「ちょっかい出したくさせる才能」って何だ!?|『ゆゆ式』に学ぶテクニック
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本記事では、「ゆゆ式」に「【ちょっかい出したくさせる才能】を持ったキャラ」を学びます。
※「ゆゆ式」については、別記事でも研究しています。詳細は、記事末尾の「関連記事」欄をご参照ください。
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本作の最重要人物は「唯」である
<1>
「ゆゆ式」の舞台は、とある高校。
主人公は唯、ゆずこ、縁の3人。同じクラスに属する仲よし3人組です。
・唯:ツッコミ担当
・ゆずこ:ボケ担当(計算してボケているように見える)
・縁:ボケ担当(天然ボケ気味)
<2>
さて、唯、ゆずこ、縁の3人。
もしも「中心人物を1人選べ」と言われたならば、あなたはどうしますか?
ゆずこを選ぶ人が多いのではないでしょうか。
だって、ゆずこは目立ちますからね。
ボケ担当とツッコミ担当、どうしたって目立つのは後者です(ボケ担当ってのは、破天荒で派手なものですからね)。
しかし……私は、唯こそが最重要人物だと思うのです。
本作の根底にあるのは、唯の「ちょっかい出したくさせる才能」
<1>
第11話の序盤(1:12)に、興味深いモノローグがあります。
※補足:上記の「1:12」は、「第11話が始まってから1分12秒経った場面の出来事」という意味です。以下同様。
相川「何だろう……櫟井さんって、『ちょっかい出したくさせる才能』の人なのかな」
※櫟井:唯の苗字。「いちい」と読む。
そう、唯には「ちょっかい出したくさせる才能」があるのです。
格好つけて言えば、「ちょっかい誘発力」「過干渉誘発力」「イタズラ誘発力」なんて具合でしょうか。
<2>
そしてこの「ちょっかい出したくさせる才能」、「ゆゆ式」という作品にとってメチャクチャ重要なポイントだと思うんですよ。
だって……
つまり、「ゆゆ式」の根底には唯の「ちょっかい出したくさせる才能」がある。
逆に言えば、もしも唯に「ちょっかい出したくさせる才能」がなければ、「ゆゆ式」という作品は成立し得ないということになります。
「ちょっかい出したくさせる才能」とは何か?
<1>
ところで、その「ちょっかい出したくさせる才能」というヤツ、一体どういうものなのでしょうか?
ゆずこや縁らは、なぜ唯にちょっかいを出したくなるのか……?
<2>
「ちょっかい出したくさせる才能」は、いくつかの構成要素に分解可能だと思います。
つまり、「要素A + 要素B + 要素C = 【ちょっかい出したくさせる才能】」という具合です。
ここからは、「ちょっかい出したくさせる才能」を構成する要素について詳しく検討してみましょう。
【「才能」の構成要素①】的確なツッコミ
<1>
第11話の序盤(04:56)に、こんなやりとりがあります。
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唯ら3人が教室で話をしている。
唯「今日の体育、何だっけ?」
ゆずこ「ん?大昼寝大会だっけ?」
唯「大昼寝大会かぁ……」
縁「『大』って2個入ってるね」
唯「入ってるなぁ、2個」
ゆずこ「大バーベキュー大会だっけ?」
唯「運動しろよ」
ゆずこは満足げに「ハァ……唯ちゃんは、ほしい返しをくれるなぁ!」
縁「ねっ!」
<2>
1つ目の構成要素は「的確なツッコミ」です。
唯は「ほしい返し」をくれる。それがわかっているからこそ、ゆずこや縁はどしどしボケる……というわけです。
もしも唯が「ツッコミ下手」だったり、あるいは「ツッコむことなく放置する人」だったりしたら、ゆずこや縁がこれほどボケまくることはなかったでしょう。
<3>
では、なぜ唯は「ツッコミ上手」なのか?
生まれつきの才能?それとも、両親による英才教育?
いや、たぶんそうではない。ここからは推測になりますが……おそらくは、ゆずこや縁がそれを期待したからでしょう。
そもそも、唯はゆずこや縁のことが大好きです。そしてまた、彼女はマジメな律儀者です。
ゆえに小学校で縁と、中学校でゆずこと出会い、彼女らからツッコミ担当を期待される中で、次第に腕を上げてきたのだと思われます。
【「才能」の構成要素②】「完璧人間に見えて、意外にも○○」というギャップ
<1>
唯は、マジメでしっかり者です。
性格はサバサバしており、話しかけやすい。
また、他人に気遣いできるタイプでもある。
ついでに、モテる(第8話に「唯が夏祭りでナンパされた」という会話がある)。
一言で言うなら……そう、唯は完璧人間に見えるのです。
<2>
ところがですね、そんな彼女には「意外にも○○」というポイントがたくさんあるんですよ。
▶ ポイント1:意外なほどリアクションが大きい
例えば、冬のある日。ゆずこが、冷たくなった両手で唯の頬に触れた(第6話2:25)。
すると唯は「キャー!」と悲鳴を上げ、次いでゆずこの肘を折ろうとした(もちろん冗談半分に、ですが)。
▶ ポイント2:意外なほど純情で、すぐに動揺する
例えば、ゆずこから「ほっぺにチューしていい?」と訊かれた時のこと(第1話9:52)。唯は顔を真っ赤にして「ハァ!?やだよ!」と返答、俯いてしまいます。
あるいは、インターネットで「SM診断」なるものに挑戦した時のこと(第1話17:04)。ゆずこと縁が平然としているのに対して、唯だけは顔を赤くして「回答しているところ、見るなよ……」なぞと言う。
▶ ポイント3:意外にも寂しがり屋
ある日、寝不足がたたって唯は体調を崩した。彼女は保健室のベッドで仮眠を取る。そして夕方、目を覚ました時のことです(第4話20:55)。
唯は辺りを見回す。誰もいない。孤独感が押し寄せる。
かくして彼女は布団を抱きしめて、「学校で1人って……やたら寂しい」と呟いた。
直後、ゆずこと縁が様子を見に来る。唯は嬉しそうに微笑んだ。
▶ ポイント4:意外にも外弁慶
例えば、ゆずこと縁が唯の家を訪問した時のこと(第3話8:30)。ゆずこと、唯の母が言葉を交わすシーンがあります。
ゆずこ「お邪魔してます」「すいません、お騒がせしちゃって」
唯の母「フフッ。いいのいいの。普段あの子物静かだから、たまに騒がしいとホッとするの」
どうやら唯は、家族の前では大人しいようです。
<3>
……とまぁこのように、唯は「一見すると完璧人間。ところが、意外にも○○」というポイントがたくさんあるのです。
このギャップこそが、ゆずこや縁の「ちょっかい出したい欲(= 唯を照れさせたり、困らせたりしたい!)」を刺激するのでしょう。
そして……最後にもう1つ、第7話中盤(15:24)のこのシーンをご覧ください。
唯ら3人が教室で話をしている。
ゆずこと縁が、「唯ちゃんって、かわいいよねぇ♥」とべた褒めする。
唯は赤面。
それを見たゆずこは、「おっ。唯ちゃんって、私らがしゃべってる横で困った顔とかよくするじゃん?」
唯「……はい、します」
ゆずこ「たまらんよね、正直♥」
縁「頂戴、それもっと頂戴♥」
【「才能」の構成要素③】「何をしても受け入れてくれる」という安心感
<1>
ゆずこや縁には、「安心感」があります。
「どんな風にイジろうとも、どんな風にボケようとも、大丈夫。唯は自分たちを嫌ったり、見捨てたりはしない」という安心感です。
これもまた重要な要素ですよね。
「嫌われたり、見捨てられたりしない」という安心感があるからこそ、どしどしボケたり、唯をイジったりできるのです。
<2>
では、なぜ唯は怒ったり、見捨てたりしないのか?
おそらく、理由は2つあります。
▶ 理由1:唯は、元々面倒見がいい
小学校時代、唯は縁と出会いました(第5話4:45)。
縁は、その頃から天然ボケ気味だった。ついでにドジ。それなのに、家が裕福だから大金を持ち歩いていた。
嗚呼、危なっかしくて見ていられない!
かくして唯は、縁の面倒を見るようになります。そしてその後、2人は無二の親友になる……。
つまり、唯は幼い頃から面倒見のいい子だったのです。ゆずこや縁がどれほどだる絡みをしようとも、彼女が2人を見捨てることはないでしょう。
▶ 理由2:唯は、ゆずこと縁のことが大好き
例えば、ある日の放課後(第1話9:08)。唯と縁が「お餅、食べたいなぁ♥」と言い出した。
唯は、2人に団子をおごってやる「ホラ、お餅じゃなくて団子だけど」。2人は喜ぶ。一方、唯は呟いた「私、弱いなぁ……」。
もうね、唯は2人のことが大好きなんですよ。かわいくて仕方がない。
そしてそんな唯の気持ちは、2人に伝わっているに違いありません。
まとめ
以上、「ちょっかい出したくさせる才能」を構成する3つの要素をご紹介してきました。
ここまで申し上げてきたことを整理すると……
みなさんも、「ちょっかい出したくさせる才能」を持ったキャラが登場する物語をぜひ作ってみてくださいねー!!
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