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本よみ日記24

4.20木

夜中、息子に蹴られ何度か目が覚める。平行にしても垂直になる不思議。

寝不足のまま、はじめての植物店「草原舎」へ。一軒家の内外に、みずみずしいものから乾いたものまで同じように並んでいてよい。芍薬を買ってかえる。

息子の授業おわりを待ち、習い事へ。先生が変わっていなくてホッとした。待ち時間はぼんやりするので『本を贈る』は読めず、よしながふみさん『きのう何食べた?12』を読む。生のりんごを入れて焼くマフィンがおいしそうで作ってみたくなる。

4.21金

朝起きて、堀江敏幸さん『傍らにいた人』。

…私の思念はその流れの真ん中で上下している浮子みたいなもので、いつまでも頼りなく揺れるばかりである。
(中略)
記憶の浮子がここでぐいと沈み、また現在に顔を出す。

『傍らにいた人』

あてのない記憶や思索がなにかを掴みそうになるその時、浮子は「ぐい」と沈む。私の浮子もたまに沈むことがあり、その一瞬のために、読んだり書いたりしているのかもしれないと思う。

豆屋で全粒粉のカンパーニュと魚醤。魚醤は息子が魚から作る醤油が気になると言っていたので買う。カンパーニュは先日も買ったのにまた買ってしまった。自分を喜ばすことに罪悪感をもたないことと、家計とのバランス問題が浮上する。

4.22土

読み返している『河岸忘日抄』にとても背の高い郵便配達夫が出てきて、昔の知人を思い出す。夫や父は背が高くない。

その人は家具を作る人で、私が活版印刷をやっていた頃、名刺を注文してくれたのだった。自分の手のうちでできることは、納得いくまでとことんできるのがよかった。そこがすべてかもしれないと思う。『本を贈る』の印刷所の方の話しを読んでいて、家の小さな印刷機では難しいサイズのものを印刷所の人にお願いするのが下手だったことを思い出す。「あともうちょっとこうしてほしい」が、大きな大きな印刷機を前にすると言えなかった。今ならもう少しうまく言えるかもしれない。

フランスの公立図書館で使われている紙箱を駅前の無印で受けとり、すぐ帰る。息子は近くの児童館でこいのぼりを作ったらしく、手のひらや服がカラフルになっていた。




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