読書記録
■DRY/原田ひ香
貧困がテーマの作品が読みたくて、買ってみました。
今まで読んできた貧困モノの話とはちょっと違った読み心地を感じました。
主人公の隣に住む美代子の秘密は衝撃的だったけど、これもある意味社会から隔離されてきたから起きたことなのかな…思うと悲しくなりました。
社会に馴染めない人たちが増えている現代だけど、助けてくれる環境が整っているのも社会というものだと思います。
“知識を持つこと”“辛くても社会と関わり合うこと”の必要性を知ることができた1冊でした。
■男ともだち/千早 茜
彼氏や旦那、浮気相手とも違う「男ともだち」という存在。
世間でよく聞くこの言葉だが、恐らく多くの人が”体の関係”の有無を想像してしまうものでしょう。
しかし、ここに出てくる「ハセオ」と「葵」は決して体の関係をもつことはない。
話を聞いてくれて、そばにいてくれて、連絡したら互いに会いに行ったり会いに来たり…そんな間柄。
互いに干渉しあわず、無関心に思えるけれど、実は一番心の内を見せていて、お互いがお互いを必要としているように思えました。
そして読後、私は正直こんな”男ともだち”という存在に憧れていました。
■ホーンテッド・キャンパス 夜を視る、星を撒く/櫛木理宇
久しぶりの続編に手を出しました。
こよみちゃんと森司のほんわかとした空気と、真逆の空気のホラー感たっぷりの書き方がたまりませんね。
ギャップがすごいけど、一度読み出すとどんどん読み進めることができます。
特に印象に残ったのは【赤珊瑚白珊瑚】。
もうとにかく怖かった…。
でも、お話の背景に起こったことを想像すると悲しくもなりました。
そして、同時に昔と今とやり方は違えど同じような過ちを繰り返してしまう人の愚かさにもなんとも言えない感情をもちました。
■ガリレオの苦悩/東野圭吾
久しぶりのガリレオシリーズ、やっぱり面白いですね。
東野圭吾さんの作品って長編でも読みやすいんだけど、短編となると更に読みやすい気がします。
科学は苦手だから難しいイメージはあるものの書き方はわかりやすく書かれていると思います。
でも映像見ればもっといいかも。
印象に残ったのは【第二章】。
湯川の優しさに触れることができるいい話でした。
■未来/湊かなえ
子供の頃に辛い境遇にあっても、それでも生きていればきっと明るい未来がくる。
そう、教えてくれるような希望を持てるラストだったと思います。
一見何の関係もない人たちの出来事をバラバラに書いているようにみえましたが、後半に入るとその人達が意外な形で繋がっていることに気づきます。
湊さんの作品は私の中でちょっと難易度が高い作品が多いんですが、この作品は今まで読んできた中でも読みやすい作品でした。
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