見出し画像

読書記録

■DRY/原田ひ香

離婚し子供たちと引き離され、金銭的に困窮した藍は、祖母と母のいる実家に戻る。生活力もなく喧嘩の絶えない藍たちに手を差し伸べたのは、隣に住む美代子だった。祖父を介護して暮らしているという美代子に助けられ親しくなるうち、彼女のある秘密が知れる……。貧困、ケア、孤独。背負わされる業と役割に、女たちはどう抗えるというのか。迫真と驚愕の犯罪小説(クライムノベル)。

Amazonより

貧困がテーマの作品が読みたくて、買ってみました。
今まで読んできた貧困モノの話とはちょっと違った読み心地を感じました。
主人公の隣に住む美代子の秘密は衝撃的だったけど、これもある意味社会から隔離されてきたから起きたことなのかな…思うと悲しくなりました。
社会に馴染めない人たちが増えている現代だけど、助けてくれる環境が整っているのも社会というものだと思います。
“知識を持つこと”“辛くても社会と関わり合うこと”の必要性を知ることができた1冊でした。

■男ともだち/千早 茜

新進気鋭のイラストレーター神名葵は、関係の冷めた恋人と同棲しながらも、愛人との逢瀬を重ねている。仕事は順調ながら、ほんとうに描きたかった世界はなんだったかを見失っている気がしてならない。
迷いのなかにあった神名のもとへ、ある日かかってきた一本の電話は、かつての男ともだち・ハセオからのものだった。お互い常に恋人がいながらも決して離れることがなかった大学時代。誰よりも理解し合いながら、決して愛しあわない。そんな関係だった二人が再会したとき、なにが起こるのか――。

Amazonより

彼氏や旦那、浮気相手とも違う「男ともだち」という存在。
世間でよく聞くこの言葉だが、恐らく多くの人が”体の関係”の有無を想像してしまうものでしょう。
しかし、ここに出てくる「ハセオ」と「葵」は決して体の関係をもつことはない。
話を聞いてくれて、そばにいてくれて、連絡したら互いに会いに行ったり会いに来たり…そんな間柄。
互いに干渉しあわず、無関心に思えるけれど、実は一番心の内を見せていて、お互いがお互いを必要としているように思えました。
そして読後、私は正直こんな”男ともだち”という存在に憧れていました。

■ホーンテッド・キャンパス 夜を視る、星を撒く/櫛木理宇

オカ研に芸能人がやってきた!
アイドル系美少年の彼は、テレビ番組でも活躍する大人気霊能者。
しかし力が落ち、引退を決意しているという。
最後と決めた心霊番組の収録を手伝ってほしいと頼まれ、
森司たちは手を貸すことに。
ロケ地はあるホラー映画の撮影場所で、
女優と子役、スタッフらが怪死したデパートの廃墟。
しかし撮影中、そこに閉じ込められた森司が経験した恐怖とは……。
面白さを更新し続ける、奇蹟のシリーズ第16弾!

Amazonより

久しぶりの続編に手を出しました。
こよみちゃんと森司のほんわかとした空気と、真逆の空気のホラー感たっぷりの書き方がたまりませんね。
ギャップがすごいけど、一度読み出すとどんどん読み進めることができます。
特に印象に残ったのは【赤珊瑚白珊瑚】。
もうとにかく怖かった…。
でも、お話の背景に起こったことを想像すると悲しくもなりました。
そして、同時に昔と今とやり方は違えど同じような過ちを繰り返してしまう人の愚かさにもなんとも言えない感情をもちました。

■ガリレオの苦悩/東野圭吾

“悪魔の手"と名のる人物から、警視庁に送りつけられた怪文書。そこには、連続殺人の犯行予告と、帝都大学准教授・湯川学を名指して挑発する文面が記されていた。湯川を標的とする犯人の狙いは何か?常識を超えた恐るべき殺人方法とは?邪悪な犯罪者と天才物理学者の対決を圧倒的スケールで描く、大人気「ガリレオ」シリーズ第四弾。今作も科学トリックが冴え渡る。福山雅治主演のドラマ「ガリレオ」も高視聴率を連発し、大いに話題となった。『容疑者Xの献身』で警察には協力しないと宣言した湯川が、再び迫り来る事件に対峙する。「落下る(おちる)」「操縦る(あやつる)」「密室る(とじる)」「指標す(しめす)」「攪乱す(みだす)」の短編、全5編。

Amazonより

久しぶりのガリレオシリーズ、やっぱり面白いですね。
東野圭吾さんの作品って長編でも読みやすいんだけど、短編となると更に読みやすい気がします。
科学は苦手だから難しいイメージはあるものの書き方はわかりやすく書かれていると思います。
でも映像見ればもっといいかも。
印象に残ったのは【第二章】。
湯川の優しさに触れることができるいい話でした。

■未来/湊かなえ

「こんにちは、章子。私は20年後のあなた、30歳の章子です。あなたはきっと、これはだれかのイタズラではないかと思っているはず。だけど、これは本物の未来からの手紙なのです」

ある日突然、少女に届いた一通の手紙──。
家にも学校にも居場所のない、追い詰められた子どもたちに待つ未来とは!?

Amazonより

子供の頃に辛い境遇にあっても、それでも生きていればきっと明るい未来がくる。
そう、教えてくれるような希望を持てるラストだったと思います。
一見何の関係もない人たちの出来事をバラバラに書いているようにみえましたが、後半に入るとその人達が意外な形で繋がっていることに気づきます。
湊さんの作品は私の中でちょっと難易度が高い作品が多いんですが、この作品は今まで読んできた中でも読みやすい作品でした。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?