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書き言葉としての「文字」を想像力豊かに

今日は、書き言葉としての「文字」の学び方を紹介したいと思います。アルファベットのエポックは前記事でも触れていますので、よかったらそちらもご覧ください。


子どもは1年生になり、当たり前に会話やコミュニケーションで使っている話し言葉、道具である「言葉」を「文字」で表す学習を始めます。
どの国でも公教育の場では5、6歳ごろから文字を習うのではないでしょうか。
シュタイナー教育では、身体感覚の発達を重視する幼稚園の期間では一切文字に触れないので、子どもたちが「学習」として文字を習うのは学校が初めてです。

文字や数字の学習を始める前に、「フォルメン線画」という幾何学模様を描く時間を毎朝取ります。学年が上がっても、フォルメンの時間は大切にされています。
フォルメンについては、また別記事で書こうと思います。

さて、こちらの子どもの絵で、何を思い浮かべますか?

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「わたしたちの頭の上にはいつも、輝く光とあたたかさ
いつもわたしたちは守られていて、だから、いつも、あたたかい。綺麗だね、あぁ、ありがとう。」

こんな物語が聞こえて来るような輝く絵。

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この絵は、日本で言う「国語のノート」にミツロウのクレヨンで描かれています。
担任の先生が考えたアルファベットの「A」のお話(メルヘン)と文字を、ゆっくりと時間をかけて練習しているところです。

次はどうでしょう。お話と文字が浮かびますか?画像4

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「少し疲れちゃったら、

う〜〜ん!と伸びをして、
お月様のパワーをもらうよ。
夜でも明るいお月様、いつも照らしてくれてありがとう。
腕をいっぱい伸ばして、う〜〜〜ん!」

わたしは、こんなお話が聴こえました。Uの学習です。

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「おおっと、大切なものは、しっかり両手で持たなくちゃ。
おぉ。なんてきれいなんだろう。わたしの宝物。
大事な大事な宝物。」
Oでした。

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Eです。
「えぇ?とびっくりすることもある。
だけど、わたしたちには、太陽が、夜にはお月様が
いつだって守ってくれるから。」

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ちなみに、お隣のクラスの「E」はまた違ったこんな絵でした。お話が違うので、絵もクラスによって変わって来ます。

面白いことに、母音のAEIOUは全世界で共通の音の響き。
「A」 あぁ! 驚き、感動
「E」 えぇ? 疑問、納得
「I」  いー 拒絶、受け入れがたい
「O」 おぉ! 驚愕、深い共感や納得
「U」 うぅ  内省   
など、意味も似ていますね。

母音に関してはこの意味を活かしたお話を聞き、
オイリュトミー(身体芸術)の基礎として身体で表現して
言葉の意味を身体や感覚に落とし込みます。
そして自分で絵に描いてから、文字を初めて覚えます。

シュタイナー学校は教科書も副教材もドリルもありません。
このノートが自分の学びの足跡であり、教科書となります。

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「I」では、どんなお話、身体表現ができそうですか?
子どもたちの想像力を豊かに育みながら「文字」を教えている授業スタイルの紹介でした。

わたしは、日本のシュタイナー学校に身を置いたことが無いのですが、学年が上がっても、きっと漢字の勉強が楽しいだろうなと想像しています。


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暖かい教室環境。また別のシュタイナー学校の1年生の教室にて撮影した写真です。どの学校も、1年生の教室の色は共通してあたたかい淡いピンクです。

文字は人間の歴史であり、素晴らしい文化。どんな時代でも、人は文字を覚えます。その暗記の過程にたくさんのイメージやファンタジーが結びつくと、文字がただの記号ではなく、自分の体験となり、より身近なものとなるのだなぁと思いました。

Ai

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