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MENA(中東・北アフリカ)専門家によるイラン解説 VIII

 著書を執筆する際には、テーマを決め、章立てをしてから理路整然と書き進めることが一般的です。論文も同様でアブストラクトやイントロダクションを通じて読者に理解し易い形で記述するのが基本です。しかし、私は書籍や論文の執筆に飽きてしまったので、私のnoteでは、いただいたコメントによって話の流れが飛ぶ『迷路構造』を取り入れています。

 毎日作成する記事をパズルのように組み合わせたり、ゲームブックのように楽しめるのがこのnoteの特徴です。例えば、 #イラン の話題から #イスラエル ではなく、突然イギリスの話題に飛ぶことがありますが、このようなイギリスの記事はイランを理解するための布石として書かれています。

 以前の記事『旨いイギリス料理が存在しない理由:地政学と産業革命と食文化』にて、Suzzyさんから『 #ライスプディング 』と『 #ビール 』に関するコメントをいただきました。この #イギリス料理 についてのコメントを通じて、私独自のユニークな解説スタイルを展開します。これは歴史の教科書では見られないアプローチです。

 イランでは #古代ペルシャ 時代から現代に至るまで、小麦が主食とされていますが、小規模ながら稲作も行われています。 #アケメネス 朝や #サーサーン 朝の時代、広大な灌漑システムが建設され農業が発展し、小麦は食料としてだけでなく、社会経済的活動の中核としても重要な役割を果たしました。この豊かな小麦文化は、パンやビールの原料としても用いられ、 #ペルシャ帝国 の富と繁栄に大きく貢献しました。

 前の記事では、日本では『イギリス』と呼ばれる国について言及しましたが、地球上に『イギリス』という国は存在しません。以下の解説は、イギリスが存在するという前提でお読みください。

 イギリスはパブや #ギネス ビールで知られていますが、ドイツの食文化はイギリスよりも豊かです。 #ドイツ #オクトーバーフェスティバル でビールを大量に消費し、ソーセージと共に楽しむイメージがあります。千葉県には何故か #東京ドイツ村 や、 #東京ディズニーランド があります。

 また、 #オランダ #ハイネケン などで有名で、ビールの国として認識されています。オランダの #ハウステンボス は、なぜか長崎にあります。

 これらの国々がビールに関して特に印象的であるのは、独自の醸造法やビールスタイルが社会文化に根ざしているからです。ビールは飲料以上の存在として、各国の歴史や文化、社会的慣習と深く結びついています。イギリス、ドイツ、オランダにおけるビールの文化的重要性を以下で詳しく説明します。

#イギリス では特にエール(上面発酵ビール)が長い伝統を持ちます。中世から続く醸造技術の発展は、地域ごとに異なるスタイルやフレーバーのビールを生み出してきました。パブ文化は社会的な交流の場としてビールを中心に展開しており、ポーターやスタウトといったビールスタイルの発祥の地でもあります。

#ドイツ はビールの品質と多様性で知られており、1516年のビール純粋令は、ビールの品質を守るために、原材料を水、麦芽、ホップに限定するものでした。この法律は世界最古の食品規制法の一つとされ、ドイツビールの品質保持に大きく寄与しています。オクトーバーフェスティバルなど、ビールを祝う祭りは、そのビール文化を象徴しています。

#オランダ はビール醸造の歴史が古く、中世の修道院での醸造から始まりました。特に国際的に有名なオランダのビールブランドは、優れた醸造技術と効率的な流通網を背景に、世界市場で大きな成功を収めています。小規模なクラフトビール醸造所も多く、革新的なビール作りが活発に行われています。

 しかし、これらの欧州諸国でのビール生産が始まったのは中世以降のことであり、 #イラク #イラン #エジプト などでは紀元前からビール生産が盛んでした。ビールの起源は紀元前3500年頃の #メソポタミア に遡るとされていますが、ヨーロッパにビールが広まるのはその数千年後になります。ヨーロッパでビールが存在した証拠は紀元前3000年頃に遡りますが、特にケルト人やゲルマン人を通じてビール文化が発展したのは紀元前1000年から紀元前500年の間です。したがって、ビールがメソポタミアからヨーロッパに伝わるまでには約2000年から3000年かかったことになります。

 これらの古代民族は、独自の醸造技術を発展させ、地域に応じて様々な種類の穀物を使用しました。ビールの普及はローマ帝国時代を通じて進み、中世ヨーロッパでは、特に修道院でのビール製造が重要な役割を果たしました。これにより、ビールはヨーロッパ全土で広く飲まれるようになり、各地で独自のビール文化が定着しました。

 また、ビールが普及した理由は、アルコールに酔う目的だけではありませんでした。古代文明の時代から上下水道が整備される現代に至るまで、コレラや赤痢などの水由来の病気は致命的でした。しかし、ビールの製造工程である麦芽の糖化、麦汁の濾過と加熱、ホップの加えてのさらなる加熱、そして発酵は病原体を死滅させる効果がありました。このため、発酵する前の麦汁は、加熱殺菌された安全な飲み物として、子供でも飲むことができました。これにより、汚染された水源に代わる安全な代替品としてビールが広く利用されました。

 こうしてビールの蘊蓄を垂れているのは、与兵衛隊長に話を無茶振りすることが目的であります。

ライスプディングからイランを語ってみる

#ライスプディング は米を牛乳で煮詰めて作る料理で、英語圏では『ライスプディング』と呼ばれています。この料理はヨーロッパからインドに至るシルクロード沿いで非常にポピュラーです。代表的な例として、ドイツの『ミルヒライス』、トルコの『スッテラッチ』、インドの『キール』があります。イランではこの料理を『 #ショレ・ザルド 』と呼び、特に祭事やお祝いの際に人気のある伝統的なスイーツです。

 欧州や #MENA 地域の農業地帯では、古代から主に麦が主食であり、日本のように米を主食とする発想が希薄です。こうした地域では、米は主にサラダやデザートとして扱われます。特にEuro-MENA地域では小麦が主食であり、米は野菜的な扱いを受けています。私がEuro-MENA地域で味わった中で、スペインのパエリャ(パエリア)やイタリアのリゾットを除くと、美味しい米料理は稀です。最もがっかりなのは、フランスやMENA地域で提供される、冷えて固まったご飯にマヨネーズをかけた #ライスサラダ です。

 MENA地域の友人には、『日本人はこんなものを美味しいと思って食べているのか?』と頻繁に聞かれますが、私は『そんな不味い食べ方はしていない』と答えるしかありません。

つづく…

#武智倫太郎

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