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アニメ「それでも町は廻っている」第3話前半を3つの視点から分析する☕

引き続き、アニメ「それでも町は廻っている」を分析します。本記事で取り上げるのは第3話前半「目」。これ以前のエピソードを分析した記事については、最下の「関連記事」欄をご参照ください!


分析対象


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あらすじ


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【ポイント①】<毒を以て毒を制す>的なミステリ


<1>

本話はすごい。

じつにすごい。

「それでも町は廻っている」内のエピソードの1つではあるものの、しかし、設定や構成があまりにもよくできているので、「それでも町は廻っている」とはまた別のシリーズものが作れるのではないかと思う。


すなわち、

・探偵:歩鳥風のキャラ

・依頼人(「コナン」でいうところの目暮警部のイメージ):森秋先生風のキャラ

・探偵の仲間:タッツンやウキのようなキャラ

……という役回りだ。


<2>

より具体的には、以下がストーリーのテンプレになるだろう。


・STEP1:主人公(歩鳥)は天然ボケ気味で粗忽者、いわゆるアホの子である。一方、副主人公は病的と言っても過言ではないほど几帳面な(森秋先生)だ。

・STEP2:いま、男はとある<奇妙な謎>を抱えている。彼は謎を謎のままにしておけない。嗚呼、すっきり明快にしたい!

・STEP3:かくして、男は主人公のもとを訪れた。男は普段、主人公のアホの子っぷりに手を焼いているものの、しかし、主人公が<普通の人とは違う鋭い洞察力>を持ち合わせていることを知っていた。つまり、常識では計り知れぬ<奇妙な謎>には変人をぶつけようという作戦だ。

・STEP4:主人公はすぐに依頼を引き受けた。じつは彼女は、男に好意を抱いているのだ。

・STEP5:主人公の仲間(タッツン、ウキ)がポンコツ推理を披露する。主人公は鼻で笑い、即座にそれを反証。

・STEP6:主人公が素晴らしい洞察力により、真実にたどり着く

・STEP7:主人公が男を呼び出す。そして推理小説の探偵よろしく、もったいぶってちびちびと推理を披露した。男は気が狂いそうになる

・STEP8:主人公が一部始終を説明。その鮮やかな推理に一同驚愕する。

・STEP9:主人公の推理は正しかった。後日、男から謝礼品(今回の<謎>の中心にあった奇妙なモノ)が届く。主人公と仲間は困惑する。この名状しがたい奇妙なモノ、どうしよう……。


つまり毎回、【森秋先生が<奇妙な謎>を持ち込み、歩鳥がそれを解決する】という<毒を以て毒を制す>的な展開になるわけだ。


【ポイント②】狂いゆく森秋先生


<1>

続いて、<歩鳥がもったいぶって推理を少しずつ披露していくシーン>を詳しく見てみよう。

これまた、じつに面白いのだ。


・STEP1:シーサイドにやってきた森秋先生は「では、きみの答えを聞かせてもらおう」と迫った

・STEP2:しかし、もったいぶる歩鳥

・STEP3:森秋先生は、次第にいら立ちを露わにする「きみはぼくをバカにしているのか?」「だから何だと言うんだ!」「僕は、探偵小説のまどろっこしい解決編と、ワープロソフトの青いイルカが嫌いなんだ!ヒントばかり並べ立てず、早く答えを言いたまえ!」

・STEP4:だが歩鳥は「いまの私の話を応用すれば、謎は解けるよ。先生も考えてみて♥」とあくまでも焦らす

・STEP5:森秋先生はショックを受け、声にならぬ声をあげる「ううっ……」

・STEP6:歩鳥がニヤニヤ笑う「もしかしてわからないのぉ?」

・STEP7:図星である。怒り、悔しさ、いら立ち……森秋先生の顔に汗が浮かぶ。そして息が荒くなる

・STEP8:歩鳥はじつに楽しそうだ「嗚呼、人を見下すのって気分がいいのねぇ♥」

・STEP9:歩鳥は楽しくて仕方がない。そんな彼女に、タッツンが言った「そろそろ教えてあげないと、先生限界だよ」

・STEP10:その通り、いまや森秋先生は発狂寸前である。いや、既に発狂しているのかもしれぬ。「嵐山にわかることが僕にわからないなんて……こんな……こんな……」とうめいたかと思えば、続いて奇妙な笑みを浮かべ、空っぽのマグカップをスプーンでかき回し始めた

・STEP11:大変だ!歩鳥は慌ててすべてを説明した


<2>

推理小説好きの歩鳥は、ついつい探偵を気取ってしまう。そして、次第に<人を見下す歓び>に目覚めていく

一方、病的に几帳面で、間違ったことや不明確なことを許せぬ森秋先生は、①謎がいつまでも謎であることと、②自分が歩鳥より劣っているということで発狂寸前まで追い詰められる


このコンビネーション!本当に面白い。


【ポイント③】歩鳥の失恋


<1>

冒頭、歩鳥は森秋先生に言った「先生……あたしに惚れてるね♥」。

しかし森秋先生は「はぁ?」。

かくして歩鳥はトイレに引きこもった。そして号泣する「『はぁ』だって!素だよ」。流れ落ちるのは涙だけではない。鼻水も落ちる。歩鳥は叫んだ「脈がありません!バイタル、心拍、呼吸、血圧、ゼロ!」。

そしてその後、トイレットペーパーで鼻水をぬぐいながら歩鳥がトイレから出ると……ウキが前のめりになって森秋先生に話しかけていた「あらぁ♥先生、独身なんですかぁ?男前なのにもったいない!」。

歩鳥は「こらこら、しっしっ!」。


<2>

歩鳥は仮にも主人公だ。しかも女子高生である。そんな彼女がいままさに失恋したという重大シーンでありながら……

・1:歩鳥の見た目が汚い(鼻水、トイレットペーパー)

・2ヤケクソな感じのセリフが面白い(「脈がない」のギャグ)

・3誰も歩鳥を心配しておらず、それどころかウキは森秋先生にアプローチしている


これである。何と面白いのか!



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(担当:三葉)

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