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Essay

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2023年9月の記事一覧

【秋田・青森】念願の五能線の旅。雨雲の行方と旅の道連れ

【秋田・青森】念願の五能線の旅。雨雲の行方と旅の道連れ

昔から、ローカル線で行くスローな日本国内の旅に憧れがあった。
一両か二両だけの列車で、時間をかけて田舎を行く鉄道旅だ。

なんでも、秋田県と青森県に渡り日本海沿岸を走る五能線というのはそんなイメージにぴったりのローカル線で、かつ日本有数の絶景路線だという話で、わたしの行きたいところリストに長い年月にわたり残っていたわけだ。

でも、東京から五能線に乗るためには、まず秋田か青森のどちらかに行く必要が

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翻訳スクールに通っていた記憶は消えかけていた

翻訳スクールに通っていた記憶は消えかけていた

両親の家のクローゼットにある自分の資料や荷物を整理していると、見覚えのないファイルがあった。
半透明のグリーンのファイルの表紙から、「修了証書」の文字が見える。

まるで記憶になかったが、それは2004年に受けた某翻訳スクールの「文芸翻訳基礎コース」のものだった。そんなことすっかり忘れてしまっていることに驚いた。
自分は、大学生の頃に出会った作家ベッシー・ヘッドのある長編小説をどうしても自分で翻訳

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【ボツワナ】スペシャルタクシーと日本的マナーの非効率性

【ボツワナ】スペシャルタクシーと日本的マナーの非効率性

アフリカにいると事欠かないのは、日本的マナーとはかけ離れた「サービス」とは対極なものにびっくりする事例の数々だ。

たとえば乗り合いタクシー。
利用するたび、日本人から見ればたいてい面白い出来事があって飽きることがない。

今年は実に久しぶりに開発コンサルタント仕事以外でアフリカに行った。
しかも久しぶりのボツワナ。

今まで首都でも治安が良かったボツワナだが、残念なことに昨今では経済状況の悪化か

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翻訳原稿をお友だちに読んでもらった

翻訳原稿をお友だちに読んでもらった

今まで、ずっと大人ぶって黙ってきたことだけれど、わたしは多分淋しかったのだなと最近すなおに認めることにしている。
ベッシー・ヘッド作品を日本語で読んで一緒に感動してくれるひとがいなかったことだ。
どれほど応援してくれるひとがいても、原文をわざわざ読んでくれる日本のお友だちはいなかったから、ベッシー作品のすばらしさを知っていて応援してくれているわけではない。ほぼ全員が、肝心の小説そのものの中身を知ら

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