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アニメ「それでも町は廻っている」第1話前半を4つの視点から分析する☕

アニメ「それでも町は廻っている」を分析します。本記事で取り上げるのは第1話前半「至福の店 ビフォア」です。


分析対象


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あらすじ


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【ポイント①】構成上の面白さ


<1>

本話は、【タッツンが、歩鳥のバイト先を訪問 → タッツンが歩鳥を指導 → ひょんなことから、タッツンもバイトをすることになる】というエピソードである。


しかし、それだけではない!


<2>

より正確には……

・真田の物語1:真田は、歩鳥と2人きりになれる店に<至福>を感じていた

・タッツンの物語1:タッツンが、歩鳥のバイト先を訪問

・タッツンの物語2:タッツンが歩鳥を指導

・タッツンの物語3:ひょんなことから、タッツンもバイトをすることになる

・真田の物語2:かくして、真田の<至福>は終わった。真田はショックを受ける


つまり、<真田の物語>が<タッツンの物語>を包み込む構成になっているのだ。


<3>

そして、この構成が重要だと思うのだ。


というのも、<タッツンの物語>だけでも十分に面白いが、しかしどうしても安直な印象だ。物語がリニア(直線的)で、シンプルすぎるように思う。

ところが、である。

そこに<真田の物語>が加わると……そう!物語の構成がちょうどいい具合に複雑になる。ゆえに、コクや深みが生まれるのだ。


【ポイント②】タッツンが絶望するのも無理はない


タッツンが<シーサイド>を訪問し、絶望するシーンが面白い。


すなわち……

・絶望1:店の外観がどう見ても場末の喫茶店である(古ぼけた室外機、乱雑に置かれた鉢植え、ヒビの入った看板……)

・絶望2:店に入ると、歩鳥とウキが「いらっしゃい!」。まるで寿司屋である

・絶望3店内もまさに場末の喫茶店といった感じだ(素っ気なく置かれた本棚が味わい深い)

・絶望4:歩鳥は<肉の村上>と書かれた紙袋を差し出して「トンカツ、食べる?」


かくしてタッツンは「こんなのメイド喫茶じゃない!」と絶望するに至る。

この<タッツンの期待を裏切るシーンの連続>が笑える


【ポイント③】登場人物に、鑑賞者の気持ちを代弁させる


<1>

上述の通り、タッツンは「こんなのメイド喫茶じゃない!」と仰天するわけだが……じつはこの時、鑑賞者もまた仰天していたはずだ


というのも、少なからぬ鑑賞者は本作を王道的なメイド作品と勘違いしていたのではないかと思う。<王道的なメイド作品>というのは、例えば、ちょっと前に放映していた「会長はメイド様」のことだ。


しかし、実際には違った。

鑑賞者は仰天したことだろう「これ、コメディじゃん!場末の喫茶店で、ウェイトレスがメイド服を着ているだけじゃん!」と。


<2>

つまり、「こんなのメイド喫茶じゃない!」と叫ぶタッツンは、私たち鑑賞者の気持ちを代弁してくれているのだ。

だからこそ面白い。

私たちは「まったくその通り!!」と笑ってしまうのである。


【ポイント④】歩鳥のオバサン臭さについて


<1>

本話は、「それでも町は廻っている」の最初のエピソード。したがって、<主人公はこんなキャラですよ>と鑑賞者に説明する必要がある。

では、本作の主人公・歩鳥はどのように描かれているのだろうか?


<2>

私が特に好きなシーンをピックアップすると……

・1:冒頭、歩鳥は真田に密着して座る。真田は動揺するが、歩鳥はお構いなし。まったく気にしていない

・2:「向かいに座ると宿題を写し間違えるから」と言って真田の隣に座ったくせに、歩鳥は見事写し間違える

・3:森秋先生から「お前、宿題を写しただろ。職員室に来なさい」と注意された後、歩鳥は屋上で「あーあ!」と叫んでストレスを発散

・4:メイドなのに、まったくメイドらしくない(「いらっしゃい!」、メンチカツ etc.)


<3>

要するに……歩鳥は女子高生でありながら、異性を意識していない。また、大変な粗忽者である。そして、自身の感情をコントロールする術を持ち合わせている。その上、何だか生活臭が漂っている。

いかがだろうか?

この、妙に地に足がついた感じ……オバサンっぽくないだろうか?


私は、この<女子高生なのにオバサン臭い>というのが歩鳥の魅力なのではないかと思う♥



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(担当:三葉)

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