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7ヶ月の世界

まだまだ生まれたてだと思っていた娘も、いつの間にか生後7ヶ月を迎えようとしている。永遠にさえ感じられた夏の暑さも、いつの間にか遠い記憶になりつつある。

この数日の間に娘は驚くべき進化を遂げた。おすわりを覚えたのである。

娘の発育を7ヶ月弱見守ってきた中で、おすわりはちょっと革命的に感じる。なぜなら生まれてこの方、寝転がっていることが標準スタイルだったからだ。

それが、お尻だけを床につけた状態で体のバランスを保てるようになるとは!いや驚くのはそれだけではない。寝転がった状態から体の反動だけで(?)座る体勢に移行できるなんて、すごい。

そう驚いていたら、おすわりができるようになった翌日にははいはいしそうな動きをしていた。さらにいえば、はいはいのフォームから進んで、つま先を立ててアキレス腱を伸ばすような動きをし始め、その様子はさながら今にも立ち上がりそうな勢いであった。

私は毎日おむつを変えて母乳をあげてミルクをあげて離乳食をあげてお風呂に入れてとお世話をしているだけで、なんら教育的なことはしていないのに(絵本は読んでいるけど)いったいどうやって覚えるのだろうか。

赤ちゃんは、体育の授業なんかなくても自分でひとりでに体の動かし方を覚えていくのだ。

脳を使って思考や意識によってあれこれ身体をコントロールしようとするのは大人だけで、自然な身体機能というのは思考とか意識とかそういう次元を凌駕したところにあるんだという当たり前の事実に立ち返らされる。

それにしても、親バカか平均と比べた妥当な評価なのかはわからないけれど、娘の身体発達は早い方だと思う。

寝返りも4ヶ月を数日過ぎただけの時期に完全にマスターしたし、おすわりは最初の1回目から5分以上自分一人で座っていた。おすわり初日から数日経つ今も、バランスを崩してゴチンと頭から床に転んだ姿を1、2回しか見たことがない。体幹がいいのかもしれない。親族は勝手に娘をスポーツ選手にする気でいる。

娘は動ける範囲が広がったのと比例して、世界が広がったことを楽しんでいるように見える。

手を伸ばせば、そこに新しい物がある。手を伸ばした先にある物が、たとえ既知の物であってもまだそれがなんだかわからない。だから不思議そうに手を伸ばし、つかみ、口に入れてみる。実に危険だ。

最近のブームは、授乳中に私の顔に手を伸ばして、ペタペタと私の顔を触ったり、口や唇をぎゅむっと掴んでみたり、娘の顔を覗き込んで垂れ下がる私の髪の毛を掴んだり、うっかりネックレスをつけっぱなしの日にはネックレスを引っ張ったりすることである。大変かわいい。そして痛い。

だけどこんな時間は、いったいあとどれくらい残されているのだろう。

時間はなぜか、歳を重ねるに従って過ぎるのが速く感じる。

同じ1年間でも、1歳の子どもにとってその1年は人生の1分の1だけど、40歳の大人にとっては40分の1。1分の1よりもはるかに小さな40分の1が速く感じるのは当たり前なんだ。昔、どこかで見知ったことを改めて思い出したりする。

子育ての先輩たちが異口同音に「子どもはあっという間に大きくなるよ」というけれど、その真理が日に日に肌身に染みるようになってきて、育休が半年も残っていないことが今寂しい。

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