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シリーズ「あさ、ひる、ゆう」

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麻美、真日、雄大 三人の話。 シリーズと言いつつもすべて一話完結なので、お好きなものをどうぞ。
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記事一覧

短編小説:無人駅のホームにて

 7年ぶりに訪れたその駅は、無人駅になっていた。  用事があって出掛けた先と、その駅がそれ…

矢口 慧
1年前
21

短編小説:思い出のキャンパスにて

 昔の恋人の夢を見た。  大学生の頃から、社会人一年目まで付き合っていた、ふたつ歳上の人…

矢口 慧
1年前
35

短編小説:高層マンションの一室にて

 ぼんやりと昼寝から目を覚ます。一瞬、ここがどこなのかわからなかった。自分の家ではない天…

矢口 慧
1年前
50

短編小説:熱燗の美味しい居酒屋にて

 慣れない駅のなか、真日はそわそわとあたりを見渡した。待ち合わせの時間は過ぎている。改札…

矢口 慧
1年前
60

短編小説:夜景の見えるレストランにて

 三回目のデートで何もなかったら、脈ナシだという。  それは、三十路過ぎの男女でも同じこ…

矢口 慧
1年前
34

短編小説:安アパートの玄関にて

 かつての恋人が結婚したらしい。共通の友人が突然電話をしてきて、何かと思えばそれだけのこ…

矢口 慧
1年前
27

短編小説:角煮の美味しい居酒屋にて

 真日には、あーちゃん、マキというふたりの親友がいた。あーちゃんは大学の後輩。マキは保育園から大学までずっと一緒の幼なじみ。  ふたりとも、それぞれ素敵な相手と結婚した。  とっても喜ばしい、それだけのこと。真日も嬉しかった。なのに、周囲の人は真日のことを「取り残されている」と表現した。 「きっと真日ちゃんにも良い人がいるって」 「真日ちゃんは美人さんだから、大丈夫!」  余計なお世話だ。  結婚したいと思っているわけでもないのに。ここで「興味がないので」と言ってしまうと角