ミスタードーナツは、ずっと意識の中にある。と思うくらい、テレビのCMで「いいことあるぞ〜」の声は聞いてきた。

　時々、値段が下がるときがあって、そういう場合は、街中のミスドが人であふれる印象があった。

意欲の低下

　近所にはないので、妻が出かけたときなどに食べられるちょっと特別なドーナツのままだったのだけど、ここ最近になって、妻の意欲が少し下がっているようだった。

　菅田将暉がCMをしていることがあっても、ミスタードーナツのドーナツ自体に対して、あまりおいしくない、といったことを妻が言うようになった。

　意外だったので、その理由を詳しく聞いても、なんとなくといった言葉が返ってくるから、よけいに、その思いが強そうに感じ、だから、もうミスタードーナツを食べることはないかも、といったことを思った。

　ドーナツは、あちこちで手に入るようになって、一時期は、コンビニでもすごく力を入れたりもしたせいもあるのか、他のドーナツがおいしくなって、その分、ずっとドーナツをつくって、売り続けてきたミスタードーナツの味が下がったように感じているのかもしれない、などと思った。

病院

　一番、ミスタードーナツに通ったのは、義母の介護をしていて、病院にも通っている頃だった。

　病院のそばに、ミスドがあって、通院の途中で店内でドーナツを食べたり、軽食のセットがあるときは、食べたりもした。コーヒーのおかわりは自由だったから、少し時間の余裕があるときは、妻と一緒に、気持ちだけでもゆっくりできた。

　店内の客は年齢層が若かったから、介護をしているときは、どうしても高齢者が周囲にいることが多く、それが嫌だというわけでもなかったけれど、周囲に若い人が多いというだけで空気の気配が違っていて、それで少し気持ちが上がっていたように思った。

　だからミスタードーナツは、もう買わないという妻の言葉を聞いて、それも仕方がないとは思うのだけど、そんなときのことを思い出した。

ミスタードーナツ

　義母を連れて行った病院には、今も妻が何ヶ月かに一回は、通っている。

　この前も、そうやっていつものように出かけ、症状は悪くはなっていないけれど、ぜんそくなので、今も終わっていないコロナ禍で、ずっと気をつけている。

　帰ってきたとき、久しぶりに妻の手には、ミスタードーナツの箱があった。

「すてきだったから、買ってきた」

　妻は、そんなふうなことを言って、笑っていたけれど、妻が購入した場所は、以前、時々一緒に行っていた病院のそばのミスタードーナツのはずだった。

　こういうお土産は、やっぱりうれしい。

プラリネショコラ

　久しぶりのミスタードーナツ。

　今回は、ゴディバとのコラボらしく、最近、あちこちと組みすぎではないか、という気持ちにもなるけれど、チョコ好きにとっては、やっぱりうれしい。

　妻は、このプラリネショコラが、特に気に入ったらしい。

　説明自体がもおいしそうだけど、妻は、こんな感想を伝えてくれた。

「これ、ホワイトチョコだよね。
　初対面では、本当にあのスキー場を思い出す。
　雪が降り積もっている感じ。

　食べると、美味しい。

　ホワイトチョコと、その真ん中の多分、モカクリームと、その下のチョコのドーナツのバランスがすごくよくて、美味しい。

　下のチョコドーナツの中には、アーモンドだと思うけれど、サクサクして、食感がよかった。

　美味しい」。

　何しろ、うれしそうでよかった。

ガナッシュショコラ

　私には、このガナッシュショコラがいいと思って、買ってきてくれたようだ。

　チョコの深い茶色は、それだけでおいしそうに見えるし、その密度が高いと、ちょっとうれしい。

　これも、説明がおいしそうだけど、その要素をチョコを中心に数を絞ったためか、プラリネショコラの複雑な構造を伝えるよりも、少し文章が短い。

　でも、食べると、美味しかった。

　とにかく、チョコレート、っていう感じで、美味しい。

　ちょっとした夢のようなチョコレートドーナツだった。

　豊かなおやつの時間になって、それもうれしかった。

　今回、おいしかったりすると、次の何かの企画のときには、また買いたいかも、という気持ちになれる。

　ミスタードーナツの底力は、やっぱりすごいのかもしれない。

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