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アニメ「侵略!イカ娘」の最初のエピソードを三幕構成で分析!!|アニメ「侵略!イカ娘」に学ぶ

※本記事では、アニメ「侵略!イカ娘」(第1期)を分析します。


アニメ「侵略!イカ娘」を分析しよう!


本記事では、アニメ「侵略!イカ娘」の最初のエピソードを<三幕構成>の視点から分析します。


「侵略!イカ娘」は、ごく大雑把にいえば【異世界の住人(イカ娘)が突如私たちの世界にやってきて、常識的な主人公と同居することになり、騒ぎを巻き起こす】という物語。

「ドラえもん」や「うる星やつら」、「撲殺天使ドクロちゃん」、「ケロロ軍曹」辺りと似たタイプの物語と言えるでしょう。


今後この手の物語を描いてみようという方の参考になればと思います!



※補足1:「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ👽 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!


※補足2<落ちもの系>という言葉をご存知の方もいると思いますが、本記事ではその言葉は使いません。定義が曖昧で、誤解・勘違いを招くおそれがあるためです。


分析対象


画像1


三幕構成


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【分析①】オープニング


本話は、「許さないでゲソ」というモノローグから始まります。

多くの鑑賞者は、「えっ?『許さない』ってどういうこと?」「これは誰のセリフなんだ?」「何が起こるんだ?」と興味を抱いたことでしょう。

つまりこれ、<鑑賞者の関心を惹きつけるためのジャブ>ですね。


【分析②】オープニングとインサイティング・インシデントの間


「許さないでゲソ」というモノローグの後、【人間側の主要キャラ(栄子、千鶴)】と【物語の舞台(海岸、海の家「れもん」、季節は夏)】を鑑賞者に大雑把に理解してもらうためのカットが続きます。


なお、このシーンのセリフは以下の5つだけ。

---

栄子 姉貴!やきそばまだ?

千鶴 あがったわよ、栄子ちゃん。

栄子が客に 生ビール、お待ちどおさま!

別の客が栄子に こっちも生ビール!

栄子 はーい!

---


一見するとどうということのないセリフの連続ですが、しかし、<主役の名前が栄子であること>、<千鶴は栄子の姉であること>、<栄子が元気な働き者であること>、<「れもん」は繁盛していること>などが伝わってくる。

冒頭シーンに相応しいセリフと言えるでしょう。


【分析③】インサイティング・インシデント


ここで、イカ娘が初めて姿を現します。また、<イカ娘>という名前も明かされる。

このシーンのポイントは、【皆がポカンとする → イカ娘は、皆が自分に恐怖していると勘違いする】というくだりでしょう。つまり、イカ娘は初っ端からポンコツなのです


【分析④】ファースト・ターニングポイント/第2幕前半


ファースト・ターニングポイントは、<本作の主役2人(イカ娘と栄子)による初めての会話>です。


そして……

・Step1:イカ娘は「侵略しに来た!」と胸を張る

・Step2:ところが栄子はちっとも恐れない。それどころか嘆息し、「今日は忙しいんだ。またにしてくれ」とぞんざいに扱う

・Step3:イカ娘は栄子のペースに乗せられる(海に帰りかける)

・Step4:だが、すぐに我に返る

・Step5:と思いきや、今度は千鶴のペースに乗せられる(配膳を手伝う)


つまり第2幕前半に描かれているのは、【イカ娘をちっとも恐れず雑に扱う栄子、千鶴】と【すぐに他人のペースに乗せられるポンコツ・イカ娘】ですね。

この2つが笑いを生むのです。


【分析⑤】ミッドポイント/第2幕後半


第2幕後半にも、やはりイカ娘のポンコツっぷりが描かれています。しかし、第2幕前半とはややテイストが異なる


すなわち……

・Step1:イカ娘の無知ぶりが明らかになる

・Step2:栄子が呆れる

・Step3:イカ娘が蚊に翻弄される

・Step4:栄子が失笑する


第2幕前半と比べて、イカ娘のポンコツっぷりがより直接的に表現されていることがおわかりいただけるでしょう。


【分析⑥】セカンド・ターニングポイント


栄子に呆れられ、さらに失笑されたことをきっかけに、イカ娘が激昂します。

そしてここで触手が初登場。インサイティング・インシデント以降、延々とポンコツっぷりが描かれてきたわけですが、ここにきて初めてイカ娘の強み、人類よりも優れた点が提示されたのです。


しかしまぁ、すぐに栄子のグリグリ攻撃を受けて悲鳴をあげるわけですが。


【分析⑦】第3幕/エンディング


第3幕は、触手の解説から始まります

そして栄子が何かを閃き……エンディング。イカ娘が<壁の修理代を払う>という名目で「れもん」で働かされることになります

で、最後は「ゲソゲソー!」と涙を流すイカ娘


<セカンド・ターニングポイントで触手が登場、初めてイカ娘の強みが示されたものの、結局は栄子と千鶴の方が上手。いいように触手を利用されてしまうのでした>というオチですね。


分析のまとめ


以上、オープニングからエンディングまで細かく確認してきました。


特にご注目いただきたいのは、

・インサイティング・インシデントで登場して以降、イカ娘は終始ポンコツキャラとして描かれている。また、ファースト・ターニングポイント以降、栄子と千鶴はずっとイカ娘を雑に扱っている

・しかし、第2幕前半、第2幕後半、第3幕で、その<ポンコツ/雑>の描き方が異なる

……という点です。


つまり……

・Point1:最初から最後までずっとイカ娘はポンコツで、栄子と千鶴はイカ娘を雑に扱っている。だから私たち鑑賞者は「なるほど。彼らはそういうキャラなのね」と理解しやすい(これは本作の最初のエピソードですからね、彼らがどのようなキャラか理解してもらうことが重要です)

・Point2:<ポンコツ/雑>の描き方にバリエーションがある。だから私たち鑑賞者は途中で飽きることなく最後まで楽しめる(ワンパターンでは飽きてしまいますからね)



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(担当:三葉)

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