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病気のこと

朝、出勤前にTwitterを見ていたらこんな記事を見つけた。

結構前のブログだけど、中田クルミちゃんが婦人科疾患で手術したなんて知らなかった。

私も子宮筋腫/子宮内膜症/チョコレート嚢胞で加療中。協力隊にも、"健康条件付き派遣"という条件付きで参加している。条件は、派遣前と2年間の任期中1度帰国して主治医の診察を受け、診断書を提出すること。そして、治療費は協力隊の保険適応外になること。その条件に合意した上でアフリカに来ている。

中学生の頃から鎮痛薬は欠かせないし、鎮痛薬を使っていても授業中まともに座っていられないくらい生理痛がひどかった。体質なんだな、と諦めていたけれど生理痛の酷さは年々増し、毎回血餅も出るし、なにかがおかしいと思いつつ、なかなか病院に行くのが億劫だった。でも病院に就職するとき、この体じゃ病棟看護師になれない!と思い、婦人科検診へ。

エコーの画面と私を交互に見ながら先生の顔は険しくなって...後日MRI検査を受けて、確定診断。

なにかおかしいと思って検査を受けて、覚悟はできていて。国家試験も終わったばかりで、医療者としての知識もあったし、あぁやっぱり。という感じだった。

筋腫も嚢胞もそんなに大きくなかったし、就職したばかりの彼氏もいない20代前半の私は妊娠の予定もなかったし、ピルを飲み始めれば身体的苦痛から回復される...

でも、途上国で働きたいと思っていた私にとって病気が見つかったことは致命的だった。協力隊不合格の一番の理由は健康上の問題だと聞いていたし、定期的な受診と検査が必要だなんて...

そして、                右の卵巣が嚢胞化している=排卵できる卵子の数が少ない=妊よう性が低い

筋腫がある=着床しにくい=妊よう性が低い

疾患名だけで不妊の程度は判断できないけれど、看護師のたまごが持ってる基礎知識だけでこの程度は理解できた。

さらに私は三交代勤務で働く看護師...

別に相手もいないし、途上国で働きたいと思っていたし、女性は子どもを産まなきゃ一人前じゃないなんて思想に○uck!と思っていた。

でもいざ妊娠できないかもしれないという遠い未来のわずかなリスクを目の前にして悲しみ、孤独、切なさみたいな灰色の気持ちが一瞬心を覆った。

治療をはじめて、苦痛は減ったし、嚢胞も筋腫も大きくなることはなかったし、ガン検診も陰性のまま経過している。だから、今はそれほど病気のことは気にしていないし、隠してもいない。無事協力隊にも合格できたし。

でもザンビアに来て、今まで25年間生きてきて最大に平凡な日常に憧れるようになった。多分単純に無い物ねだりなだけなんだけど、家族が近くにいること、衣食住が安定していること、安全であること、好きな人と家庭を築くこと、子どもを産み育てること。ザンビアに来るまでは、平凡や退屈が大嫌いで刺激を求めて海外に逃げてばかりいたのに。失ったものの大切さに気づくとはまさにこのこと。

そんな風に平凡な幸せへの憧れが強くなるにつれ、病気のことを意識する機会も増えている。

ザンビアにいる間に病気が悪化していたら?本当に妊娠できなかったら?

日本にいても看護師の生活は不規則不摂生の極みだったし、検査だって半年に1回が1年に1回の頻度に変わっただけだし、たとえ悪い結果になったとしてもきっとそれはザンビアでの生活を選んだこととは関係ない。でも時々は不安にもなる。

日本に帰りたいと言う理由はいくらでも思いつく。でも、病気をその理由にしたくないし、日本に帰りたいって思いを上回るくらいザンビアのことを好きになれなきゃ2年間ここで過ごすのは難しいんだろうな...なんて考えながら出勤した。

いつものようにアウトリーチに行って、子どもたちの身長を図って、子どもたちと遊んで、同僚やボランティアさんたちと雑談して、最後に木陰でボランティアさんとボランティアさんが作ってくれたシマを食べる。

活動らしい活動はできていない。ザンビア人と関わって嫌な気分になることもある。

でも何もできない現地語も話せないムズングが突然やってきても、意地悪をしたり悪口を言ったり無視をしたりするひとは誰もいない。職場に行って数日で私の存在は当たり前になったし、はじめて行くコミュニティーでもボランティアさんは歓迎してくれる。ザンビアの木陰で感じる風は気持ちがいい。働いた後にボランティアさんと食べるシマは美味しい。言葉が分からなくても近づいてきて一緒に遊んでくれる子どもたちは可愛い。そんな小さなことに幸せを感じる。こうやって少しずつ少しずつこの場所のことを好きになっていくんだろうなと感じる。

病気も含め日本に帰りたい理由は山ほどある。でも2年間ここでがんばってみたい。2年後、胸を張って同期と再開したい。この場所にミナという日本人が暮らしていたと覚えてほしい。そんな思いでここで踏ん張る。







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