デザインという武器。コンセプトという愛。【Manmaのアヒージョ】
販売促進の広告を「まるで魔法のようだ」と書いた小説を読んだことがあります。
どうも!マネージャーのFです。
この業界に入って初めて、社会を風靡するさまざまな物事にはちゃんと種も仕掛けもあるんだということを実感しました。
だけど一方で、
「公式サイトをリニューアルしたから新卒応募者がいっぱい来るはず」
「パッケージをオシャレにしたから商品が売れるはず」
など、デザインは「それがあるだけでまるで魔法のように注目され、物が売れる装置」のように見えてしまうこともあるのかもしれない、と思います。
なので、今回は大真面目に「デザインは魔法ではなく武器である」そして「武器を使うために最も大切なもの」についてお話しさせてください。
今回例に出すのは、株式会社ホリの冷凍エビブランド、Manmaのアヒージョです!
デザインがさらに美味しくなる話vol.23【Manma おつまみシリーズ 日本のアヒージョ】
▼株式会社ホリのブランド「Manma」についてはこちら!
1.株式会社ホリとは
株式会社ホリは、香川県高松市でえび・魚介類の販売を行う会社です。
遠洋漁業の漁師だった初代から数えて現在で三代目。今でも変わらず持ち続ける天然で素材そのまま、ありのままの美味しさへのこだわりを形にすべく、魚介類の冷凍食品ブランド「Manma」を立ち上げたのは、今から4年ほど前のことになります。
2.そのまんま、それは、ママたちの幸せ。
これがManmaのブランドステートメントです。
Manmaのえびは無添加・無加工で、お子さんが口にしても安心。
そして格別に美味しい。
そんな天然えびを冷凍でお届けすることで、日々忙しく、家族の健康を気にかけるママさんの不安やストレスをなくしたい。
なによりまずはママさんに楽になってもらいたい。
そんな想いから、Manmaは頑なに素材そのままの冷凍のえび・魚介類だけを取り扱ってきました。
3.無添加・無加工の一歩先へ
しかし、ブランド立ち上げから数年経って、あるときふと代表の堀さんがこんなことを言い出しました。
「無添加・無加工の冷凍えびもいいものを常備できて楽だけど、”時短したい”とか”手軽に食べたい”っていう、そんな楽があってもいいんじゃないかと思うんです」
そうして上がってきた新商品の企画が、冷凍アヒージョでした。
おつまみにもこだわりたい。だけど、作るのは手間。
そんなお悩みから開発したアヒージョは、国産食材へのこだわりは残しつつ、調理・加工済みでレンジで温めるだけで手軽に食べられる仕様にしました。時間に余裕のないママさんパパさんの日常に、手軽な贅沢を添える一品です。
「なにより一番大事なのは、お客さんが楽であることなので」
きっぱりと言い切った堀さんに、私たちもびっくり。
これはManmaにとってとても大きな変化であったと同時に、堀さんがブランドコンセプトの幅をぐんと広げた瞬間でした。
4.渾身のクリエイティブで販路拡大を狙う
調理・加工済みのアヒージョなら、今まで卸せなかった店舗にもアプローチすることができる。
「これでもう一度勝負しようと思うんです」
堀さんの気合と熱意を受け取って、Manmaがもう一段伸び上がるための渾身のパッケージデザインを制作しました。
それが、こちら!
商談のとき、初見で「おっ」と思ってもらうために、あえて商品写真はぐっと抑えて、グラフィカルでとびきりおしゃれなデザインに。
ショーケースの中で他の商品と並んでも目につきやすく、一目で「Manmaのアヒージョだ!」とわかるデザインを意識しました。
アヒージョはスペイン料理なのでビビットな色合いにしつつも、「国産素材を使っている」というこだわりを和風なテイストに忍ばせています。
商品のよさとクリエイティブが合わさり、このアヒージョが過去最高にヒット。
「パッケージがおしゃれ」から手に取ってもらい、「食べたら味もいい」と次々に取引が決まり、これをきっかけに一気に販路が拡大していきました。
5.今度は高すぎて売れない……
しかし、喜んだのも束の間、取扱店舗は増えたものの、普通のスーパーなどではなかなか売り上げが伸びないという事態に。
というのが、Manmaの商品は素材や品質にこだわって作っているので、どうしても普通のスーパーでは価格帯が合わないのです。
これには堀さんも私たちも頭を悩ませました…。
が、「丁寧に妥協なく作っている商品だから、高いのは仕方がない」と、最終的には味や素材や産地のこだわりに価値を感じてくれる人に向けて売ることを決意。
販売先を普通のスーパーからオーガニックスーパーやこだわりの商品を扱うお店にシフトチェンジしたことで、ブランド価値を守りつつも安定して商品が売れていくようになりました。
そうして現在では、大手百貨店や関東圏の某有名高級スーパー、某有名女性誌や航空会社の通販など、ブランドのスタンスにフィットした名だたる企業にも取り扱っていただけるようになりました。
Manmaのアヒージョは、日本全国のさまざまな百貨店や高級スーパーなど約60店舗以上、通販・宅配では約20社以上で販売されています。
6.コンセプトはブランドを飛躍させ、ときには元の場所に立ち返らせてくれるもの
さて、今回ご紹介したManmaのアヒージョが成功した一番の理由は、ママたちの幸せ=「ママが楽になる」というブランドコンセプトを代表の堀さんご自身が解釈し、新しい考え方を取り入れたことにあると思います。
そして「ママが楽になるためなら、こんな楽もありなのでは」と考えられたのは、ブランドコンセプトが他の誰でもなく自分自身のものになっていたから。だからこそ「普通のスーパーではなかなか売れない」となった時も、「安売りはしない」とブランド価値を守る選択ができたのです。
実はこれってとても難しいことで、ブランディングをする中で手札が増えてくると徐々に方向性がズレてしまう、迷ってしまう、本来の意図にそぐわない判断をしてしまう、ということもよくあることだったりします。
そんなとき、元の場所へ立ち返らせてくれるのがコンセプトです。
道に迷ったときのための道しるべであり、新しいことを推し進めるためのコンパスであり、ブランドが長く応援されていくために、私たちが揺るぎなく抱きしめておかなければいけない愛のようなもの。
デザインは難関を突破するための武器にすぎません。その武器はいつだってコンセプトを元に作られる。
だからこそ、お客さまにもなにより一番大切にしてほしいものなのです。
「デザインがさらにおいしくなる話」とは?
CREDIT
Creative Direction:村上モリロー
Art Direction:村上モリロー
Graphic Design:久利優実
Copywriting:村上モリロー/柳田梨絵
Illustration:久利優実
Photograph:仁田慎吾
Food Coordinate:柳田梨絵
Creative Produce:柳田梨絵
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