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読んだ本2冊

感覚として、まとめて書くのは2冊になることが多いです。感想を書く本が2冊溜まって、「やらなきゃ」というスイッチが入りやすいのでしょうか。

はじめての人類学

人類学は個人的に興味がある分野です。何となく有名な人の名前を覚えた程度の理解ですが。

これまで人類学に関わる本では『文化人類学の思考法』、『旋回する人類学』を読んだ記憶があります。

今回読んだ本では主に4人の人物に焦点を当てて人類学に対して書かれています。この4人の紹介の流れには歴史の流れを感じるものがあります。『旋回する人類学』でも人類学の調査方法や在り方が時代と共に変遷していったというようなことが書かれていたと記憶していますが、正直理解が浅いので具体的なことに関しての記憶はありません。なので、今回の本を読んでもう一度『旋回する人類学』を読んでみると理解が進むのではないか、と思いました。

以前、『文化人類学の思考法』を読んだ時には、文化人類学を自分のあたりまえを他文化と比較することで見直す学問と理解しました。

けれども、文化人類学は人類学から分化した分野でしかなかったと知りました。この本で、根本の人類学とはなんぞや?と言われれば、「人間とは何か」を問う分野(本書p4)だと知りました。

さて、本書で書かれていた4人とは、マリノフスキ、レヴィ・ストロース、ボアズ、インゴルドの4人です。

レヴィ・ストロースは哲学系の本を読んでいて、構造主義を考えた人程度として知っていましたが、他の人は記憶にないです。外せない4人と本書に書かれていたので、おそらく前に読んだ2冊にもこれらの人は登場していると思われます…

それぞれについて端的に言えるくらいしか覚えていないものの、書いておきます。

マリノフスキ
知りたいと思ったことを書物だけで知るのは無理なことで、現地に行くことが必要と考えた人。百聞は一見に如かずで、実際に行ってみると全然違うというのはよくある話。

レヴィ・ストロース
構造主義について少し理解しました。全く違うものでも、構造で見れば同じというようなことなのかな。『野生の思考』にはおそらく良いことが書いていると思われるが、理解できませんでした。

ボアズ
ドイツ生まれでアメリカに移った人類学者。後に色々な人物に影響を与えた。『菊と刀』で知られるベネディクトもボアズに師事した人物。

インゴルド
自然と社会を2分する考えに違和感を抱いた人物。これには結構興味を持ちました。けれども、大して理解していません。論文や書籍を書く時に「なぜこんなことを書くのか?」と自問自答していたそうで、2/3くらい書くと、何を書けばいいか明確になるそうで、これに親近感を湧きました。


人文学を解き放つ

思ったより『はじめての人類学』が長くなったので、簡潔に。

この本は神戸大学の新聞に載っていたコラムをまとめたものです。

いくつかのトピックに興味があって読みました。

記憶に残ったのは、3つです。

共感力

なにかと共感力が大切にされる時代ですが、共感力だけでは世界は変わらない。そんなことをあっと言わせる言葉が載っていました。

最大の悲劇は、悪人の圧制や残酷さではなく、善人の沈黙である

マーチン・ルーサー・キング牧師

哲学思考

景気が悪くなると、哲学をやる学生が増える

P238

こんな不思議な話があるそうです。考えとしては、物事が順調に進んでいる時は気にも止めないことを景気が悪い時には考えたくなるというものです。

景気に関わらず、自分が落ち込んでいる時はちょっとのことでも過敏に反応したり、ものすごく悪い方向へ思い込みをするのでそれに近いと捉えました。

アラビア語の原理

棚からぼたもちです。語根と呼ばれる3つの子音を元に言葉を作るそうです。

例として、KTBが挙げられていました(ネットで調べてもこの例ばかりでそのこと自体が不思議に感じました)。この子音から作られるのは「書く」ということに関連する言葉で、KTBの後ろにaをつけたKaTaBaは「彼は書いた」という意味で、Bの母音をtaに変えたKaTaBtaは「彼女は書いた」、maKTaBatunは「図書館」「書店」を意味します。

言葉の成り立ちは理解したものの、結局はあの横に長い言葉がアルファベットのどれに対応しているのかさっぱり分からないので読めないことには変わりありません。

アラビア語と言葉の成り立ちが同じ言語もあるようで、為になりました。

この本は思いがけない所で発見がある本かもしれません。

  


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