、何もかもがどうでもいいと真剣に考えていました。
 こんなにアニメに沼る経験はSAО位で、ここまで感情移入する作品はこの当時では、多くありません

 最近はアニメの総集編とかを劇場公開してるから、劇場で観たいアニメですね。間違いなく。放送から、来年で10年なんで、何かやって欲しいな
 その為なら、何が何でも、動きますけどね。

 話を戻すと最後の場面で、踏切でかをりちゃんと公生は別れを告げ、椿が現れ、彼女が一人にさせない(実質、プロポーズ)発言をした後、静かに降りていく遮断機が何とも切ない。
 向こう側には彼女がいて、生きている公生と椿はその向こう側を見つめるのみ。
 春風に乗って、飛んでいく桜吹雪はかをりちゃんであり、もう、彼女との本当の別れを暗示している隠れた演出がきつい。
 そして、最後に少しだけ、文字が消えていた部分が埋まり、四月は君の嘘と補完される場面で、終わる演出が本当に終わりなんだと思いました。

 お互いの心を埋め合うように、ようやく、2人の心が埋まり、本当の意味でのこの物語が終わった意味合いと勝手に解釈してます。
 最後に流れた7!!の「オレンジ-Acoustic Ver.-」をリピートしたことか?
 この曲のアウトロがもう、最高に好きで、ここが溜んない位、好きで仕方ないです。

 これを聴いて、かをりちゃんは生きている生きているんだと何度、妄想したことか?ショックで一か月は立ち直れなくて、君嘘見たくないと思って、もう一度観ようと思うまで、どれだけ、時間が掛かったことか?

 とにかく、22話という短くも濃密な時間を丁寧に描き切った本作は僕の疲れ切った心に染み渡り、今も大事にしたいと思える人生の一部のような作品になりました。

 引用元 四月は君の嘘 プロダクションノート 四季をめぐるメロディ
 Animation product noteより

最終章 まとめ

 こういう時、僕は嫌なオタクだなと思うのは、舞台にしないでとか、ミュージカルにしないでとか、考えてしまう時です。
 アレほど、完璧なアニメを見せつけられ、それ以上はもう蛇足だよと考えちゃう時もあります。
 前回も書きましたが、実写の君嘘は観たいと思えませんでした

 しかし、今はあのアニメを超えなくても、別の視点で君嘘を見たいなと凄く思っています。朗読劇とかで、新たな目線での君嘘観たかったなぁ。
 このミュージカルも見てみたい気がします。色んな目線で綴られるアニメでは伝わらなかった空気感を感じたい、そう思えるようになった自分を素直に褒めたいですね。
 実写は・・・お察し下さい。高校生って・・・

 そんなこんなで、お送りして来た四月は君の嘘。僕の中でどれだけ、大きく、強く根付いているかが、伝わってくれたなら、それでいいです。
 本当はもっと、言いたいことがあるけれど、これ以上やるとモチベに関わるので、遠慮しておきます。
 機会があったら、語りたいんですけどね。

 あの頃の僕はイベントはあっても、参加出来なくて、聖地巡礼は出来ても、それだけで、グッズというグッズは全然持ってなくて、本当に今なら、もっと推せるのにと思う今日この頃。
 最近は公式さんの周年タイムが大きな話題となっているので、何かやって欲しいなぁ。あの頃のリベンジがしたいんですけどね。

 四月は君の嘘は僕の中での人生観や泣けるアニメは人を豊かにすることを教えてくれた大切な作品となりました。
 本当に感謝しかないし、好きが詰まった作品がどうか、皆さんの心に届きますように


 届くかな?届くといいな。

 この作品が大好きな人はスキとコメントお待ちしてます。

 次回の更新は1月の予定です。
 それでは、第5回「BLACKLAGOON」でお目にかかりましょう。
 さようなら。

 いや、君嘘からの温度差で風邪引きそうなんだが。

おまけ 名言まとめ

 ピアノは嫌いだ。それでもしがみついているのは、きっと僕には何もないから……ピアノを除けば僕は空っぽで、不細工な余韻しか残らない……

 もう一度……会いたいけど、会いたくない。こういう感情を何て言ったかな……こういう気持ちを何て言ったかな……

 暗い海の底にいるように何も聞こえない……誰もいない、暗い、暗い、暗い……ぼくは暗い海の底で独りぼっちになる……

君の言うことすること、全てキラキラ輝いていて、ぼくは眩し過ぎて目をつぶってしまう……でも憧れずにはいられない

 悲しくてもボロボロでも、どん底にいても、弾かなきゃダメなの。そうやって私達は、生きてゆく人種なの

 苦しそうかぁ……困ったな。苦しいのは当たり前なんだけどなぁ。ぼくは海図のない航路を行くんだろ?挑戦するのも生み出すのも苦しいよ。でも充実してる。だからありがとう。

 ぼくは喜んでほしかっただけなんだ……椿や渡と遊びたくても我慢して我慢して練習したのに……お母さんに元気になってほしかっただけなのに……それなのに……お前なんか死んじゃえばいいんだ!

 ああ……そうだ……ぼくは君のために弾こう

 ぼくはたった一人でいいや。君だけでいいや。ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう!

 4月のある日、変なバイオリニストに出会ったんです……傍若無人、唯我独尊、でも好きな人に見せる笑顔は天使のよう。蹴られ、殴られ、引きずりあげられた舞台には、慣れ親しんだ舞台には、僕の知らない光景があった。ぼくはもう一度その光景を体験したい。だからぼくは思ったんです……変なピアニストになりたいなって。

 君は弾けないんじゃない……弾かないんだ。「ピアノの音が聞こえない」それを言い訳に逃げ込んでるだけじゃない。

 私を見て。顔を上げて私を見て。下ばかり向いてるから五線譜の檻に閉じ込められちゃうんだ。大丈夫……君ならできるよ。

 旅の恥はかき捨て!思いっきり恥かこうよ!2人で!

 違うよ……音楽が自由なんだよ!

 大丈夫。私たちならできる。弾かなきゃ駄目なの。でも君がいいの。私は全力で弾く。聴いてくれた人が私を忘れないように。私は演奏家だもの。アゲイン!

 この先は暗い夜道だけかも知れない。それでも信じて進むんだ。星がその道を少しでも照らしてくれるのを。さあ旅に出よう!

 また下ばかり見てる。みんな怖いよ、舞台に上がるのは。失敗するかも、全否定されちゃうかもしれない。それでも歯を食いしばって舞台に上がる。何かに突き動かされて私たちは演奏するんだ。

 そんな演奏家たくさんいるよ絶対!「やってられるか」「お前が弾け」って。それでもまた拾い上げて楽譜に向かう。そうして最も美しい嘘が生まれる!

 音が聞こえなくなってピアノを捨てようとする君。ピアノをよりどころとする君。だから目を背けるように、ほこりや本で覆い隠そうとしている。いとしいけれど近づけない。恋しいけど触れられない。悲しいのに、痛いのに、私はそれに気づかないフリ……「ピアノを弾いて」「頑張って」なんて無責任なことばかり……私のせいで苦しんでる……ごめんね。

 卵サンドが好き。モーモー印の牛乳も好き。意外にも甘い物も好き。運動は苦手。椿ちゃんに頭が上がらなくて、モテる渡くんがちょっとうらやましい。君はお母さんの影なんかじゃないよ。君は君だよ。君らしく……なんて曖昧なものじゃない。何やったって、変わったって関係ない。君はどうせ君だよ。

 無駄な一日なんかじゃないよ。このまま時間が止まっちゃえって思うくらい、すてきな一日だった。ありがとう。お買い物して、夜の学校を探検して、男の子に送ってもらう帰り道は、こんなに星がキラキラしてるんだね。

 みっともなくても、悪あがきでも、あがいて……あがいて、あがいて、あがきまくってやる

 私の人生だもの。このまま諦めてたら、私がかわいそう。

 私の中に君はいるよ、有馬公生くん。卵サンドが好き、モーモー印の牛乳が好き、あと何が好き?好きな昆虫は?何を集めてた?好きだったアニメは?知らないことたくさんある……何でも知ってる椿ちゃんがうらやましい。君のことたくさん知りたい……怖いよ……怖いよ、怖いよ、私を一人にしないで!

 美和が言ってたよ~好きな人がいると全部がカラフルに見えるって。

 負けてくやしいのに、落ち込んでるのに、足が痛いのに、目が涙でぐしょぐしょなのに、最悪なのに、どうして星がこんなにキラキラしてるんだろう。髪から音楽室のニオイ、少し荒い息遣いが聞こえる……涙で濡れた肩口が温かい……私はそばにいる。このまま時間が止まればいいのに……

 そりゃあ、おれなんかで良けりゃさ、何だってするよ。好きな子のためなら泥水だってすするぞ、ズズズッとな。でもよ、かをりちゃんはたぶんおれじゃ駄目なんだよ、わがまま言うのも頼られるのも、彼女が何かしてほしいっていうのは、決まってお前だよ、公生。

 バッカじゃないの?かをちゃんは渡が好きなの。あんたは……私と恋するしかないの!

 どうだ、思い知ったかざまあみろ。踏み出してやったぞ、女の子として意識させてやったぞ。私はいっぱい苦しんだんだ、あんたも苦しめ。苦しんで苦しんで私のこといっぱい考えろ。やっと始まったんだ、でもどうなっちゃうんだろう……心臓が飛び出そう。冬の雨が気持ちいい、レモネードの味がする……私の時間は、動き出したばかりだ。

 一人になんてなれると思うなよ公生!背後霊みたくずっーとずっーとそばにいてやるんだからな!覚悟しとけ!

 その日曜日、私は……ジャングルジムの上、ピアニストになる未来を選択した……無限の可能性を捨てて選択したんだ。

 ひどい母親……あの子に何にも残してあげられない。毎朝歯磨きできるかしら、どこでも寝ちゃうから風邪ひかないかしら、運動が苦手だから、大ケガしないかしら、もっとそばにいてあげたかった……私の宝物、幸せになれるかしら……

 悲しみが成長させる……公生が進むのなら、失って進むのかもしれない……

 あんたの居場所はトイレじゃないわ。舞台に立つのが怖いのは、あんたが一生懸命練習したから、身も心もピアノに傾けたからだからさらけ出すのが怖いのよ。

 無理かどうかは女の子が教えてくれるさ。

 わたしのピアノ、響け。

 今、言葉は蛇足だ。想いは全部、ピアノに込めたんだから。

かをりちゃんの手紙

 拝啓 有馬公生様。
 さっきまで一緒に居た人に手紙を書くのは、なんだか変な感じです。 君はひどい奴です。 グズ、のろま、アンポンタン 君を初めて見たのは五つの時。 当時通ってたピアノ教室の発表会でした。

 ぎこちなく登場したその子は椅子にお尻をぶつけ、笑いを誘い、大きすぎるピアノに向かい 一音を奏でた途端 私の憧れになりました。 音は24色パレットのようにカラフルでメロディーは踊りだす。 隣の子が泣き出したのにはびっくりしました それなのに、 君はピアノをやめるんだもの 人の人生を左右しといて ひどい奴です 最低、のろま、アンポンタン 同じ中学だと知った時は舞い上がりました。
 「どうやれば声かけられるのかな」
 「購買部にサンドイッチ買いに通おうかな」
 でも、結局眺めてるだけでした。 だってみんな、仲良すぎなんだもの 私の入るスペースは無いんだもの 子供の頃に手術して、定期的に通院して、 中一の時に倒れたのをきっかけに入退院の繰り返し 病院で過ごす時間が長くなりました。 ほとんど学校に行けなかったな あまり自分の体が良くないことは分かってました ある夜、病院の待合室で、 お父さんとあ母さんが泣いてるのを見て 「私は長くないのだ」と 知りました
 その時です わたしは・・・ 走り出したのです。 後悔を天国に持ち込まないため、好き勝手やったりしました 怖かったコンタクトレンズ 体重を気にして出来なかったケーキホール食い 偉そうに指図する譜面も私らしく弾いてあげた
 そして・・・ 一つだけ嘘をつきました 「宮園かをりが渡亮太くんを好き」 という嘘をつきました
 その嘘は... わたしの前に 有馬公生くん。 君を連れてきてくれました
 渡くんに謝っといて まあ、でも 渡くんなら、すぐ私のことなんか忘れちゃうかな 友達としては面白いけど、やっぱり私は一途な人がいいな
 あと、椿ちゃんにも謝っておいてください 私は「通り過ぎて居なくなる」人間変な禍根を残したくなかったので、椿ちゃんにはお願いできませんでした。
 というか「有馬くんを紹介して」なんてストレートに頼んでも、椿ちゃんはいい返事をくれなかったと思うな だって椿ちゃんは「君のこと大好き」だったから みんなとっくに知ってるんだから 知らなかったのは君と、椿ちゃんだけ...
 
 わたしの姑息な嘘が連れてきた君は想像と違ってました 思ってたより暗くて卑屈で依怙地でしつこくて盗撮魔 思ってたより声が低くて 思ってたより男らしい 思ってたとおり、優しい人でした。

 度胸橋から飛び込んだ川は冷たくて気持ちよかったね 音楽室を覗くまん丸の月はお饅頭みたいで美味しそうだった 競争した電車には本気で勝てると思った 輝く星の下で二人で唄った「きらきら星」、楽しかったね 夜の学校って、絶対なんかあるよね 雪って桜の花びらに似てるよね

 演奏家なのに舞台の外のことで心がいっぱいなのは、なんかおかしいね 忘れられない風景がこんな些細なことなんておかしいよね
 (そんなことないよ)
 君はどうですか わたしは誰かの心に住めたかな
 (そうだね)
 わたしは、君の心に住めたかな
 (土足で上がってきたよ)
 ちょっとでも、わたしのことを想い出してくれるかな (忘れたら、化けて出てくるくせに)
 リセットなんか、やだよ
 (するもんか)
 忘れないでね
 (うん)
 約束したからね
 (うん) やっぱり
 君でよかった 届くかな 届くといいな 有馬公生くん。
 君が好きです!
 好きです!
 好きです!
 カヌレ、全部食べれなくてゴメンね たくさん叩いてゴメンね わがままばかりでゴメンね いっぱいいっぱい、ゴメンね ありがとう
 (君は自分勝手だ)
 (お礼を言うのは僕なのに)
 PS. 私の宝物を同封いたします 要らなかったら、破って捨ててください。
 (もうすぐ、春が来る)
 (君と出逢った春が来る)
 (君がいない...春が来る)


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