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#10 香川県における「うどん」に次ぐ名産品とはなにか

はじめに

『J NOTE』第10回は、香川県を取り上げます。

香川県は四国の瀬戸内海側に位置する、人口およそ93万人の県です。「讃岐うどん」が全国的に有名であり、県による「うどん県」キャンペーンは2011年から10年以上続く大ヒットコンテンツとして知られています。

しかし、香川県はうどんのイメージが強すぎることで、他にどのような名産品があるのか全国的にはあまり知られていません。

2020年度に香川県交流推進部が行った認知度調査によると、うどんの認知度がほぼ100%に近いのに対して、他の名産品の知名度は50%未満の知名度に留まっています。

県産品の一般品目等に対する認知度について(45品目)
首都圏(500人に調査)
1位:讃岐うどん(96.2%)
2位:オリーブオイル(44.0%)
3位:オリーブ牛(36.8%)
4位:手延べそうめん(28.8%)
5位:丸亀うちわ(27.2%)
関西圏(500人に調査)
1位:讃岐うどん(96.8%)
2位:オリーブオイル(47.2%)
3位:オリーブ牛(37.4%)
4位:手延べそうめん(27.6%)
5位:丸亀うちわ(26.8%)

香川県交流推進部県産品振興課「令和2年度県産品認知度調査結果」(2021年3月)より抜粋。
首都圏・関西圏に住む計1000人に対して、香川県がインターネットでアンケートを実施したもの。

そこで今回の『J NOTE』では、香川県の農業と漁業を中心に取り上げ、うどん以外の名産品について詳しく探っていきたいと思います。

香川県の農業・漁業の現況について

まず、香川県の農業と漁業の特徴についてみていきます。

香川県の農業の現況

香川県農政水産部『統計で見る香川の農業・水産業 令和4年度版』によると、2020年度における香川県の農業産出額は808億円で全国35位となっています。分類別では畜産が28位、野菜が31位、果実・花・木などが35位、米・麦類が37位です。

香川県は全国で一番面積の小さい都道府県であるため、相対的に耕地面積も小さくなっています。また、香川県の農家はかねてから兼業農家が多く、一戸当たりの耕作面積が小さいのが特徴です。

そのため、大規模な農場を営んでいる農家の数は全国に比べると少なく、このことが香川県の農業産出額が少ないことに繋がっているのではないかと考えられます。

しかし、近年は農家の数が減少傾向にあるものの、新規就農者や畜産農家の一戸当たりの飼育頭数が増加傾向となっています。そのため、県内の農業の様子も従来までのものから変化しつつあります。

香川県の漁業の現況

香川県農政水産部『統計で見る香川の農業・水産業 令和4年度版』によると、2020年度における香川県の海面漁業・養殖業産出額は167億円で全国23位となっています。このうち、沖に出て漁を行う海面漁業の産出額が全国29位、海で養殖する海面養殖業が全国14位となっています。

香川県の漁業は年々縮小傾向となっており、この20年間で産出額は4割以上減少、漁業従事者も5割以上減少しています。

また、それにあわせて水産加工業の衰退も顕著であり、香川県内の漁業は非常に厳しい状態が続いています。

うどんに次ぐ名産品について

名産品①:オリーブ(小豆島)

香川県が日本一の生産量を誇るものとして、小豆島の「オリーブ」があります。

オリーブは全国生産量の約87%を占めており、香川県の県花・県木にも指定されています。近年オリーブの生産量は急激に増加しており、2019年の生産量は540トンと歴代最高を記録しています。

そんな小豆島では、オリーブを用いた観光振興をおこなっています。

小豆島町にある「小豆島オリーブ園」には、1917年に植えられたオリーブの原木が現存しており、オリーブを使った料理を楽しめるレストランが併設されています。

また「道の駅 小豆島オリーブ公園」では、オリーブ色の郵便ポストやオリーブの搾油所があり、また実写映画『魔女の宅急便』(2014)で使用されたロケセットがそのまま残されているなど、写真映えのするスポットとして知られています。

名産品②:ブロッコリー

香川県が生産する野菜の中で、一番売れている野菜は「ブロッコリー」です。(ソース

香川県はブロッコリーの生産量が全国3位と、全国有数のブロッコリーの産地であるといえます。ブロッコリーの生産量は全国的に増加傾向にある中で、香川県は2000年時点で2,020トンだったものが、2020年には15,700トンと生産量がおよそ7倍に増えるなど、特に力を入れて栽培されていることが分かります。

香川県のブロッコリーはオリジナル品種ではなく、また鳥取県の「大山ブロッコリー」や静岡県の「三島ブロッコリー」のようにブランド化はされていません。しかしながら、首都圏や関西圏を中心に出荷数を増やしており、新たな香川県の名産として徐々に認知度を増やしています。

名産品③:ハマチ三兄弟

香川県はハマチの養殖が盛んであり、全国7位の水揚げ数を誇っています。なかでも香川県独自のブランド魚である「ハマチ三兄弟」が近年人気を集めています。

ハマチ三兄弟はハマチ養殖発祥の地、東かがわ市引田(ひけた)町で育てられている長男ひけた鰤」、瀬戸内海に浮かぶ直島で育てられている次男なおしまハマチ」、オリーブの葉を飼料に混ぜて育てられている2007年生まれの三男オリーブハマチ」の3つのブランド魚の総称です。

これらのハマチは全国に出荷されており、また香川県内の飲食店でも食べることができます。

おわりに

ここまで、香川県の農業と漁業を中心に「うどん」以外の名産品についてみてきました。

香川県は突出して農業や漁業が盛んな県ではないものの、オリーブやブロッコリーなどは全国屈指の生産量を誇っています。

また、養殖ハマチなどは香川の名産品としてブランドマーケティングを行っており、香川県全体で「うどん」に続く香川の名産品を作ろうと取り組んでいることが分かりました。

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