”宝物みたいな映画”
大好きな田村セツコさんのエッセイに、
“宝物のような映画”という言葉があって、
その言葉が本当に輝いていて、
私もいつか、
宝物のような映画と出会いたい……♡と
夢見ていました。
だってそんな映画と出会えたら、
その時の人生の輝きって、
きっとすごいじゃないですか!
でも、そんな映画には
なかなか出会えない日々。
この映画好き! 面白い! と思って
フィルマークスで5つ星をつけたとしても、
それが宝物になるのかというと、
それはどうやら別の話なのです。
で、いつかそんな映画に出会えたらラッキーと思うことにして、宝探しの意識はやめて、
普通に、日々映画を観続けていました。
運命の出会いっていうのは、
思わぬ時にあるようです。
思ってもない時に。不意に。
人生って、
とことんドラマチックにできていますね。
私は、金曜の夜、ついに宝物に出会いました。
それが宝物になるなんて、思っていませんでした。
劇場版『えいがのおそ松さん』。
ミッドランドスクエアシネマ、
スクリーン11にて。
私は、出会ってしまったよ。
おそ松さんはいつも通りの面白さで、
クスクス笑いながら楽しんでいたのだけど、
更にそこに
思ってもない切なさと美しさが加わって、
そのスクリーンから受ける切なさと美しさがキラキラと自分の中で輝くのがわかって、
あぁ宝物ってこういうことだったのねとわかったのです。
恋愛や、家族愛、世界平和なんかをテーマにした数ある映画のどれにも当てはまらない特別な、圧倒的幸福感が、『えいがのおそ松さん』にはあって、あんまり嬉しくて、可愛くて、泣いていました。
シネマの外に出れば夜の街は輝いているし、
おそ松さんが劇場上映される時代に生きてる私って幸せもの! 私って宝石箱の中で生きてるみたい、なんて思考もどんどん輝きだしてしまうのです。
でもそんなの、宝物に出会えたんだから、ハイになるのも当たり前です。
映画に出てきた
高橋さんのことを思い出すと、
今もう、また泣けます。
それは彼女が可愛そうだから、なんて陳腐な理由では決して無くて、彼女がとっても幸せなことが苦しいくらいわかるから。
私、私も、おそ松さん達6つ子が、大好きなんです。本当に。
来場記念にもらったポストカードも、
実質的な宝物になりました。
これからも生きていれば、
思わぬ時に宝物に出会うことでしょう。
出会えたときに生じる全方位的な輝きは、
きっと本物の宝石以上に一生物です。