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ユニークな「善悪が戦う物語」を作るために!!|『ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還』(3)

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テーマ発表!!


 第1回第2回に引き続き、映画「ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還」をベースに新しい物語を妄想します。

※「ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 「ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還」は、主人公が様々なアシストを得て目的を達成する物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!

三葉 承知しました。

嘉村 前回ご紹介したのは、「『ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還』 ~『男性主人公と、女性サポーター』編」、「『ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還』 ~『女性主人公と、男性サポーター』編」でした。


案③


三葉 まずは、「ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは第1回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さて、前回の記事では「『フロド = 精神的負担専業キャラ』のユニークさ」に注目しました。今回は、「『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズに登場する『善』と『悪』のユニークさ」に着目してみましょう。

嘉村 承知しました。

三葉 そもそも……ごく端的に言えば、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズは「『善と悪の戦い』の物語」です。


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嘉村 ええ。

三葉 しかし実際には、そう単純な話ではありません。第1に、「善 v.s 悪」ではなく、「善 v.s 悪 v.s 悪」なんですよね。


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嘉村 ふむふむ。

三葉 そして第2に、「善」の中の1人(主人公 = フロド)が「悪」に堕ちかけている。


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三葉 とはいえ、フロドは主人公です。まさかダークサイドに堕ちるなんてことはないだろう……と思いきや、彼は堕ちてしまうんですよね!そして、フロドとゴラムは「指輪」の奪い合いを始める。


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嘉村 ふむ。

三葉 さて、3つ目の特徴にまいりましょう。すなわち、最終的に「悪」は滅びるのですが、では「『善』が『悪』を打ち倒したのか?」と訊かれると……一概にそうとは言えません。


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三葉 上図の通り、「『悪(「指輪」に魅了されたフロド)』と『悪(「指輪」に魅了されたゴラム)』がぶつかり、その結果『善(冥王サウロンの死滅)』がもたらされる」という……まるで「マイナス × マイナス = プラス」のような結末を迎えます。

嘉村 ふむふむ。

三葉 いかがでしょうか。一口に「『善と悪の戦い』の物語」といっても、本作に登場する「善」と「悪」がいかにユニークなものか、ご理解いただけたと思います。

嘉村 なるほど。

三葉 ということで、このユニークな設定を応用して、新しい物語を考えてみましょう。「案③」は……ズバリ!「『ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還』 ~『美女争奪戦』編」です。


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嘉村 美女争奪戦!

三葉 ストーリーをご紹介しましょう。舞台はヤクザの「○○組」。主人公はその組員です。


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三葉 上図の通り、主人公の親分は「A氏」です。

嘉村 ふむ。

三葉 また、A氏には「Bさん」という愛人がいるのですが……これが大変な美女!ただ美しいだけではなく、「妖艶」というか「艶っぽい」というか、とにかく男好きするタイプの女性なんですよ。

嘉村 なるほど。ということは……「案③」は、このBさんを巡る争いですか?

三葉 ええ、その通りです。

嘉村 ふむふむ。

三葉 すなわち、「○○組」には「××組」というライバルがあるのですが……そこの組長(Z氏)がBさんに首ったけ!


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三葉 Z氏は一目見るなり恋に落ち、「Bさんを寄越せ」と迫った。無論、A氏は拒否する。かくして、Bさんを巡って「○○組」と「××組」は一触即発の緊張関係になっているのです。

嘉村 ほぉ。

三葉 要するに、「2つのグループが『美女』を巡って争っている」わけですが……これでは、まだ「『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ風の物語」とは言えません。

嘉村 ふむ。

三葉 「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの「ゴラム」に該当するキャラを登場させてみましょう。すなわち……「X氏」


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三葉 X氏は、「○○組」の元組員。主人公の兄貴分にあたる男です。ところがあろうことか、彼は……Bさんに恋心を抱いてしまった!

嘉村 ほぉ!

三葉 相手は、親分の愛人。どう考えても、叶わぬ恋です。X氏は、何とか忘れようとする。忍びに忍ぶ。しかし……嗚呼、耐えがたい!ある日、限界が来た。彼は、Bさんに愛を告白してしまった。

嘉村 ふむ。

三葉 上下関係に厳しい極道の世界です。X氏はすぐに破門になった。

嘉村 なるほど。

三葉 その後X氏はチンピラになり、細々と暮らしていたのですが……彼は、いまもBさんを忘れられずにいた。Bさんを想うと胸が張り裂けそうだ!彼は悩み、苦しみ……ついに妄想を抱くようになった。「Bさんは、オレを愛しているんだ!ところが、親分(A氏)がBさんを幽閉している。オレが救い出してみせるぞ!」。気分は「クッパ大王にピーチ姫を連れ去られたマリオ」です。

嘉村 ふーむ。

三葉 つまり……「『美女』を巡って、3つのグループ(○○組、××組、X氏)が争う」という展開。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの「『指輪』を巡って、フロドら、冥王サウロン、ゴラムが争う」のと同じ構図ですね。

嘉村 ふむふむ。だいぶ「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズっぽくなってきましたね!

三葉 そうですね。しかし、「『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ風の物語」にするには、もう1つ要素を追加してやる必要があります。すなわち、こちら!


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三葉 じつは……主人公もまた、Bさんに横恋慕しているのです。

嘉村 おー!

三葉 そうとは知らぬ親分(A氏)は、主人公に命じた「お前、Bのボディガードを頼むぜ。Xの野郎がいつ襲ってくるとも知れねぇ。24時間付きっきりで警護してやってくれ」。……主人公は愕然とする。無論、親分の愛人に手を出すだなんてご法度です。X氏のように破門されるに決まっている。彼はグッと堪えます。しかし……24時間付きっきり!嗚呼、いつまで我慢できるだろうか!

嘉村 なるほど。

三葉 みなさんすでにお気づきだと思いますが……そう!これは、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの「『指輪』に心奪われるフロド」に対応しています。「案③」の主人公は、フロドと同じく、ダークサイドに堕ちかけている。しかし、どうにか耐える。堪える。忍ぶ。踏みとどまる。

嘉村 ふむふむ。

三葉 ところが……最後の最後に闇落ちしてしまいます。すなわち、主人公はBさんを押し倒そうとした。

嘉村 フロドが、滅びの山の火口で「指輪」を指に嵌めてしまったのと同じですね。

三葉 ええ、そうですね。しかし……次の瞬間、X氏やZ氏がやってきて揉み合いになる。そして結局、X氏とZ氏は死亡。また、主人公は正気を取り戻した。

嘉村 ふむ。

三葉 要するに、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ同様、「マイナス × マイナス = プラス」式の結末というわけです。かくして邪魔な連中は全員消えた。主人公は、「よく守ってくれたな」と親分から褒められた。すべては丸く収まったように見えますが……主人公は、組を離れることを決意する。

嘉村 ほぉ。

三葉 未遂に終わったとはいえ、親分の愛人に手を出そうとしたのです。「義理」を重んじる極道に、あるまじき行為。彼は親分に頭を下げ、暇を乞うた。……で、物語は幕を閉じます。

嘉村 あー、なるほど。これまた「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズに対応しているわけですね。

三葉 そうですね。「ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還」の最後に、フロドがアマンへ旅立つのと同じです。

嘉村 ふむふむ。

三葉 以上、「『ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


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 「ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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