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鉄道の計画運休と、内閣府の『避難情報に関するガイドライン』を、勝手に無理矢理に対照してみる

2023年台風7号が接近し、鉄道各社から計画運休の運行計画が情報提供され始めた8月14日頃、テレビで複数のコメンテーターが発言した内容が話題になったようです。その中には、もと大阪府知事・もと大阪市長の橋本徹さんのご発言「どういうリスク評価をしているのかはしっかり明示してもらいたい」(という趣旨)もあったようです。
これについては、
東海道・山陽新幹線で
8月15日:名古屋~岡山で終日計画運休
8月16日:計画運休の実施無し。静岡県内で大雨による運転見合せ。長時間駅間停車を避けて一駅数本ずつ列車を止めると博多まで運転見合わせとなった。その後、山陽新幹線から新大阪折返しで運転再開。その後東海道新幹線も新大阪折返しで運転再開。ダイヤが終日乱れ、翌17日までダイヤ乱れが続いた。
ということからも少しおわかりいただけるのではないかと思います。
「強風で列車が転覆」「土砂災害で列車が脱線」などはリスク評価されており、風雨などが運転規制の基準値に達したら運転規制(運転見合せ)をするので重大な事故につながることを防いでいます。
(↓運転規制について、わかりやすい本の例(計画運休については書かれていません))

これに加えて、大規模に(多くの箇所で)運転規制が予想されるときに計画運休を行う主な目的は、長時間駅間停車、お客様滞留、在来線では踏切長時間鳴動などの混乱が発生するのを防止(リスク回避、予防)することです。
(↓過去に計画運休について私が投稿したものの例)

東海道・山陽新幹線の一連の計画運休やダイヤ乱れについては国土交通省からJR東海さんに検証指示がされたとの報道もありますので、それが公表されるのを待つことにします。
(大きなダイヤ乱れの後は、鉄道事業者の社内では指示されなくても検証してます。「系統分割(系統分離)」といわれる運転整理(系統を分けて折返し運転)は、大都市圏の鉄道ではよく行われますが、全列車優等列車で指定席もある新幹線では難しそうです。検証しどころと思います)
(気象予報士としては、8月16日の静岡の大雨の予測可能性についても気になる・・・正確は予想は難しかったと思いますが、気象予報会社の方、いかがでしょう?)

前置きが長くなりましたが、自治体の首長を経験した方から「どういうリスク評価をしているのかはしっかり明示してもらいたい」(という趣旨)とのご発言もあったので、内閣府が自治体向けに出している
↓『避難情報に関するガイドライン』

を読んで、簡単に対照してみます。
これをみると、たしかに鉄道事業者からの平常時からの情報発信は少ないですね。どのような基準、どのような考え方で計画運休を実施しているのか、(個人的には)鉄道事業者や国土交通省などからもっと公開されてもよいと思います。

内閣府『避難情報に関するガイドライン』警戒レベルの一覧表(周知・不急啓発用)

内閣府『避難情報に関するガイドライン』警戒レベルの一覧表(上の画像参照)と、鉄道の計画運休に関する情報提供を無理矢理対照してみると
レベル5(黒):風雨などが運転規制値に達した(計画運休実施していなくても運転見合せ)
レベル4(紫):計画運休の実施を決定。運行計画がお客様に情報提供されている。(計画運休のタイムラインのモデルケースでは、前日(24時間前)から実施、当日にかけて随時更新)
レベル3(赤):計画運休の可能性を情報提供。計画運休を実施しない場合は、急きょ運転見合せとなる可能性を情報提供。(計画運休のタイムラインのモデルケースでは、前々日(48時間前)から実施、当日にかけて随時更新)
くらいのレベル感でしょうか?
私が勝手に対照したものであり、公式に対照されたものはありませんが、このくらいのレベル感で認識するのがよいと思います。
(駅や車内は「危険な場所」ではないことが多いですが、お客様のご利用の目的である「移動」が予定通りできないリスクとして認識するのがよい。そのほか、前述の混乱が発生するリスク)

計画運休などの取組みは、鉄道事業者だけでの取組みでは混乱してしまうことがあります。お客様はじめ世の中全体で、防災(タイムライン防災、事前の防災行動計画)、BCP(事業継続計画)、働き方改革(リモートワーク、勤務変更など)などの観点も含めて考えていただければ、ご理解が深まると思います。
(ご参考)東京都が、令和元年房総半島台風が通過した後の朝通勤輸送の混乱を教訓に策定した『計画運休時の出退勤ガイドライン』↓

台風接近時など災害が予想されるときに移動するのを避け、予定を変更して天気がよいときにお出かけください!


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