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現実はそんなに甘くない

2017年8月、僕は家具職人になると決めた。

実際は昔からインテリアは好きだったし、木工も好きだった。

就職活動中も一社だけだが、ビンテージ家具のリペアスタッフの求人に応募し、千葉から日帰り(実費)ではるばる鳥取に面接に行ったのにもかかわらず、合否の連絡すらもらえなかったのは記憶に新しい。

まあそこも経験者募集であったし、よくわからん若造が来たぐらいに思われていたんだと思う。

この一件で現状から家具職人になるのは厳しいと思い、この時はすっぱり諦めた。

その出来事から約一年が経ち、再び家具職人への道を目指すことにした。

と言ってもここでまた就職先を探しても、また同じことの繰り返しだ。今度はどこに日帰り旅行する気だ。

どうしようかなとインターネットをぽちぽちしていると、新潟を拠点に制作している木工作家の方がスタッフを募集していた。この方はCasa BRUTUSにも取り上げられる程、全国的に有名な方だ。

身の程知らずの僕はそんなことも知らずに、昨年そのとき任されていた仕事を口実に連絡をして自宅兼作業場にお邪魔していた。とても優しく気さくな方だった。

それから短い時間ではあったが三回程お話する機会があった。

それをいいことにあわよくば働かせてもらえないかと思い、今となっては図々しい長文メールを送りつけていた。

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返信はすぐにきた。それじゃあ、一度工房まで来てくれと。

よっしゃ!

僕は当日張り切って工房まで向かった。張り切り過ぎて30分以上も早く着いてしまったのでコンビニの駐車場で時間を潰した。

それから時間ぴったりの時間に伺って、たくさんお話しをした。

最後にどれくらい手が動くのか見たいからまた後日来てくれと言われた。

っしゃー!!きたー!!

帰りの道中浮かれすぎて事故りそうになった。

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後日、

結果から言うとダメダメだった。現実はそんなに甘くない。分かりきっていた。いったい何回突きつけられればお前は学習するんだ。

思ったように木は削れないし、手も痛かった。

この後一連の作業を見せてもらったが、僕が数時間かけてできなかったものを30分も掛けずに仕上げてしまった。

圧倒的な技術の差を見せつけられた。

これくらいできるようになったらまた連絡ちょうだいと言われた。

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それから2週間後再び連絡し、作ったものを見てもらった。

正直この時すでに僕はここでは役に立てないと感じていた。

あれからたくさん木を削ったことで、どれほどあの技術とスピード感がどれほどすごいものかがよく分かった。

このときも展示会前で忙しいはずなのにたくさんお話しをしてもらえた。

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結局僕は採用してもらうことはできなかった。

だけど道は示してくれた。

ーここで誰でもできる雑用と簡単な単純作業をこなしていくことはできると思うし、本当に簡単なことからであれば時間は掛かるけど確実に仕事はできるようになるだろう。

でもそれは君のためにはならないと思うんだ。

いろいろ考えてみたけど、君は自分がやりたいことだったり考えが年の割にしっかりしているから、一度学校で基礎を学んだ方がいい。ー

とてもありがたかった。

この後さらにどこの訓練校がいいとか木工家として独立する上での注意点等たくさんアドバイスをいただいた。

歩むべき道が決まった気がした。

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工房準備中 @craftsmans_harbor
制作アカウント @object_wood

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