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二律背反なユーモアとシニカル

ユーモアとシニカルの対峙

誰にだって苦手な人、嫌いな人はいる。その度合いは人それぞれだが、どう頑張っても譲歩できず、理解し合えない人種もいるだろう。もちろん、私にもいるのだ。特に、ユーモアとシニカルを履き違える人種である。

連絡が遅すぎる人は海底2万マイルにでも住んでいて、電波が1Gくらいしかないのだと思う。仕事の忙しさを理由に何かをできないと言う人は人間には皆、平等に24時間与えられていることを知らない人なのだと思ってしまう。それとも、2500年くらいにタイムリープしている異次元な人種なのかと思ってしまうくらいだ。どんな次元でどんな時空間で生きてるのか、私には到底、理解し得ない人種である。

マッチングアプリで大してやり取りをしていないのに「いつ空いてる?」と聞いてくる人種は、私を都合の良い、いつでも予約可能なHOT PEPPER Beauty掲載店のサロンとでも思っているのだろうか。「いつ空いてる?」なら百歩譲って妥協できる。最も妥協し難いのが、「いつ暇?」なのである。私には、空いている時間はあるが、暇な時間なんぞ1秒足りとも存在しない。とても失礼極まりない人種だなと思い、男女問わず、そう聞かれた瞬間にシャットアウトしてしまうのだ。

そして、極め付けは既にパートナーシップを結んでいる相手から受ける弊害である。結婚を都合の良いポケモンカードゲームだと勘違いしている人種が多すぎるのだ。いざと言う時は、「結婚」というカードを切り、「俺ってこんなに良い条件が揃ってるレアカードなんだよ!」と堂々たる姿勢で落としに掛かってくる。そして、威勢がなくなると「結婚って何ですか?」と言いたげのように一気に守りに入るのである。そんな、ご都合主義なポケモンは絶対にリザードンに勝てるわけはない。所詮、売りに出されても小銭程度の需要しかないのだ。そう思わないとアラサー独身女子である私の気持ちのやり場は見つからないのである。

このような人種に共通していることは、ユーモアとシニカルを存分に履き違えているということだ。最終通告として何かを言っても、笑い事のようにLINEの返事の語尾に「(笑)」や「w」を付けるのである。こちらが事の重大さを訴えかけても、相手は然程のことではないと思っているのだ。そして、間違ったことを言ったつもりはないのに、あたかもこちらが可笑しいことを言っているような雰囲気になってしまうのである。私は、そのような状況に更に悶々としてしまう。またしても、気持ちのやり場に困ってしまうのだ。

しかし、よく考えるとそんな彼らは毎日とてもハッピーなのかもしれない。常にユーモアの側面だけで生き、その延長線上にあるシニカルな側面には目もくれないのだから。そう考えると、少し羨ましくもある。アラサー独身女子である私は、人生・恋愛・結婚・仕事・家族・全ての重責を追っている流動性のない年代でもあるからだ。二律背反なユーモアとシニカルのように、彼らとアラサー独身女子の私は同じ立ち位置にいる。そんなユーモアとシニカルの対峙の課題は思った以上に長引きそうなのである。

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