甲氏の異常な憎悪 または私は如何にして憂慮するのを止めて法実務家を忌むようになったか

都会とも田舎ともいえないようなとある場所で働いている駆け出しの法曹の端くれ(70期台)…

甲氏の異常な憎悪 または私は如何にして憂慮するのを止めて法実務家を忌むようになったか

都会とも田舎ともいえないようなとある場所で働いている駆け出しの法曹の端くれ(70期台) 法曹界という密室に風穴を開けに来たと言えば聞こえはいいが,単に先輩風を吹かせたいだけである

最近の記事

修習地に関する雑感

 さて,めでたく司法試験に合格すると,今度は提出書類の山と格闘することになる。  その中には,修習地についての希望を記入する欄がある。  記入する内容としては,希望地とその理由を第1希望から第6希望ぐらいまで書くものだったと思われる。  もっとも,いきなり,希望地を書けと言われても,よくわからない人も多いと思う。  そのため,ここでは,その希望地選びについて思うところを述べる。 1.そもそもの記入のルールについて  分野別実務修習は,全国の県庁所在地47箇所プラス函館・旭川

    • 修習生的法曹三者飲み会比較

       私は,法律家の血液と髄液とリンパ液の主成分はエタノールだと思っている。それほどまでに法律家は飲み会をよく行う。  司法修習生であってもそれは当てはまり,やれクールが始まった,やれ教官が来た,やれクールが終わったなどと理由をつけては飲み会が開催される。  そこで,今回は法曹三者の飲み会事情について記載する。  なお,これから飲み会事情についてズラズラと書き連ねるわけであるが,当然の前提として,話が面白かろうがつまらなかろうが,1円でも10円でも奢られたら感謝する気持ちを忘れて

      • 分野別実務修習各論(その4 刑事裁判)

        第1 やること  1. 記録の閲覧  民事裁判では,手続きを傍聴する前に記録を検討することが基本である。  ところが,刑事裁判では予断排除の原則があるように,第一回公判を経ないと証拠が出てこないのが原則である。  そのため,とりあえず起訴状と書記官が作成した事案メモだけに目を通して傍聴に臨むことも少なくない。  もちろん,第一回公判を経たような事件については,記録に証拠や調書が入っているので,それを見てから傍聴をするのが望ましい。  傍聴が終わると,裁判官との議論タイムに入

        • 分野別実務修習各論(その3 検察修習)

          第1 やること  1. 講義  修習地によると思われるが,捜査の内容や修習中にやること(捜査の心構え,捜査から終局処分までの流れなど)について講義がある修習地もあるようである。  また,その一環として実際の取調べを行う前に模擬取調べを行うこともある。  外部から講師を招いた講義については,感想文の提出を求められることがある。  2. 捜査  事件記録が警察から送られてくると,修習生に配点される。  配点されたら,とりあえず記録を読み,捜査上の問題点,足りない部分,取調べで

        マガジン

        • 司法修習とは何か
          3本
        • 分野別実務修習各論
          4本
        • 起案対策
          6本

        記事

          分野別実務修習各論(その1 民事裁判)

          第1 やること  1. 記録の閲覧  民事裁判では,訴訟提起の段階で,訴状や証拠などの記録が存在する。  そのため,後記する傍聴を行う前に,記録を見て,訴訟物や法律構成,事実認定上の問題点などを把握する。  そのような事案分析をする際には,時系列表や登場人物の相関図を作って整理をすると把握しやすくなる。  裁判所の裁判官室には多くの参考となる本が置いてあり,また,裁判所には資料室があるので,分からないことがある場合は,白表紙教材はもちろん,それらの資料を見ながら調査をしてお

          司法修習とは何か(その3 集合修習)

          第1 概要  導入修習や,分野別実務修習でやったことを,総まとめする修習になる。  クラスによっては全員同じ修習地で代わり映えしないクラスもあるが,1年近く前に1ヶ月ぐらいだけ一緒に過ごした人と再会して懐かしいようななんとなくやりにくいようなクラスもある。  イメージとしては,導入修習で得た知識に,分野別実務修習で得た経験を混ぜて,法曹としてのスタートラインに立てるまでの人間にしていくといった感じである。  内容としては,起案やそれについての講評が大きな柱ではあるが,それ以

          起案対策(民事弁護編)

          第1 概要  民事弁護起案は概ね,下の構成で成り立っていることが多い。  第1問 書面起案(訴状,答弁書,最優準備書面のいずれか)  第2問,第3問 小問(和解,執行・保全,立証,倫理・職責) 第2 注意事項  起案要領をよく読む。特に,書面起案ではどちら側(原告or被告)なのか気をつけること。また,主張すべき争点,主張のいらない争点が書いてあることもあるので,記載漏れや余事記載を回避するためにもよく読む。  時間配分に気をつける。主張の組み立ては丁寧にやるべきだが,それで

          起案対策(民事裁判編)

          第1 概要  民事裁判起案は概ね,下の構成で成り立っていることが多い。  1 訴訟物,訴訟物の個数,併合態様  2⑴ 要件事実   ⑵ ⑴に基づいた争点  3 主張の撤回に関する問題  (4 争点整理の理由)  5⑴ 争点についての結論   ⑵ ⑴の結論に至った理由  1~4がいわゆる争点整理問題,5がいわゆる事実認定問題である。 第2 注意事項  民事裁判では,よく「争点整理と事実認定は車輪の両輪」という言葉が使われるが,修習生の立場からしてもこれは言い得て妙である。  

          起案対策(刑事弁護編)

          第1 概要  刑事弁護起案は概ね,下の構成で成り立っていることが多い。  1 有利な事実,不利な事実の指摘  2 想定弁論起案  3以下 小問集合 第2 注意事項   導入修習や特に集合修習で配布されるレジュメに記載されるであろうことであるが,ここに記載しておく。   最も重要なのは,誠実義務違反をしないことである。   つまり,被告人が無罪を主張しているのに,勝手に有罪主張をしてはならない。   被告人が無罪を主張しているところ,無罪主張をするものの,「仮に,有罪であると

          起案対策(刑事裁判編)

          第1 概要  刑事裁判起案は概ね,下の構成で成り立っていることが多い。  1 争点についての結論とその理由  2以下 小問集合 第2 注意事項  どの科目にも共通することだが,起案要領をよく読むこと。  また,起案要領には解答にあたって起案用紙の枚数の目安が書いてあることがあり,刑事裁判起案では概ね時間配分の目安を表しているとされる。  そのため,枚数が足りなかったり多すぎたりしたからといって特に減点等はない模様である(ただし,「~枚程度」と「~枚以下」で異なるという説もあ

          起案対策(検察編)

          第1 概要  検察起案は概ね,下の構成で成り立っていることが多い。  1 起訴状起案  2 終局処分起案  3 小問 第2 注意事項  検察起案の特徴は,検討すべき人物が複数になる可能性があることや,フル起案の場合もハーフ起案の場合もあるということである。  犯人が複数いる場合は,どの犯人について検討が必要なのか必ず起案要領を見て確認すること。  また,起案の対象についてもちゃんと確認すること。不要な検討事項の場合は,ちゃんと「犯人性については検討を要しない」などと書いてあ

          起案対策(総論)

           修習生の立場で最も気になることの一つが起案をどうすればいいかということであろう。  ほとんどの人は修習に入って初めて起案をするのであるから不安に思うのも仕方ない。  もっとも,全員がヨーイドンで同じ場所からのスタートだと思っていると足元をすくわれる事態になりかねない。  つまり,弁護士志望は別だとしても,任官任検志望は少しでもスタート位置を前にしようとして,修習に入る前から準備してくるのである。  また,法律の世界における学説や実務の運用が日進月歩なように,教官室の考え方

          分野別実務修習各論(その2 弁護)

          第1 やること  1. 同席  弁護修習で何をやるかというと,指導担当に同席するというのがほとんどその内容である。  具体的には,相談があれば一緒に入って相談を聞き,接見に行くのであれば同席し,期日があれば裁判所に一緒に行って隣に座り,事務所に居るなら事務所に居るという生活がひたすら続く。  いつも同席するとはいえ,指導担当が銀行に行ったり,お昼を買いに行ったり,トイレに行くのまでついていく必要はない(当たり前だが)。  2. 起案  指導担当から記録を渡されて,申立書な

          司法修習とは何か(その2 分野別実務修習)

          第1 概要 およそ2ヶ月ごとにクールが決められており,クールごとに弁護修習,刑事裁判修習,民事裁判修習,検察修習を行っていく。  各修習の内容については,それぞれの記事を参照されたい。  どれをどの順番で行うかは班ごとに決められているため,人によって異なる。身上調査書の希望進路も考慮に入れられて順番が決められているという話もあるが,どこまで本当かは不明である。  その後で,2ヶ月弱の期間,選択修習というものがあり,予定がない日には弁護修習の配属先事務所に行き,申し込んだプログ

          司法修習とは何か(その1 導入修習)

          第1 概要 司法試験に受かり無事に司法研修所に司法修習生として採用されると,12月の初旬からだいたいクリスマスぐらいまで,埼玉県和光市にある司法研修所に通うことになる。  これがいわゆる導入修習というものである。  月曜日から金曜日まで,10時くらいから17時くらいまで,1時間程度の昼休みをはさみ,以下のようなカリキュラムをこなすことになる。 第2 具体的な内容 1.講義   基本的には講義である。   イメージとしてはロースクールのソクラテスメソッドみたいなのをイメ   

          身上紹介・投稿の概要

          第1 身上紹介・関東圏内ロースクール修了(既修) ・司法修習70期代前半 ・現在の職業:法曹の端くれ 第2 投稿の概要 本ノートにおいては,これから法律を学ぼうとする人や法実務家を目指す人が疑問に思うであろうことについて記載を行っていきたいと思う。  もっとも,守秘義務等により,記載の内容が抽象的であったり漠然としたものとなる場合も想定されるので,読者の皆様にはその点ご容赦いただければ幸いである。  また,本ノートの記載内容は,私の経験や個人の見解を多分に含むもので