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アニメ「それでも町は廻っている」第1話後半を4つの視点から分析する☕

引き続き、アニメ「それでも町は廻っている」を分析します。本記事で取り上げるのは第1話後半「至福の店 アフター」。これ以前のエピソードを分析した記事については、最下の「関連記事」欄をご参照ください!


分析対象


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あらすじ


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【ポイント①】<至福の場所>を巡る物語


<1>

本話は、【タッツンが<至福の場所>を守るエピソード】である。


・STEP1:校則違反のバイトが、森秋先生にバレてしまう

・STEP2:タッツンは、<至福の場所>を守るために森秋先生を打ち倒そうと決意する

・STEP3:しかし、敗北 → 敗北 → 敗北

・STEP4:ところが、気がつけば勝利していた!かくして、タッツンの<至福の場所>は守られたのだった


※補足:タッツンは、真田に恋をしている。そして、真田はシーサイドの常連だ。ゆえにシーサイドは、タッツンが真田と日常的に接触できる至福の場所(になる予定)>なのである。


<2>

かくしてタッツンは<至福の場所>を守り切ったわけだが……その一方で、<至福の場所>を失った者がいる。

真田だ。

※補足:真田は歩鳥に恋をしている。そんな彼にとっては、いつも閑古鳥の鳴いているシーサイドは、歩鳥と体よく2人きりになれる<至福の場所>だった。ところがタッツンがバイトを始めるし、さらに森秋先生までやってくるし……真田の<至福の場所>はいまや見る影もない。


要するに本話は、【<至福の場所>を守り切った女と、その陰で<至福の場所>を失った男】の物語なのである。


【ポイント②】堅物教師と戦う物語


本話は、【生徒が何かしらの要求を呑んでもらおうとして堅物教師と戦うエピソード】と整理することもできるだろう。


なお、この手の物語はフィクションの世界ではお馴染みのものであって、「ズッコケ三人組」シリーズや「ぼくら」シリーズがよく知られた例だと思う。


【ポイント③】細部まで全部それっぽい


<1>

先人曰く、神は細部に宿る

ということで、細部を見てみよう。


例えば、【森秋先生を撒こうとするシーン】。歩鳥とタッツンは追跡を振り切らんとして、寺の境内で仁王像のフリをした。

ご注目いただきたいのは、<寺の境内>、<仁王像>、そして<仁王像のフリをして振り切らんという作戦>だ。


いずれも、通常の女子高生像からはかけ離れたものである。

妙に生活感があるというか土着性が感じられるというか、「歩鳥はきっと両親や祖父母と仲がいいんだろうなぁ」「幼い頃からこの境内で遊んでいたんだろうなぁ」「歩鳥のことだ。この仁王像にいたずらをして叱られたことだってあったに違いない」などと想像できるこの感じ!

つまり、細部のアレコレがすべて「それでも町は廻っている」というこの物語にフィットしているのだ


<2>

他の例を見てみよう。

【森秋先生が紅茶を注文する → タッツンは勝利を確信した → ところが、ウキは笑った「この店に紅茶はねぇよ」「あたしゃ、紅茶は好きじゃないんだよ。淹れるの面倒だし」】というシーン。


喫茶店なのに紅茶がない!理由は店主が嫌いだから!そして、淹れるのが面倒だから!

このテキトーな感じ、この大雑把な感じ、これである。まさに「それでも町は廻っている」っぽいではないか!


【ポイント④】物語内のムチャな論理に身をゆだねる快感


<1>

本話最大の見どころはどこか?

歩鳥の間抜けっぷりも、シーサイドのテキトーさ加減も、森秋先生のクソ真面目な感じもじつに魅力的ではあるものの……最大の見どころといえば、ずばり、タッツンが展開する<わかるようでわからぬ論理>であろう。


・論理1:タッツン曰く「アルバイトを認めさせるわ……メイド術で!従順に仕えるフリをしながら男を惑わし、利益を得る。それがメイド術!

論理2:さらに曰く「こちらから仕掛ける前にメイド術の要である自尊心を打ち砕くなんて……まさにメイド殺し!


おお、この謎理論!

「メイド術って何!?」「メイド術の要は自尊心だったの?初耳だけど……!」など、ツッコミどころ満載である。


<2>

ところが、だ。

実際に本話を見ている時には……

・STEP1:タッツンが自信満々に語るのを聞いている内に、「あっ、そういうものなんだ」「まぁ、言われてみればそんな気もするな」という風に妙に納得してしまう

・STEP2:そして次第に考えることを止め、タッツンの謎論理に身をゆだねるようになる

・STEP3:かくして、<物語内のムチャな論理に身をゆだねる快感>が訪れる


アニメでもマンガでも映画でも小説でもいいのだが……<後から振り返ってみるとツッコミどころ満載なのに、見ている最中はまったく気にならず、夢中になっていた>という経験は誰しもお持ちのことと思う。

要するにアレだ。

本話には、あの快感があるのだ。



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(担当:三葉)

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