触れてみて。
先生は言った。
「誰かに恋をする時。その人の顔や性格以外に惚れる要素があるとしたら、どこだと思う?」と。
数十秒悩んだ。
のちに先生は言った。
「文章よ」
と。
「文章には、その人の心が宿る。美しいところも、恥ずかしいところも、汚れたところも、全て現れるのが文章なのよ」
なるほど。
妙に、腑に落ちた。
日頃からnoteをはじめとするSNSや、個人間のチャットなど、私たちは様々な場所で文章に触れている。
するとたまに、ドキッとするような文章に出会うことがある。
だが、現代ではそのほとんどが匿名で、性別や年齢はわからない。
でも、その人のことを想像する。
だからこそ、想像できる。
この人は、どこで何をして、どんな景色を見て、この文章を書いたのかな。
【私、すごく好きだな】
そうすると、しばらくの間は、心臓がうるさい。
文章には、読む、見るという言葉より、触れるという言葉の方がしっくりくる。
それはきっと、その人そのものを感じられるからなのかもしれない。
顔も名前も何も分からないその人に、触れられたような気がするから。
ざわざわして、ドキドキして、ホクホクする。
文章って、あたたかいな。
文章って、恋だな。
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