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静寂の内的世界を彷徨う -MAMコレクション017:さわひらき

 MAMコレクション017:さわひらき(-3.31)@森美術館

 六本木ヒルズ森タワー53階。そこは、光を遮断した空間。

 空間の奥に大きなモニター。卓上に小型のモニターが後ろ向きに設置されている。

 モニター同士は、こんな感じで向かい合っている。



インスタレーション×インスタレーション

 本作は、見てのとおり、インスタレーションなのだけど

さわひらき(1977年石川県生まれ、ロンドン在住)は、キャリア初期から深層心理や夢、また記憶の領域に強い関心を抱いており、これまで現実と虚構が織りなす幻想的な映像作品を国内外の展覧会で発表しています。複数の映像を使ったマルチスクリーンによって巧みに構成された展示空間は、視覚的に鑑賞者を魅了しながら自身の身体性を意識させるものであり、人々の記憶と感情と感覚が絡みあう豊かな内的世界を表現します。

「MAMコレクション017」では、6チャンネルの映像インスタレーション作品《hako》(2007年)を紹介します。本作のタイトルである「はこ」は、心理療法の技法である箱庭療法に由来します。箱庭療法では、患者が自由にミニチュアや玩具を砂箱に配置することで、言葉では説明できない心の状態を立体的なイメージとしてつくり、無意識内に存在する自己治癒力を高めることを目的としています。本作では、人の気配がする住家、砂浜の観覧車、港の夜空に煌めく花火、深い森林に佇む神社などの映像が直立するスクリーンに投影されます。どこか親しみを感じさせるサウンドとともに、人々が記憶の深部に閉ざしてしまったようなイメージがシンクロ再生され、ひとつの情景へと統合されます。

本展では、《hako》の着想源となった箱庭療法の世界観を表現するために再構成されたバージョンを展示します。同時に、夢を喰う羊を描いたドローイングと、踊り子の残像を次々に重ね合わせてゆく映像作品もあわせて紹介します。それぞれの作品が共鳴し合うことで、無意識と意識、夢と現(うつつ)が交差する風景へと鑑賞者を誘います。

概要 より

 説明の通り、いわば、作家によるインスタレーション×インスタレーション。

 時計の画像はカチカチと時を刻み、静寂な空間に音が響き渡る。


内的世界を彷徨うような

 暗がりの展示会場は、妙に居心地のよい場所で、

 あたかも、自分の、あるいはだれかの内面世界をさまよっているような。




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