暗落窼(あんらくそう)

観劇や読書の記録など

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最近の記事

勝手に愛して、消費した

2023年8月 この2ヶ月間、思っていたよりも元気に過ごしている。その事実が「私はどうせ、そこまで真剣なファンじゃなかったんだな」と気づかせた。 ちょうど転職したタイミングで、毎日やるべきこと、覚えることがあって仕事に集中できていたのがかえって良かったのかもしれない。私はよく笑っていたし、友達や新しい同僚と外出して楽しいこともたくさんした。 劇場には行けなくなった。行きたいとも思わなかった。何も観たいとは思えなかった。 結局そこまで好きじゃなかったんだ。 私は何が好きだ

    • 義経千本桜・四の切の感想(2022/1月@歌舞伎座)

      マジで今更ですが、Tumblrに載せていた感想。 2022/01/02 『義経千本桜 川連法眼館の場』 ■四代目の狐忠信が帰ってきた! とてもラッキーなことに、新年の初観劇を歌舞伎座で迎えることができた。しかも、猿之助さんの四の切で。 ずっとこの時を待っていた。歌舞伎を好きになり、猿之助さんにハマったのは2017年の冬。あの大怪我をされた直後だった。初めて猿之助さんを「猿之助さんだ」と意識して生で歌舞伎座で観たのが2018年の初春大歌舞伎。白鸚さん、幸四郎さん、染五郎さん

      • VS 父親

        最近、父が足に大怪我をした。ケースによっては死者も出るらしい。入院して、手術をしていると母から聞いて、私は心の底から「手術が失敗しますように」と祈った。 手術は14時間ぐらいやって、成功したらしかった。長友佑都選手の右足ならともかく、あんな男の右足のために14時間も貴重な時間と医療の技術が使われたのかと思うと、呆然としてしまった。ヒポクラテスの誓いの弊害か。意外と知られていない事実だが、世の中には救わなくたっていい命が時たまあるのだ。 今は一人暮らしだが、実家は比較的近く

        • この1年、わたしはこんな風に @Spotify で音楽を楽しみました。あなたの2020年まとめを今すぐチェック #2020Wrapped https://open.spotify.com/wrapped/share-3b7780ade12045439ebf02c18e3fcf8d-1080x1920?si=XV_aMg4UShGsb25y8dO51w&lang=ja-jp

        勝手に愛して、消費した

          それを優しさと呼べず

          短気は損気という言葉がある。 短気なので、これがいかに的を得た金言か身を持って知っている。昔の人はいいことを言うなと思う。 短気ではない方のためにご説明させていただくと、 私は沸点がエタノールのように低くて、相手のちょっとした言葉遣いに反応してモヤモヤしてキレたり、悪意を疑ったりする。火のないところに煙を見出しまくっている。 最悪なのは、そういうモヤモヤを腹の中に収めておけないところだ。「今、口に出して言っておかないとこのモヤモヤは一生心に残る」と思って、「ねえ、それって

          それを優しさと呼べず

          パラサイト メモ的感想

          「パラサイト」を見てきました。重たい石を飲みこんでしまったようなこの気持ち。 同じくパラサイトを見た!という友達にLINEしたら凄く感想が噛み合わなくて、すったもんだの末、「あくまであれは映画なんだからね!」とメッセージをもらって、さらに胃の中の石が重たくなった、そんな気持ちです。 私も、あの映画をただの映画だと思いたい、架空の作品、エンタメだと思いたい。友人は、きっと貧乏の匂いを嗅いだことがないんだろう。地下鉄の匂い、生乾きの雑巾の匂い、すえたドブの匂い、半地下の匂いを。

          パラサイト メモ的感想

          私が出会った死/1

          小学3年生の夏、飼っていた猫が死んだ。 けいと。サバトラ模様のツンとした雌猫で、お世辞にも愛想があるタイプではなかった。外の世界が好きで、スーパーの総菜の魚料理も好きで、私のバイオリンケースに入るのも好きだった。 けいとは幼い頃に(猫の)母親と離れ離れになり、爪のしまい方だとか、人間を噛んではいけないとか、そういうことを教えてくれる人が(猫が)長いこといなかった。 そういうわけで、様々な運命を経て我が家にやってきた彼女は、しょっちゅう私の顔をひっかき、足を噛み、手を噛ん

          所感

          スーパー歌舞伎II『オグリ』を観てきた。 穏やかな気持ちになれた。 人生がとても辛く感じられて、世の中には暗いニュースが溢れていて、将来のことがわからず不安で、怖くて仕方ない。でも、生きていても良いんだと思えた。生きていて、生き続けて大丈夫。自分のためにでもいいし、他の人のためにでも良い。自分のためにやったことが、人のためになっていくこともある。その場しのぎの希望を持ってもいい。ただ「真っ直ぐに生きて偉いね」と言われるように、自分の信じることを見定めていきたい。 #スーパー

          すぐ泣く人を「感情的だ」と言う人も感情的になっているのではないかという意見

          「すぐ泣く人」がいる。 そして、「”すぐ泣く人”が嫌いな人」がいる。 「すぐ泣く人」には、それぞれ理由がある。 だがその中には「泣きたくないのに、勝手に涙が出てきて泣いてしまう人」がいる。 そしてそれを理解できない人々は口々に言うのだ。 「泣けば済むと思ってるんでしょ」 「(女性の場合)”女の武器”だと思ってるんでしょ」 「泣くなんてみっともないよ、バカじゃないの」 「甘やかされて育ったんでしょ」 「みんな呆れてるよ?」 「本気で嫌われなきゃわからないの?」 「感情的にな

          すぐ泣く人を「感情的だ」と言う人も感情的になっているのではないかという意見

          わたしにはわからない(どうしても)

          これは2018年、世界がまだコロナウイルスを知らず、”在宅勤務”という働き方が神話に出てくるケンタウロス並みにファンタジックな存在だった頃に就職活動に身を投じていた、一人の非常に要領の悪い大学生による就職活動の感想である。 いわゆる”社会人”として働き始めて2年経つ今、久しぶりにnoteの下書きから見つけたので、試しに投稿してみる。 ----------------------------------------------------------------------

          わたしにはわからない(どうしても)

          今日は面接を受けに行く。 ハローワークのエージェントには「あなたは、なかなか笑わないのが魅力だけど面接では多めに笑ってね」と言われた。今までもらったあらゆるアドバイスの中で、一番気を遣ってもらってしまったアドバイスだった。

          今日は面接を受けに行く。 ハローワークのエージェントには「あなたは、なかなか笑わないのが魅力だけど面接では多めに笑ってね」と言われた。今までもらったあらゆるアドバイスの中で、一番気を遣ってもらってしまったアドバイスだった。

          「ありがちな女」が思う「ありがちじゃない女」

          レナ・ダナムの『ありがちな女じゃない』(Not That Kind of Girl)を読んで、思ったこと。  新宿の紀伊国屋書店で、その本を見つけた。『ありがちな女じゃない』。インパクトのあるタイトルだった。白地にピンクの文字で大きく書かれたタイトル、魅力的な本。そこらにある女性向けの自己啓発本とは一線を画していた。「モテる女の…」とか「いい女は…」「フランス人は…」とかの言葉が使われていないのがいい。「フランス人」というキーワードが入っていないのは特に重要だ。開いてみると

          「ありがちな女」が思う「ありがちじゃない女」

          ブロードウェイ―スポンジが歌い、タコが踊る街

          今、ものすごく観たいミュージカルがある。それは、『スポンジボブ/スクエアパンツ ザ・ミュージカル』 初めてその字面を目にしたときに、いや、嘘だろう、それはないだろうと思った。あの、スポンジボブ?夕方の中途半端な時間に、Eテレでやってたりやってなかったりするあれ?あれを舞台で?どうやって? 私はブロードウェイのミュージカルが大好きで、そんな私が1年で1番ワクワクするのは6月、演劇界のアカデミー賞こと、トニー賞の授賞式の時期だ。お金も時間もなくて、現地にいって作品を観ることは

          ブロードウェイ―スポンジが歌い、タコが踊る街