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三島由紀夫、実はパパ活をしていた??

さてみなさんこんばんは。
最近、三島由紀夫先生のの「不道徳教育講座」を再読しました。 
みなさんは本書をご存知でしょうか。

これは初版。

今は新潮文庫でどこでも買えます。
これは小説ではなく、三島由紀夫先生による「不道徳の講座」です。難しい語彙や文章は使われておらず、とても読みやすいです。

関係ないですが、なんだか最近とあるSNSで、本書を読んでいるアピールをしている意識の高そうな大学生の投稿を目撃してしまい、大変ご聡明で非常に素晴らしい発信だことと思いました。


まあタイトルだけ読むと「悪いことしちゃおうよ」というふうに見えなくもない本書ですが、ただ悪徳を勧めているわけではないんです。まあ上手く賢く世渡りしよう、みたいなそういう軽い気持ちで読むと楽しいと思います。

本書は一つの教えにつき一つのエピソードが盛り込まれているという一話完結型の作りになっています。

試しに最初の教えと最初の段落だけそのまま本文を見てみましょう。

三島由紀夫先生は全ての著作を
基本的に旧字体で書いています

知らない男とでも酒場に行くべし!?!?

開始早々早速度肝を抜くような教えを繰り広げる三島由紀夫先生には脱帽です。いや、今の大学生にとってみればこんなの当たり前だよとでも思うのでしょうか。

が、やはり文豪三島先生。一行目から井原西鶴がどうのこうの言い出しており、本嫌いな人はここで本を閉じかねません。


この前置きの後から早速『知らない男とでも酒場に行くべし』とはどういうことなのかの説明が続きます。
これ、ざっくり要約するとこんな感じ。

最近ボクはたまたま街にいたJK三人組と飲み屋に行ったんだ。やれやれ品のないJKたちだった。でも本当にバカにされていたのはボクの方だったのかも知れないな、なんて妄想をしちゃったよ。。。

おいおい三島くん...なにJKと飲みに行ってるんだほぼパパ活じゃないか。
というわけで、三島由紀夫先生がなぜかJKと戯れちゃった話からこの不道徳教育講座は始まります。なんなんだこれ

↑一部引用しました。 
JKを発見した三島くんは「思わず顔を180度転回した」そうです。なんなんだこれ

これで教えが『知らない男とでも酒場に行くべし』なのですから、つまり知らない男とは三島由紀夫本人ということなのでしょうか。

これじゃあ、「誰か飲みに行ける人いませんかー?dm待ってます!」とかツイートしてる現代の""#裏垢男子""と変わらないです。

まあ三島くんのことだから『インタアネツトでやすやすと體を賣るやうな、考へる能力に缺けてゐるアバズレ女は非常に不愉快に思ふ。』みたいに言うでしょうけど。

ちなみに僕の文章力ではこれくらいのことしか言えませんが、本物の三島くんが批判するときは「えっと...そ、そこまで言わなくても...」って引くくらい苛烈な文章を何ページも何ページも書きます。文豪は悪口も上手なんですね。

でも彼は女性嫌いというわけではなく、不貞が嫌いだというふうに解釈しています。

まあ、複雑な話をすると、三島くんはいわゆるゲイらしい告白を著書の中でしています。『仮面の告白』などを読むと明らかです。が、普通に女性と結婚しています。それで女性嫌いかのような発言を評論やインタビューで色々としていますが、今回のようなJK談もあったり、女性作家をたいそう褒め称えたりする場合もあるなど、なかなかつかみどころの難しい人です。

他にどんな教えがあるのか?いくつか列挙してみます。

教師を内心バカにするべし...これはいいですね。

人に迷惑をかけて死ぬべし...切腹...三島由紀夫先生と「死」は切っても切り離せない関係にありますね。

罪は人になすりつけるべし...そ、そうですか。。

友人を裏切るべし...は、はあ...

空お世辞を並べるべし...なるほど。。。

女から金を搾取すべし...お、おいおい三島くんなんて大胆なことを言うんだね...

こんな感じです。
タイトルだけ見るととんでもないものが多いです。
しかし、ところどころに見られる古今東西あらゆる作家からの引用や全体の見事な構成は、やはり三島先生ならではです。

まあ、三島由紀夫先生というのは本来非常に硬派な作家であり、特に評論がかなり硬い文章であることが多いです。例えば『文化防衛論』という文章の引用を見てみましょう。天皇について語っている箇所の一部です(画像タッチで拡大できます)。

さて、みなさんはこれを読んでどう感じたでしょうか。
正直僕にはよくわかりません
思想に関しては近しいところがある気がするのですが、ここまで言語化されると逆にわかりにくいです。(僕の理解力不足なだけなんですけどね。)
こういう文章が延々と何十ページも続くので、なかなか読むのに疲れます。

意識高い系の大学生には、『文化防衛論』を読んでそれをインスタにあげて欲しいですね。

注: 思想が近しいと書きましたが、僕はそこまで過激派ではありません。三島くんはかなり過激だと思います。今で例えるなら、適切な例えかはわかりませんが、安倍総理を襲った犯人を褒め称えるような、そんな感じです。あと彼はテロリズム肯定派でした。

まあでも、この『文化防衛論』はまだそれでもわかりやすい方だと思います。

ただ、全く違ったジャンルの評論、特に三島くんの専門と言ってもいい古典や演劇の話になると、さらに難解さに拍車がかかります。

三島くんは物心ついた頃から世界中のあらゆる古典を読み続け、あらゆる演劇を観てきた人です。
つまり、本物の古典オタクなのです。
さらに学生時代に広辞苑を丸暗記してしまったという語彙オタクでもある彼は、天性の文才と努力により獲得した語彙をふんだんに使いながら評論を記述します。

11歳ですよこれ...11歳??


文豪の中でも特に語彙や教養のひけらかしが凄まじい彼の古典に関する評論文は、はっきり言って何が何だか本当にさっぱりわかりません

引用したいのですが残念ながら現在手元にありません...。

でも、実際話してる三島由紀夫先生はとても気さくな人だと思います。

とある教授との対談で、「政治、文学、人間についてはいいんだけれども、天皇に関するところだけがあなた(三島くん)と考えが合いませんね。」と言われた三島先生は、「なんでもいうこと聞く女は飽きちゃうでしょう、どこかトゲがあった方がいいもんです。それと同じでどこか一つトゲがあった方がいいでしょう。」みたいなことを言って笑っています。(下の動画の13分20秒あたり)

「女」と言うと少し品のないような印象を受けますが、戦後すぐの時代までは「女」も「女性」も「女の子」も同じ語感を持っていたと言われています。つまりここでは品のない言い方ではありません。

とにかく不道徳教育講座がいかに読みやすいものかおわかりいただけたでしょうか。一体どんなことが書いてあるのか、気になりましたか?
それぞれの内容はぜひみなさんの目で確かめてみてください!

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