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『虹彩は無限』

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【詩】虹彩は無限

【詩】虹彩は無限


君の眼を一瞬でも
近くに覗き込めたら
其れは世界の願い

其処は深い深い透明の
太陽光のゆらぎより透明の
秘められた有限の水源

無限なものは君の嗜む紅茶


君の虹彩を一頁でも
隣合わせに解読出来たら
其れは宇宙の想い

此処に透き通る深淵の
午前0時の夏の始まりの
閉じ込められた有限の知覚

無限なものは君の知る書物


君の瞳孔を1mmでも
正確さを以て描写出来たら
其れは時空の期待

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【詩】白紙

【詩】白紙

生きている意味を
真剣に考えてみたんだ
他の人のことは知らない
好きな人に伝えたいことがある
それをどう云う風に伝えるか
それを考えていることだ

【小休詩】チェンソーマン

【小休詩】チェンソーマン

「一番好き」って言うより
「一等好き」って言うほうが近い
チェンソーマンのパワーちゃんが
一人称を儂って言うのを決めたのと
たぶん一等同じ理由で僕は君が好き

【詩】調和

【詩】調和

君の凪の表層の細い腕に
正しさを委ねる居心地良さ

僅かに揺らいでいる水面に
幼心の砂城が囲われている

君が苦戦している髪質
手に余る家畜を制する様

君が創造し続ける髪型
君の美しさの表出の様

些か情けない話だが
僕の嵐の深層は甘い

些か情けない話だが
君の拘りに怯えている

君は落ち着いている
君の躰は微動している

君は戦いに微笑する
君は懐古している

些か情けない話だが
僕はとても

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【詩】永遠にして女性的なる光

【詩】永遠にして女性的なる光

西にずいぶん傾いた太陽
冷ややかに雪を呼んでいる
私はエアコンの暖流を
自分の方向へ調整する
胸でゆるい風を受ける
運転手がハンドルを切るたび
建物や街路樹の間隙を縫い
バス内に乱反射する光
直方体のエネルギー増幅装置
前席の学生がXにポストする
斜め前の子供は曲を選んでいる
やがて帯電したスマートフォン群が
空気中に硬質のプリズムを形成し
光は渦を巻き上方に収斂してゆく
この未来はあまりにも

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