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2018年11月の記事一覧

『GLOW シーズン1』女子プロが輝いていたあの頃

『GLOW シーズン1』女子プロが輝いていたあの頃

by 輪津 直美

このドラマのことを知って真っ先に頭に浮かんだのが、ロバート・アルドリッチの女子プロ映画「カリフォルニア・ドールズ」だった。あれから30余年。80年代のカルチャーが新鮮味を持って受け入れられる機は十分に熟したらしい。

予想通り、メインキャストの売れない女優二人とやさぐれたB級映画監督は、「カリフォルニア・ドールズ」の売れない女子プロレスラー二人と、ピーター・フォーク演じる無頼の

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『心中天網島』 1969年のクリエイティビティはもう戻ってこない

『心中天網島』 1969年のクリエイティビティはもう戻ってこない

by 輪津 直美

「心中天網島」は、篠田正浩が1969年に映画化した近松門左衛門の心中物である。その年のキネマ旬報ランキング1位で、制作・配給は、今は亡きATG。前衛演劇、前衛映画、ATGと、1969年の匂いがプンプン漂う作品だ。貧弱なNetflixの映画ラインナップに、どうしてこの作品が入っているのか謎である。

この映画は、観客の感情移入を全く期待していないようだ。まずオープニングからして気

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『ドニー・ダーコ』 ウサギお化けは死神オババの夢を見るか?

『ドニー・ダーコ』 ウサギお化けは死神オババの夢を見るか?

by キミシマフミタカ

これは不思議の国のアリスの系譜なのだと思う。ウサギの登場によって時空が歪む。たとえそれがウサギお化けだったとしても。映画とは、何はともあれその世界観がすべてだと思う人にとって、たとえばゴルフ場のグリーンで平和に目覚め、町内の顔見知りのおじさんたちにからかわれる眩しそうなドニー・ダーコは、魅惑的なシーンだろう。

 この映画ほど、スローモーションが意味もなく使われ、しか

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『スポットライト 世紀のスクープ』 アカデミー賞、受賞しました。地味ですが、何か文句ある?

『スポットライト 世紀のスクープ』 アカデミー賞、受賞しました。地味ですが、何か文句ある?

by キミシマフミタカ 

 これは地味な映画である。題材は、カトリック教会の神父たちが犯した性犯罪。ボストン・グローブ紙の調査報道のチームが、その秘密を暴いてゆく物語だ。事実に基づいたストーリーで、この映画はアカデミー賞の作品賞、脚本賞などを受賞している。個人的に地味な映画のほうが好ましい。だって、人生なんてそんなものだから。そんな人生にだって、ストーリーが生まれて、ほんの少し、損得勘定のない小

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