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キャリコンのLGBT研修を受けて。

つい先日まで朝夕は寒くて、新しく買った夏服が浮いていた感がありますが、週末は初夏の日差しを通り越してもう真夏ですね。

コロナ禍も落ち着いてきたし、外なら少しマスクを外していられるし、絶好の行楽日和ですが、週末は缶詰めでオンライン受講。

キャリアコンサルタントの更新講習のひとつを受講しました。

キャリコンは5年に1回の更新が義務づけられていて、そのための所定の単位を取得しないといけないのですが、私は今年更新したばかりなのでしばらくは受講を急ぐ必要はありません。

でも、今までLGBTをテーマとした更新講習は受けたことがなかったので、タイミングがあったのをみて受けることにしました。

キャリコンの分野でも、多様化の時流の中でLGBTなどのマイノリティ支援の動きが加速しつつあり、私も最近はそうした業務にかかわったり、業界団体の勉強会などに所属していたりします。

ただ、キャリア×LGBTを真っ正面から見据えたテーマは初めてだったので、とても楽しみにのぞみました。



1日講習をうけての感想。

LGBTの基礎知識やキャリコンとしての実践的な切り口などはもちろん勉強になりましたが、もっとも印象にのこったのはその前提となる理論や背景でした。

キャリコンとしてLGBT支援にかかわるにあたっては、そのまず社会文化的側面を意識する必要があります。

その中には、世界各国に共通する一般的な傾向ももちろんありますが、日本特有のテーマもあります。

日本の社会文化的側面の特徴には、「タテ社会」や「甘え」などがあります。

それらを統合するものとして、「世間」という存在があります。日本人としてはまさに空気のような存在であるため、なかなかふだん意識することがありありませんが、むしろそれだけに根強い影響を私たちにもたらしているといえます。

日本の「世間」の特徴には、「上下関係」「公私をこえた人間関係」「まわりと同じという意識」などがあります。

キーワードをとらえるだけで、なんとなくその特徴や弊害をイメージすることができると思います。



これらが融合してミックスされている社会では、横並び意識が強く働き、それぞれの個性はなかなか認められず、多様性が花開くことは難しくなります。

LGBTの支援を考える上では、LGBT特有のテーマについて学ぶこともさることながら、まずこうした日本の社会文化的側面についてしっかり理解することが大切。

キャリコンとしてはクライエント個人ではなく、企業や団体をとおして支援する場面もありますが、そうしたケースでは集団が日本特有の特徴の影響をどのくらい受けているかという点も大切な視点となります。

単純に保守的、先進的という区分けができるわけではないにせよ、組織にはそれぞれ特徴があり、なかには上にあげたような特徴を相当強く持つ集団もあります。

そうすると、クライエント個人と真摯に向き合い、傾聴をとおして主訴を把握し、具体的な取り組みをすすめていくにあたっての前提をまずしっかりとととのえていくことが先決ともなります。



キャリコンをやっていて思うのですが、クライエントの悩みや希望をしっかりときいて寄り添い、しっかりと問題解決や目標へのアプローチをはかっていくことは当然大切ですが、必ずしもある問題を解決することを望んでいなかったり、そもそも明確な希望が何なのかを意識したり確定することを期待していないようなケースも少なくありません。

人間は、もとより感情の生き物です。

自分自身が仕事に悩みを抱え、今後のキャリアを不安に思っているとき、目の前の人物が理路整然とその解決をはかるような動きをすることを望むかといえば、もちろんそういうパターンもあるにしても、多くの場合は必ずしもそうではなくて、まずは自分自身としっかりと向き合いたいし、そのためのヒントなり糸口を得たいと思うでしょう。

LGBTなどのマイノリティの人であれば、なおのことかもしれません。

私たちは専門家として支援しようとするとき、どうしても無意識のうちに知識や経験を武器にして、頑張って問題を解決しようと考えがちです。それも大切ですが、意外と現場では空回りすることが多いのも事実だと思います。

キャリコンの支援の前提としての、日本の社会文化的側面の特徴。

私はかつて歴史を学んでいたので懐かしくも感じるテーマですが、まずは以下の基本文献などを再読してあらためて理解を整理していきたいと思います。

中根千枝 『タテ社会の人間関係』 1967
土居健郎 『「甘え」の構造』 1971
阿部謹也 『学問と「世間」』 2001

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多様性を考える

学生時代に初めて時事についてコラムを書き、現在のジェンダー、男らしさ・女らしさ、ファッションなどのテーマについて、キャリア、法律、社会、文化、歴史などの視点から、週一ペースで気軽に執筆しています。キャリコンやライターとしても活動中。よろしければサポートをお願いします。