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一見すると第四の壁を破って鑑賞者に語りかけているように見えるが、じつはそうではなかった ~特撮ドラマ「仮面ライダークウガ」の場合

五代はカメラ目線で「いきなりだけど俺さ、辛い時笑顔でいられる男ってカッコいいなって思ってる」

特撮ドラマ「仮面ライダークウガ」(第1話)


◆概要

【一見すると第四の壁を破って鑑賞者に語りかけているように見えるが、じつはそうではなかった】は「メタフィクション、第四の壁」に関するアイデア。


◆事例研究

◇事例:特撮ドラマ「仮面ライダークウガ」(第1話)

▶1

本作の主人公は、五代雄介(24歳の青年)。

・Step1:第1話冒頭、五代は唐突に鑑賞者に向かって語りかける。曰く「いきなりだけど俺さ、辛い時笑顔でいられる男ってカッコいいなって思ってる」。多くの鑑賞者はギョッとしたはずだ。一体何が始まったんだ!?

・Step2:しかし……直後カメラが切り替わり、五代の前に迷子の少年がいることがわかる。そう、五代は少年を励ましていたのだ。テレビの前の鑑賞者に語りかけているわけではなかった!


つまりはこれ、【一見すると第四の壁を破って鑑賞者に語りかけているように見えるが、じつはそうではなかった】という演出である。


▶2

この冒頭シーンは2つの意味でじつに巧いと思う。


<1>

まず、鑑賞者の興味関心をぐぐっと惹きつけるのに役立っている

上述の通り、このシーンを見た鑑賞者の多くは「一体何が始まったんだ!?」と仰天し、画面に釘づけになったに違いない。

加えて、【一見すると第四の壁を破って鑑賞者に語りかけているように見えて、じつはそうではなかった】と判明した時、「うわー、騙された(笑)」と思わず吹き出し、そして「これから始まるこの物語、面白そうじゃん!」とワクワクした鑑賞者は少なくないだろう。


<2>

もう1つ、五代の発言内容にもご注目いただきたい。「辛い時笑顔でいられる男ってカッコいい」……じつはこれ、五代の生きざまそのものなのだ。

五代はいつも笑顔だ。どれほど辛くても決して弱音を吐かない。感情を押し殺して、明るくふるまう。

そんな五代の人となりが、この一言に集約されている。つまり、主人公の人となりを冒頭シーンでパッと理解できる。かくして私たち鑑賞者は、「主人公はどんなキャラなのだろう?」と悩むことなく、ストーリーにすっと入っていけるという次第である


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