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【エッセイ】缶チューハイとあぐら

日曜日は息子と公園に行き、帰りに買い物をして帰る

数週間に一度だけ、缶チューハイを一本

子供騙しの様な
甘くて出来るだけジュースみたいなお酒を選んでカゴに放り込む

昔から、少し飲んだだけで顔が赤くなり
ふらふらになる程、少量で事足りてしまうお酒の弱い私は

さほど、お酒が美味しいとは思う事もなく
お酒より車の運転が好きだからと
飲み会では、重宝される存在

そんな、お酒について語るのには
最も不適切な私でも、母になり数週間に一度だけお酒を一本嗜む様になった



何がいいのか?いまだによく分からないし
飲まなくてはいられない訳でないし
ジュースでも良い気もする

それでも、シングルマザーとして一週間ちゃんと家を守れた自分に買ってあげたくなる

公園で遊んでくたびれて
帰宅して、夕飯を食べながらプシュと一杯
この日ばかりは、私も父であり週末のおじさんの一員になった気になるなのだ

日頃から、テレビは必要としない性質だからと
テレビがうんともすんとも言わなくなってから買い替える必要性を感じないので
うちではテレビは見れないのだけど

こんな週末ばかりは
笑点とサザエさんが恋しくなる

酒と笑点とサザエさんとおじさんは何故だろう相性が良い気がするから




代わりに、我が家では週末は映画を見る

2人で喧嘩をしながら
夕飯の時に見る映画を決めて
結局は息子が観たい映画に付き合いながらお酒の缶に手を掛けて

『今週も、親。やってやったぜ…』

そんな感覚を腹の底から拾う様に
ジュースの様に甘い一本の缶チューハイ飲む

貧乏性がお酒を残すのを許さず、無理をして飲み干して
ぐらぐらと地面も天井の電気も揺れて
腫れた様に赤い顔で、頭は脈打っている

大層、大黒柱を気取って食後はどしりと転げて一休み

不器用ながらも良く頑張った自分を沁みる様に感じて

親の特権ひとじめ
シングルマザーの良いところ

おじさんにもお父さんにもなれるのも
シングルマザーの良いところ

缶一本分に詰まった家族時間を時々こうしてあびるのだ

akaiki×shiroimi

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