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その牙の行方

 8月12日はゾウにとって特別な日である。
 今日はちょっとだけ真面目な話をどうか聞いてほしい。

 優しく賢い大好きなゾウについて、以前もnoteにゾウにまつわる大きな社会問題について紹介したことがある。


 皆さんは「印鑑」を持っているだろうか?
実印、銀行印や認印など… 日本だったら、誰しも1人1本。会社を経営すれば、数本所有していると思う。現に、わたしも請求書や契約用に仕事名義を持っているし、結婚後は新しい苗字のを購入した。うっかり役所に行くのに忘れて、百均で簡易的に購入したものも合わせると全部で5本持っている。


 ところで、その印鑑は何の素材でできているか考えた事はあるだろうか?


  わたしは中学校か、高校の頃の卒業式で卒業生全員に印鑑をプレゼントされたものを請求書に使用しているのだが、何の素材かさっぱりわからない


 でも、もしこれが象牙だったらどうしよう…


現実を知ってから、そうでないことを願ってやまない。


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 以前、顔が切り取られてしまったゾウの衝撃的な写真が出回ったことがある。twitterで流れてきたので、心の準備もないままの無防備で見てしまったので、あまりにもショッキングな写真に思わず目を背けた。
 (現実を見たい方は検索するとすぐネットに出てきますが、ショックを受けるので自己責任でご覧ください)

 アフリカのケニアで有名な「サタオ」という大きなゾウが暮らしていた。警護班がサタオを見守ってきたのにも関わらず、隙をついて密猟に狙われ、顔が丸ごとなくなった死体だけが取り残されていた。
 
 サタオがどうだったか不明だが、調べると生きたまま顔を削り取られるのだ…痛みとか恐怖とか、もう想像の範疇を超えて言葉にならない。なんでそんな恐ろしいことができるのだろう。
 そんなことをした人は、どうか同じ目に遭って欲しいと願いたくもない祈りを全力でしてしまう。それほどまでに、当時サタオを見守っていた国際社会が、わたしが、怒りで覆い尽くされた。


 顔ごと切り取られたゾウはどこに行ってしまったのか?


 それは、世界一の象牙輸入国の日本だ。



 消費者である我々は、どんな選択ができるのだろうか?

 答えはシンプルだ。




「象牙の印鑑や、象牙の撥(三味線に使用)はいらない」




象牙の印鑑などを買うことが、一体何に繋がるのだろうか?

 それは、アルカイダ系テロ組織の強力な資金源だ。わたしたちは気付かずに、テロ組織に加担している。

 国際社会から日本が大きな批判の的になっていることの1つは、その事実さえも日本人の多くが何も知らない、ということだ。「知らなかった」ことを知って、当時とても大きな衝撃といたたまれない想いを感じた。




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 今日は「世界ゾウの日」。
 カナダの映画監督Patricia Simsさんと、タイにあるゾウ保護団体Elephant Reintroduction Foundationによって作られた。


 ゾウの密漁の危機、絶滅の危機、現状を知る機会になれるように、日本の動物園でも様々なイベントや取り組みを行なっている。




 夏休みの自由研究にもしまだ議題が思いつかなかったり、興味があったら、ぜひ調べてみて欲しい。知ることが、まず最初の第一歩だと思うから。


  知らなかったことを、責めることは決してできない。わたしもずっと知らなかった。全地球上のすべてのことを、ジブンゴトになんてできやしない。それに、こうした真面目な話って、なかなか人に届きにくいと実感している。それでも声をあげない理由にはならない。だって、わたしはそのことを「サタオ」から学んだからだ。その死を、これ以上無駄にしたくないからだ。



たった1人でもいい。

わたしは小さな声でしかない。

でも、どうか記憶にとどめて欲しい。
どうか、今日だけ自分の家族にゾウのお話をして欲しい。




🐘🐘🐘

詳しい密猟の現状についての記事はこちら


🐘🐘🐘

第25回「小学館ノンフィクション大賞」受賞した書籍はこちら


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 twitterで大事なやりとりをしたので追記。


 現地の人が密猟する大きな理由は「生きていく」ためだ。
これに関しては、実はゾウだけだけでなく、各国の他の様々な野生動物たちも同じ理由で絶滅の危機に瀕している。
 各国の貧困や政治問題などの課題解決に直接関わっているWWFでの活動報告なども参考になると思うので、こちらもぜひ



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