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【講師インタビュー④】瀧澤 日以氏(ファッションデザイナー)×9kidslab(ナインキッズラボ)

こんにちは!
9kidslab -ナインキッズラボは「デザイン」を通じて、クリエイティブ領域を横断し、「人生を楽しみながら切り拓く」子どもを育てる、小学生対象のオンラインスクールです。

それを実現しているのは
第一線で活躍する個性豊かな講師陣彼らが作り出す掛け合わせの授業です。

講師インタビュー第4弾は
空間建築とファッションが掛け合わさった「つながりのデザイン」クラスのファッションを担当する瀧澤日以(たきざわかい)氏です。

現在、香川県・小豆島に住み、ファッションデザイナーとしてだけでなく、衣装制作やイベント企画、ブランドディレクションなど様々な分野に活動の幅を広げる瀧澤氏。ルーツを辿ると、小豆島に移住して活動をされる理由が見えてきました。

デザインを通して人とのつながりを大切にし、暮らしの中にものづくりを取り入れて新たなものを生み出すことを楽しむ、そんな瀧澤氏の姿がありました。

今回も9kidslabの魅力について伺っていきます!

瀧澤日以(たきざわかい)氏
ファッションデザイナー。文化服装学院卒業。
自身のブランド PHABLIC×KAZUIを立ち上げ、TOKYO新人デザイナーファッション大賞を受賞。
デザイナーとしての活動の傍ら衣装スタイリストとして、大橋トリオ、中村佳穂をはじめ
様々なミュージシャンのステージコスチューム、ハナレグミ、森山未來などの
舞台作品への衣装提供・スタイリングなども手がける。
■担当コース:「つながりのデザイン・ファッション」クラス

【質問①】ファッションの道に進んだきっかけは?

元々音楽が入り口だったような気がします。
親の職業がグラフィックデザイナーで、子供の頃から身近にデザインという仕事がありました。ものを作る環境が近くにある中で、「いつか自分で何かを作る仕事に就きたい」と子供心にずっと思っていたのですが、その何かはまだ決まっていませんでした。

高校生の時に音楽にのめり込んだ時期があり、ファッションと音楽は身近に繋がっているものだと意識し始め、音楽か服かどちらかの道に進みたいと思いました。最終的には自分の中で、よりリアリティがあったファッションデザインの道に進みました。

【質問②】デザインをするうえで、どんなことがインスピレーションになりえますか?

ファッションデザインをする上で、「違う国」と「そこに住む人たち」に興味があります。ヨーロッパ・アジアなど、様々な国への旅行を通し、違う国の文化に触れることで、よりそこに住む人たちの暮らしへの興味が深くなっていきました。

海外から日本のことを俯瞰して見ることができたり、違う国の文化を知ることで、自分の国の文化への興味を持てたりと、旅から得られたことが多くあります。違う国の価値観、文化の行き来をしながら、ものを作るということは、大変刺激的です。

ファッションやアートなど全てがそうなのですが、コミュニュケーションの手段として、言葉と同じように使えるという感覚は、今も昔も変わらず自分の中にあります。

【質問③】小豆島を拠点に活動されているのはなぜですか?

旅行やブランド活動、デザインのお仕事で様々な場所に行ったのですが、「頭でデザインをし、手から生み出す技術があれば、住む場所はどこでもいい」と昔から思っていました。その中で、「暮らし」と「ものづくり」が直結する場所に行きたいというのはずっと考えていました。

僕の住む香川県にある小豆島は、人口2万5千人ほどの規模の島ですが、古くから瀬戸内海の交通の要所として、日本の産業の発展にすごく重要な位置付けであり、かつ宗教や文化・芸能に関しても、島独特な背景もあることなどから「小さな日本の縮図」のような場所だと感じています。その上、橋のかからない離島であるにもかかわらず、各種インフラがしっかり整っているので不便も感じません。

この人口規模で生活していると、自分の目に見えるところで全てが起こっているという感覚があり、自然豊かな暮らしだけでなく、政治・教育、自分たちのビジネス、観光まで、自分にとってコンパクトなフィールドの中で繋がっていて、様々なものに目を配ることができると実感しています。

東京のような大都市だと、断片的にしか見えない社会が、自分ごととして、とても身近にあるような感覚です。

東京にいたときはさまざまな事柄にも、良くも悪くも勝ち負けのような価値観がずっとあり、誰とも違うクリエイティブなことをしたいはずなのに、いつの間にか誰かと競争している感覚がありましたし、それは僕にとってあまり「好き・得意」なことではありませんでした。

今の暮らしの中では、人と人、人と社会のつながりがはっきりとわかり、自分たちが社会の一部になっているという感覚があります。

【質問④】ファッションの醍醐味と現在の活動について

自分の仕事の醍醐味は「これまでになかったモノ・コトを作ることができる」ということ、この世にないものを自分が初めに作れる、触れるというところです。

現在は衣服だけではなく、衣・食・住にまつわる全てに、今までの経験を活かして、できるだけ自分たちの手で作ってみたり、様々なシーンでモノ・コトを作るお手伝いをしたりして、ものを作るということの可能性を探っているところです。

その中でも、子どもの教育に携わることなどを通して、クリエイティブなもの作りの考え方が、これからの世の中の役に立てるのかなと思っています。

【質問⑤】瀧澤さんはファッションの「流行」をどのように捉えていますか?

今、世界中でインターネットを通じて情報が生まれている状況で、なかなか流行が生まれにくくなっている気がしています。元々、流行には起点があって、パリならパリ、東京なら東京、ロンドンならロンドンというように、その土地のカルチャーで生まれたものが世界中で波及していくものだったと思うのですが、「今は流行の起点がどこにあるのだろう?」と思うことがあります。

世界中の街やカルチャーで起きていたことが、今は個人発信だとしてもインターネット上で瞬く間に広まり、あっという間に消費されてしまっているのではないか、意外とみんなどこに向かって行ったらいいのか迷子になっているのではないかと感じています。

もちろん、情報として様々な流行を感じるのは、気軽で楽しいのですが、それがムーブメントになり、実際のカルチャーに変わっていく、手触りのあるものに変わっていくのというのがすごく難しくなっているんじゃないかなという感覚です。

僕自身としては、今は、よりベーシックでクラシカルな生活に興味があります。人が人の手で、全てに目や手を届かせるためにはどうしたらいいのか、その中で衣服はどんな役割があるのか、衣食住を自分の中で捉え直そうと思っているのは全てそのためです。

自分たちで服を作って、野菜を作って、家を改装してというように、自分で生活していく中で、世界共通で人の手の中にあるものをもう少し見直してみたいというターンに入っています。今は流れていく情報や流行よりもそちらに興味があるのかもしれません。

【質問⑥】インスピレーションは日常にもありますか?

インスピレーションは様々なものから得ることができますが、僕自身は今の暮らしの中で事足りることよりも、暮らしの中にないものを作りたいと強く思っているので、日常というよりも、現状にあるお題や課題から発想していくことが多いです。

デザインはアートとは違い、お題が必要なものだと思っているので、例えば、自分のブランドでは、シーズンごとにキャラクターの時代背景や年齢、趣味、職業など決め、物語を描いてから作っていましたし、舞台衣装を作る時などは、舞台の背景やその人物をどう見せたいのか、設定をより視覚的に伝えるためにはどうしたらよいか、「誰が」「どんな時に」この服を必要とするのかなど、想像・妄想し、そこからみたことのない魅力を引き出すためにさらに思考を斜め上に飛ばしていきながら作り上げていきます。

そういう「お題」こそがインスピレーションそのものなのかもしれません。

そして、デザインは様々な物事の解決方法の一つだと思っています。
自分が生きていく中で、色々なことを解決するためのツールの一つとしてデザインを捉えています。

【質問⑦】「デザイン思考」を子供の頃から身につけることは、今後生きていく中で必要になると思いますか?

AIやロボットがものすごいスピードで進化していて、人間の仕事の大部分をとって変わることができる時代の中で、デザインや、クリエイティブな発想をすることは現状、人間にしかできない領域で、次世代の子ども達にとって必須な・身につけるべき能力になってくるのではと思っています。

自分の頭で考えて、手からものを生み出せる人は、これからも必要とされると思いますし、それを自分で実感できるデザイン・ものづくりのスキルはかけがえの無い力になると思います。

9kidslab(ナインキッズラボ)の魅力

ナインキッズラボのような、学校では教えてくれないことを学ぶ機会はそれほどないと思っています。特に、このようなものづくりに関しては、家族が職業にしていない限り、学校の美術や図工といったカリキュラム以外でなかなか触れることができないと思いますし、表現力の幅や選択の可能性が広がるという意味では、「大人になってこういうことを、楽しそうにやりながら、仕事にしている人がいるんだ」と知ること、学校では出会えないような先生に会えることは本当に貴重な機会だと思います。

かつての自分もそうであったように、身近なところにプロがいて、その人に「いいね」と認められたり、背中を押してもらえることで、自分のクリエイティブの力はどんどん自由になっていくと思います。

9kidslabでは、各講師の皆さんが子ども達のなかにある興味をどんどん引き出していくような授業をしていて、自分の「好き」を見つける手助けをしてくれる大人がたくさんいるところがすごく魅力的なのではと思っています。

個人的にも、何かを教えるということではなく、子どもたちが「好き・楽しい」に気がつくことを助けるということを一番意識しています。

「これが好きだ」というのを自分で見つけてしまえば、どんなことでも自然とその子のものになっていくと思いますので、目がキラキラするような「好き・楽しい」を見つける、そういう機会の1つになれたらいいですね。

瀧澤さんおすすめの場所

僕の住む香川県・小豆島では、1日1回は晴れ間が見られ、一日中どんよりしている日は1年を通して少なく、心穏やかに過ごせます。
山と海が10分圏内にあり、四季の移ろいや風・海の色の変化をダイレクトに目にすることができます。瀬戸内海の島にはそういうところが多く、自分にとって特別な場所です。

そんな瀬戸内海に点在する大小様々な美術館はどこもぜひ訪れてほしい、素晴らしい場所です。

犬島精錬所美術館(岡山県犬島)
瀬戸内海は多島郡のため、船で美術館巡りができます。中でも、犬島にある「犬島精錬所美術館」は、その環境を含めて大好きな美術館です。

■豊島(香川県小豆郡土庄町)
小豆島のお隣にある「豊島(てしま)」豊かな自然、昔ながらの暮らしの中に豊島美術館や豊島横尾館など個性的なアートスポットがあります、
特に好きなのはクリスチャン・ボルタンスキーの「心臓音のアーカイブ」、豊島を訪ねた時は必ず行く作品です。